社用車管理の重要性と必ず実施すべき3つのこと|効率化の方法も紹介
社用車を使用している企業は「社用車管理」を行わなくてはなりません。実施しなくてはいけないと認識されているものの、
- 具体的に何を管理したらよいのかわからない
- 何のために社用車管理が必要なのかわからない
- 現状の社用車管理の方法が上手くいっておらず見直したい
など、疑問や悩みを抱えている方も多いかと思います。そこで本記事では、社用車管理の「重要性」や「メリット」、社用車管理を行う上で「必ず実施すべきこと」や具体的な「業務内容」、「効率的な運用方法」などについて解説します。
社用車管理って何をすればいいの?
法的義務から運用ポイントまでこれ一冊で完璧!
事故やトラブルを防ぎ、安全に社用車を利用するためには、適切な管理が重要です。「自社は何をやるべきなの?」「社用車管理って法律で定められた義務なの?」などの疑問をお持ちではないでしょうか。
【資料で分かること】
- 所有台数別で行うべき社用車管理のポイント
- 法律で義務付けられていること
- 社用車管理を効率的に行う方法
- 社用車管理の成功事例
あなたの会社の所有台数にあった社用車管理の内容を確認していただけます。 ぜひ資料をダウンロードしてみてください。
アルコール検知器を用いたアルコールチェックが2023年12月1日から義務化されました。義務化に至った詳細についてはこちらの記事をご確認ください。
【速報】アルコールチェック義務化開始!警察庁発表をわかりやすく解説!
社用車管理の概要
「社用車管理」という言葉を聞いて、どのような業務をイメージするでしょうか。まずは社用車とは何かをおさらいした上で、社用車管理とは何か簡単に解説します。
そもそも、社用車とは
「社用車」という言葉の意味をご存知でしょうか。似た言葉で「営業車」や「商用車」という言葉を耳にしたことある方もいるかと思います。「社用車」「営業車」「商用車」の言葉の意味の違いをお伝えします。
前提として、社用車、営業車、商用車はどれも、法人が業務で使用する車のことを指しています。厳密な言葉の定義はありませんが、一般的に以下のような意味で使われることが多いです。
- 社用車:法人や個人事業主が使用する車全般を指します。使用目的は様々で、営業としての外回りや荷物の搬送、役員・従業員の送迎などが挙げられます。
- 営業車:法人や個人事業主が使用する車(社用車)の中でも、特に外回りなどの営業活動を目的に使用する車のことを指します。
- 商用車:仕事用途で使用される車全般を指すことが多いです。商用車にはタクシーやバスなどの旅客輸送車、トラックなどの貨物輸送車、ミキサー車やダンプカーなど工事用車両も含まれ、社用車も商用車の一部です。
社用車の定義や導入のメリット・デメリット等については、以下の記事で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
参考記事:社用車とは|社有車との違いや社用車の入手方法、適切な管理方法も解説
また、以下の記事では社用車におすすめの車種を紹介しています。ぜひ参考にしてください。
社用車管理とは
社用車管理とは、社用車を使用している企業が、社用車やそれを利用するドライバーなどに対して、適切な管理を行うことです。
タクシーやバスなど、緑ナンバーの車に対して行うイメージがあるかもしれませんが、営業車などの白ナンバーであっても社用車管理を行わなくてはなりません。
白ナンバーに関する社用車管理については、「道路交通法」で定められています。2022年4月の法改正では、一定台数以上の社用車を使用する企業や事業所にはアルコールチェックの実施が義務付けられ、社用車管理の徹底がより一層求められるようになりました。
そのため、社用車を導入したら社用車管理の責任者や担当者を選任し、適切に管理業務を遂行する必要があります。
アルコールチェック義務化について復習したい方のために、『5分でわかる!アルコールチェック義務化のすべて』をご用意しました。ぜひご覧ください。
社用車管理の重要性と目的
企業はなぜ、社用車管理を行わなくてはならないのでしょうか。社用車管理の重要性と目的として、以下の3つが挙げられます。
①交通事故防止のため
車両の異常や部品の消耗を早期発見し、車両トラブルによる交通事故を防止するために社用車管理を行います。事故を未然に防ぐためには、従業員に対する健康管理や安全運転の意識付けも欠かせません。
②資産およびコスト管理のため
企業の資産のひとつである社用車を定期的にメンテナンスしたり、状態や使用年数を把握したりすることは、資産価値の維持・向上に役立ちます。また、車両の維持費や燃料費、点検整備費、保険料などのコスト管理も重要です。
③法的責任を果たすため
車両の点検・整備や、従業員への安全運転教育など、社用車管理の業務の中には法令で義務付けられているものもあります。
また、業務中に従業員が交通事故を起こしてしまった場合、雇用している企業側にも法的責任を問われる可能性があります。こうしたリスクを回避することも社用車管理の目的のひとつです。
社用車管理における3つの主な業務
①ドライバーの管理
一つ目はドライバーの管理です。車両を使用するドライバーに対しては、以下のような管理を行う必要があります。
- 運転者台帳の管理
- 運転免許証の有効期限
- 安全運転教育の実施
- 点呼の実施
- アルコールチェックの実施
運転者台帳とは、ドライバーの氏名、生年月日、雇用開始日、事故歴、健康状態などを記録する台帳です。トラックなどの貨物自動車や、タクシー・バスといった旅客自動車については、法令で作成が義務付けられています。(旅客自動車においては、乗務員等台帳といいます。)
参考:貨物自動車運送事業輸送安全規則、旅客自動車運送事業運輸規則
白ナンバーの自動車には運転者台帳の作成義務はありませんが、運転免許証の有効期限は必ず管理する必要があります。一般的には、Excelに情報を入力し、管理者が定期的に有効期限を確認するケースが多いです。
安全運転教育や点呼、アルコールチェックの実施は、交通事故を防止するために企業として欠かせない取り組みです。安全運転や事故防止に必要な知識・技能を学ぶ機会を提供し、運転業務において点呼やアルコールチェックを実施することで、ドライバーの健康状態や酒気帯びの有無を確認します。
企業における安全運転教育については、以下の記事を参考にしてください。
参考記事:企業が取り組むべき「安全運転教育」とは?事故防止に役立つツールも紹介
2022年4月の道路交通法改正により、安全運転管理者を選任している事業所に対して、アルコールチェックが義務付けられました。詳しく知りたい方は、『5分でわかる!アルコールチェック義務化のすべて』をご確認ください。
なお、緑ナンバーの事業者には2022年4月の法改正以前からアルコールチェックが義務付けられています。
②車両の管理
二つ目は車両の管理です。従業員が安全に車両を使用できるよう、車両本体の管理も適切に行う必要があります。具体的には、以下のような管理を行いましょう。
- 車両管理台帳の管理
- 自動車保険の加入・更新
- 車検や点検・整備
- 最適な車両台数の把握
自動車保険の加入や更新、車検、点検・整備の状況把握、そして適切なタイミングでの実施は重要な業務です。多くの場合、Excelの管理表やリマインダー機能を利用して確認します。これらを徹底し、抜け漏れなく管理するための運用方法を確立することがポイントです。
さらに、車両の稼働状況を把握し、最適な台数で運用できているかを見極めることも、コスト管理の観点から重要です。
車両管理台帳の管理方法
車両管理台帳とは、企業が車両を利用する上で必要となる情報を一元管理するための台帳です。
ナンバーや購入日など車両を特定するための項目や、定期点検・整備状況といった車両状況を把握するための項目、保険に関する項目の大きく分けて3つの項目をこの台帳で管理します。
台帳を管理する方法としては、紙やExcelが一般的ですが、近年はシステムを活用して管理する企業も増えています。
車両管理台帳に盛り込むべき項目や、無料でダウンロードできるテンプレートは以下の記事で紹介していますので、合わせてご覧ください。
参考記事:車両管理台帳のテンプレート|台帳の必要性や入れるべき内容も解説!
③記録類の管理
三つ目は記録類の管理です。社用車に関して管理すべき記録がいくつかあります。具体的には以下のような記録を管理するようにしましょう。
- 運転日報
- 日常点検記録
- アルコールチェック記録
運転日報とは、業務で自動車を運転した際に、ドライバーが氏名や走行距離など必要な項目を記載するものです。緑ナンバー事業者および、安全運転管理者を設置している白ナンバー事業者には、法令により作成と管理が義務付けられています。
運転日報に記載すべき項目や保存期間などについて知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
参考記事:運転日報とは?記載すべき項目や書き方、保存期間もわかりやすく解説
また、車両トラブルの未然防止や早期発見には、業者による定期点検に加え、ドライバー自身が乗車前に実施する日常点検と、その結果を記録することも重要です。日常点検で確認すべき項目や方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
参考記事:【チェックシート付】車の日常点検15項目|頻度やタイミングも解説
「ドライバーの管理」の一環として行われるアルコールチェックは、実施するだけでなく、記録を1年間保存することが法令で義務付けられています。以下の記事では、法令に基づいた記載項目を網羅した記録簿のひな形(Excelテンプレート)を無料でダウンロードできますので、ぜひご活用ください。
始める前に必ず実施すべき3つのこと
社用車管理を行うためには、安全運転管理者の選任など、やらなくてはならないことがいくつかあります。中には法律に関わるものもあるので、必ず対応を進めましょう。
①安全運転管理者の選任
購入・リースに関わらず、社用車を一定台数以上使用している場合は、安全運転管理者を選任する義務があります。この制度を安全運転管理者制度と言い、道路交通法によって定められています。
安全運転管理者の業務には、ドライバーの状態確認や安全運転教育などがあり、社用車管理を行う上で非常に重要な役割を果たします。
安全運転管理者については後ほど詳しく解説しますが、わかりやすくまとまった資料が欲しい方は『安全運転管理者まるわかりガイド』をご覧ください。
②社用車管理規程の制定
社用車管理規程とは、安全確保と法令遵守を目的として、社用車を運用する際のルールを明確化したもので、車両管理規程とも呼ばれます。規程を制定していれば、事故が発生した際でも、企業が管理責任を果たしていたと証明することができます。
規程の存在は、事故による賠償額にも影響を与える可能性があります。もちろん、制定するだけではなく、従業員の安全運転意識向上や細やかな点検・整備の徹底も重要です。
なお、社用車管理規程で定めるべき項目や、違反した場合の罰則制定については、以下の記事で詳しく解説しています。一般的な規程のテンプレートも無料でダウンロードできますので、ぜひ活用してください。
参考記事:車両管理規程のテンプレート|規程の必要性や入れるべき内容も解説!
③管理部門と責任者の明確化
社用車管理の業務は多岐にわたるため、管理部門と責任者を明確にしておくことも必要です。たとえば、車両の点検・整備の手配や自動車保険の更新、従業員の運転免許証期限の管理などは一般的に総務部などの管理部署が行います。
一方、従業員の健康状態のチェックや安全運転指導などは、実際に車両を使用する営業・サービスに関する部署が行います。
このように、業務内容によって管理部門が異なることがあるため、それぞれの管理業務をどこの部署が担当するのかを決めておきましょう。合わせて、社用車管理責任者とそれらを統括する最高責任者を配置し、指示系統を明確にしておくことも重要です。
社用車管理の担当者が押さえておくべきポイントを『社用車管理完璧マニュアル』にて紹介しています。ぜひご覧ください。
社用車管理を担う「安全運転管理者」とは
ここで、社用車管理を行う上で重要な役割を担う、安全運転管理者について詳しく解説します。法律で定められている内容なので必ず確認するようにしましょう。
安全運転管理者制度とは
安全運転管理者制度は、一定数以上の自家用自動車(白ナンバーの車)を使っている企業や事業所が、安全な運転環境を確保するために導入されています。この制度において、自動車の使用者(企業や事業所の代表者)は、業務で使用する自動車の運転を管理・監督するために、専門の「安全運転管理者」と「副安全運転管理者」を選任することが義務付けられています。
これらの安全運転管理者及び副安全運転管理者には、重要な役割が託されています。その中心的任務は、安全運転を推進し、事故の防止に取り組むことです。
安全運転管理者は、運転者の教育や訓練を行ったり、運転状況を監視したりするだけではなく、安全対策を策定して実施する責任を持っています。そのために、組織内で安全運転の風土を育て上げ、事故を事前に防止するために活動します。
安全運転管理者の全体像について、『安全運転管理者まるわかりガイド』にイラスト付きでわかりやすくまとめています。ぜひご覧ください。
選任義務の対象となる条件
選任義務の対象となるのは、以下のいずれかに該当する企業や事業所です。
- 乗車定員が11人以上の自家用自動車を1台以上使用している
- 5台以上の自家用自動車を使用している
(原動機付自転車を除く自動二輪は1台につき自動車0.5台として計算)
ただし、運送業で既に「運行管理者」が配置されている緑ナンバーの車両を所有している企業や事業所は、選任義務から除外されます。
選任する人数
安全運転管理者の人数は、使用している自家用自動車の台数に関わらず固定です。一方、副安全運転管理者の人数は自家用自動車の台数により変動します。具体的には、以下のとおりです。
- 安全運転管理者
5台以上の自家用自動車を使用している場合は、最低でも1人の安全運転管理者を選任する必要があります。また、定員が11人以上の自動車を使用している場合も、最低でも1人は選任しなければなりません。
- 副安全運転管理者
安全運転管理者の業務をサポートし、必要に応じて代理業務を担当するのが副安全運転管理者です。自家用自動車の台数によって人数が決まります。例えば、20台以上の自家用自動車を所有している企業や事業所は、20台ごとに1人ずつ副安全運転管理者を選任しなければなりません。
副安全運転管理者について詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。
参考記事:副安全運転管理者って必要なの?|安全運転管理者との違いも解説
安全運転管理者に必要な資格要件
安全運転管理者にはどんな人を選任すればよいのでしょうか。安全運転管理者になるために必要な資格要件は以下のとおりです。
- 20歳以上
(副安全運転管理者が置かれている場合は30歳以上) - 運転管理の実務経験が2年以上必要
- 20歳以上
- 1年以上の運転管理の実務経験または3年以上の運転経験が必要
自動車運転管理に関して、上記の条件と同等以上の能力があると公安委員会が認定した場合も、安全運転管理者や副安全運転管理者になることができます。
ただし、過去2年以内に違反行為をした人は、安全運転管理者等になることができません。詳しくは以下の記事をご覧ください。
参考記事:安全運転管理者に必要な資格を解説|届出方法や罰則も紹介
また、選任した後は届出手続きも必要です。届出の方法や必要書類については以下の記事を参考にしてください。
参考記事:安全運転管理者の届出ハウツー!電子申請や必要書類のリンクも掲載
業務内容
安全運転管理者は、以下の9つの業務を担当します。
- 運転者の状況把握
自動車の運転について、運転者の特性や知識、技能の他、運転者が道路交通法などの規定を守っているか把握するための措置をとります。
- 運行計画の作成
運転者の過労運転や放置駐車違反、最高速度違反や過積載運転の防止など、安全な運転を確保するために、自動車の運行計画を作成します。
- 危険防止のための交替要員の配置
運転者が長距離運転または夜間運転を行う場合、疲労などで安全な運転ができない恐れがあるため、交替するための運転者をあらかじめ配置します。
- 異常気象時等の安全確保
異常気象や天災などの理由により、安全な運転が確保できない可能性がある場合は、必要な指示や措置を講じます。
- 点呼等よる安全運転の指示
運転しようとする運転者の点呼などを行い、日常点検整備を実施します。飲酒や疲労、病気などの理由で正常な運転ができない可能性を確認し、安全な運転を確保するための指示を与えます。
- 運転前後の酒気帯び確認
運転前と運転後の運転者に対し、運転者の状態を目視およびアルコールチェッカーの測定結果を確認することにより、酒気帯びの有無を確認します。また、アルコールチェッカーは常時有効に保持しなければなりません。 - 酒気帯び確認の記録・保存
酒気帯び確認の内容に不備がないかチェックし、1年間保存します。 - 運転日誌の記録
運転状況を把握するために、運転者名や運転距離などの必要な事項を記録する日誌を備え付け、運転を終了した運転者に記録させます。 - 運転者に対する指導
運転者に対し、交通安全教育指針にもとづく自動車の運転に関する技能や知識など、安全な運転を確保するための指導を行います。
なお、安全運転管理者や副安全運転管理者は年に一度、法定講習を受講することも義務付けられています。安全運転管理において必要となる知識や技術の習得、法改正などの最新情報を得ることができる重要な講習ですので、必ず受講するようにしてください。
参考記事:【令和6年】安全運転管理者講習とは|全国の開催日程や費用も紹介
また、安全運転管理者についてよくある質問とその解答をまとめた『安全運転管理者よくある質問集』をご用意しました。ぜひご覧ください。
期待できるメリット3つ
①企業の信頼性と従業員の安全を守る
社用車管理を行い交通事故を未然に防ぐことは、安心して運転できる環境を整備し、従業員の安全を守ることはもちろん、企業の信頼性を守ることにもつながります。
企業に対する世間の目はますます厳しくなっているため、たとえば自社の従業員が業務中に飲酒運転による交通事故を起こしたとなると、大きなイメージダウンとなります。交通事故を防止し企業の信頼性を確保することは社用車管理の大きなメリットと言えるでしょう。
②コスト最適化
社用車管理により、車両を購入・維持するために必要な費用や、日々の業務で発生する燃料費などのコストを正確に把握することで、各々が適正であるかを見極め、車両に関するコストを最適化するための判断材料となります。
また、社用車の稼働状況を把握して台数を見直し、減らすことができれば、大きなコスト削減につながるでしょう。
③環境負荷の低減
環境負荷の低減は、今や企業にとって欠かすことのできない取り組みのひとつです。
社用車管理の一環として安全運転教育を行うことで、企業全体に安全運転の意識が醸成され、従業員ひとりひとりがエコドライブを実践できるようになれば、無駄な燃料消費を抑えて環境への負荷を減らすことにつながります。
社用車で事故が起きた時の対処法
社用車管理を万全に行っていても、事故を起こしてしまうことはあります。しかし、事故時の対応を事前に把握しておくことで、万が一の時でもスムーズに行動ができるようになるでしょう。
責任の所在
社用車の事故における責任は、企業と従業員が連帯して負うものです。従業員の道路交通法上の罰則責任は免除されませんが、一般的には企業がすべての賠償責任を負います。ただし、必要に応じて企業は従業員に賠償金を請求することも可能です。被害者から見れば、企業が事故の責任を負っていると認識されるので、企業は誠実な対応をすることが求められます。事故対応全般において企業が責任を負い、被害者への適切な対応が必要です。
対応手順
従業員が事故を起こしてしまった場合、企業としてどのように対応すればよいのか、順を追って解説します。通常、1~5は事故を起こした従業員が行いますが、従業員が動けない時や対応できない場合は、管理者が代理で行います。
- 二次被害を防ぐため、安全を確保する
- けが人がいる場合は、119番通報する
- 警察を呼ぶ
- 相手の情報を確認する
- 事故現場の情報を収集する
- 治療と労災の手続きをする
事故に遭遇するとパニックになり、冷静な行動ができないことはよくあります。従業員がスムーズに行動できるように、日頃から講習会を開いたりテキストやマニュアルで周知したりするなどの安全運転管理対策も必要です。
なお、社用車の事故については以下の記事で詳しく解説しています。事故時の従業員の対応手順や体制づくりについてもご紹介しているので、合わせてご覧ください。
社用車管理で抱えがちな4つの課題
社用車管理における具体的な業務内容や、社用車で事故が起きた場合の対応について理解いただけたでしょうか。実際に社用車管理の業務を開始してみると、課題や困りごとが発生することもしばしばあります。具体的には、以下の4つの課題を抱える企業が多いようです。
①免許や車検、保険などの更新漏れがある
従業員の運転免許証や自動車保険の有効期限、車検の実施などは、管理が煩雑で抜け漏れが発生しやすい業務です。
管理する従業員の人数や社用車の台数が多い場合は、有効期限のタイミングがバラバラになることも多く、毎月のように更新の実施・確認を行わなくてはならないこともあります。
リース車両はリース会社からはがきが届いて更新時期を知らせてくれるケースもありますが、管理者がデータベースを作成して管理している場合などはチェックの抜け漏れが発生しやすい点が課題となっています。
②アルコールチェックが大変
アルコールチェック義務化により、運転前後にアルコールチェックの業務が追加されました。コンプライアンス遵守の観点からも業務の重要性は理解しているものの、しっかり運用しようとすればするほど大変・・・という声も少なくありません。
アルコールチェックは実施するだけでなく、確認結果を記録して保存したり、アルコールチェッカーを定期的に点検・メンテナンスすることも求められているため、こうした管理の手間が課題となっています。
③紙の記録類の管理が大変
社用車管理においては、運転日報や日常点検の記録を管理する必要があります。そこへアルコールチェック記録の管理も加わり、業務負担が増加しています。
これらの記録類は一定期間保管する必要があるため、紙で運用していると莫大な枚数になります。また、記入漏れや提出漏れがないか確認する必要もあるため、社用車を頻繁に使用する場合や台数が多い場合には、管理が大変です。
④最適な車両台数がわからない
社用車を導入する際は、どれくらいの使用頻度になるのかリサーチして台数を決めることになります。しかし実際に導入してみると、思ったより使用頻度が高く必要な時に社用車がなくて使えない場合や、全く使われていない社用車がある場合もあります。
実際に何台必要になるか導入前に正確な予測を立てるのは難しいため、一旦は適当と思われる台数を導入するしかありませんが、導入後は稼働状況を把握して台数を見直す必要があります。
台数が不足している場合は業務遂行に支障をきたし、逆に車両が余っている場合は経費が無駄になってしまいます。
とはいえ、自社に必要な車両台数を正確に把握することは困難です。最適な車両台数で運用できている企業はあまり多くないかもしれません。
課題解決のために車両管理システムが注目されている
これらの課題を解決する方法として近年注目されているのが「車両管理システム」です。ここからは、車両管理システムについて紹介します
車両管理システムとは
車両管理システムとは、社用車やリース車などの車両を効率よく管理することができるシステムのことです。
車両管理システムは、2017年の中型トラックに対するタコグラフ搭載義務化をきっかけに需要が一気に高まり、2016年から2022年の間で、導入した車両台数は約3.7倍になりました。
飲酒運転防止に対する企業の意識が高まるとともに、さらに車両管理システムが注目されるようになってきています。
なお、車両管理システムについては以下の記事で解説しています。各社が提供するサービスの特長や機能も比較しているので、合わせてご覧ください。
参考記事:【2024】車両管理システムおすすめ12選|目的別の比較表も掲載
課題解決に役立つ4つの機能
実際に車両管理システムのどのような機能が課題解決に役立つのか、詳しく見ていきましょう。
①免許証や車検、保険更新期限のアラート機能
更新時期が近くなると管理者にアラート通知が届く機能のことで、管理者の見落としによる更新漏れを防止することができます。
②アルコールチェック機能
アルコールチェック機能は、アルコールチェックの測定結果の記録をシステム上で入力・管理できる機能です。システムによっては、アルコールチェッカーと連携して測定結果が自動で入力されるものや、記録に未記入・未提出があった場合に通知が送信されるものもあります。
この機能を活用することで自動入力による省力化や記録の抜け漏れ防止に役立ちます。
③記録類のデジタル化機能
運転日報や日常点検、アルコールチェックの記録をスマホから入力し、データ提出・管理できる機能のことです。
記録類のデータ化や作業の自動化が可能となり、提出・確認までオンラインで完結するため、記録に関する業務の負担軽減に役立ちます。
④稼働状況集計機能
車両管理の記録を紙やExcelで運用している場合に把握することが難しいのが、車両の稼働状況です。
車両管理システムには車両予約機能やスマホが鍵の代わりになるデジタルキー機能が搭載されているものもあり、予約状況や鍵の操作ログなどのデータを活用すると車両の稼働状況を把握することが可能になります。
システムによっては自動で集計してグラフ化してくれるものもあり、最適な車両台数を判断するのに役立ちます。
車両管理システムには、他にも動態管理機能や安全運転支援機能といった、車両管理を効果的に行うための様々な機能があります。
おすすめの車両管理システム3選
①Bqey(ビーキー)
長年車のカギを作ってきた高い技術力を活かして開発した"デジタルキー"が搭載されており、スマホで車の施解錠ができるので鍵の受渡しが不要になります。また、車両予約・アルコールチェック記録や運行記録・稼働状況等の情報をクラウドで全て一元管理することができます。初期費用や初期工事が不要なのも嬉しいポイントです。デジタルキーの操作ログを用いて車両の稼働状況を自動集計・グラフ化できるので、車両台数の最適化も実現できます。
車両予約・管理機能 | ○ |
---|---|
アルコールチェック機能 | ○ |
車両情報管理機能 | ○※ |
日報類のデジタル化機能 | ○ |
デジタルキー機能 | ○ |
動態管理機能 | × |
稼働状況集計機能 | ○ |
安全運転支援機能 | × |
アプリの活用 | ○ |
初期費用 | 不要 |
こんな人におすすめ
- カギの受け渡しの手間・紛失リスクをなくしたい
- 稼働状況を集計して車両台数を見直したい
- 車両に関する情報をクラウドで一元管理してペーパーレス化したい
URL:https://bqey.com/
詳細はサービス紹介資料をご確認ください。
②LINKEETH(りんきーす)
AI搭載通信型ドライブレコーダーを活用し、安全運転支援と車両運行管理をトータルに実現したサービスです。ドライブレコーダーの加速度センサーやAIを活用し、ドライバーの運転傾向をチェックでき、事故抑止、省燃費運転によるコスト削減を実現します。また、GPSを活用し、車両の位置や状態をリアルタイムにチェックすることができます。
車両予約・管理機能 | × |
---|---|
アルコールチェック機能 | ○ |
車両情報管理機能 | ○※ |
日報類のデジタル化機能 | ○ |
デジタルキー機能 | × |
動態管理機能 | ○ |
稼働状況集計機能 | × |
安全運転支援機能 | ○ |
アプリの活用 | ○ |
初期費用 | 要確認 |
こんな人におすすめ
- 動態管理機能でしっかり管理したい
- ドライブレコーダーで運転傾向を把握したい
- 位置情報をリアルタイムで把握したい
③BUSINESS NAVETIME 動態管理ソリューション
参照元:ビジネスナビタイム
配車計画、動態管理、リアルタイムの交通情報、様々な車種に対応したカーナビゲーション、作業実績まで移動の最適化に特化したクラウド型動態管理システムです。独自の技術により新規開通した道路に即座に対応しているため、地図データへの反映が早いのが特徴です。顧客情報管理もできるため、配送業や営業先が多い場合におすすめです。
車両予約・管理機能 | × |
---|---|
アルコールチェック機能 | × |
車両情報管理機能 | × |
日報類のデジタル化機能 | ○ |
デジタルキー機能 | × |
動態管理機能 | ○ |
稼働状況集計機能 | × |
安全運転支援機能 | × |
アプリの活用 | ○ |
初期費用 | 要確認 |
今回は3つの車両管理システムを紹介しましたが、より多くの車両管理システムをまとめて比較したい方は、以下の記事をご覧ください。各サービスの特徴もご紹介しているので、自社に合ったシステムを見つけることができると思います。
車両管理システムを選ぶための3ステップ
車両管理システムは多岐にわたるため、どのような手順で選んだらよいかわからない方も多いかと思います。機能や種類を踏まえて、自社に合った適切なシステムを選ぶためには、以下のような3ステップで選ぶとよいでしょう。
ステップ1:システムの導入目的・解決したい課題を整理する
ステップ2:課題を解決できる機能を把握する
ステップ3:導入のしやすさ・導入前後のサポート体制を確認する
まずは社用車管理・ドライバーの労務管理に関する業務の棚卸を行い、自社の抱えている課題を整理することが大切です。車両管理システムの導入目的を明らかにした上で、どの機能を活用すれば課題を解決できるのかを見極めましょう。
導入を検討する際には、費用対効果やサポート体制、導入しやすいデバイスであるかどうかも確認するようにしましょう。
自社に合ったシステムを選定するポイントについて知りたい方は、『車両管理システムの選び方』をダウンロードしてみてください。自社の抱える課題を整理するためのチェックシートも掲載しているのでぜひ活用してください。
導入事例から見る車両管理システムの価値
ここからは、実際に車両管理システム「Bqey(ビーキー)」の導入事例を紹介します。車両管理システムの導入によりどのような効果があったのか見ていきましょう。
コニカミノルタ株式会社様の事例
コニカミノルタ株式会社は、創業から培った複写機やカメラの開発技術を「デジタルワークプレイス」「プロフェッショナルプリント」「ヘルスケア」「インダストリー」の4つの事業へ派生させ新しい価値提供をしています。
社用車については、従業員やグループ社員が外出する際の移動手段や運搬手段などに使用。社用車の利便性を向上するべく一括管理できるシステムを検討されている中で、Bqeyの導入に至りました。
- 抱えていた課題
・拠点ごとに独自の社用車予約・管理システムを利用しており運用が統一できていなかった
・全社での社用車管理やコスト最適化のためのデータ活用ができていなかった
→社用車予約・管理システムを全社で統一し、社用車業務のDXとコスト削減を図りたい。- Bqeyを選んだ理由
・スマートフォン上で直感的に操作できる点
・デジタルキーを利用することで鍵の受け渡しが不要となる点
・車1台あたりの課金制で、利用者が増えてもコストが変わらない料金システム
- Bqeyを導入して感じたメリット
・拠点ごとに予約方法が異なるという不便さが解消され、利便性が向上した
・客観的なデータに基づいて利用状況を可視化し、コスト削減のための減車や車種変更が判断できるようになった
沖縄セルラー電話株式会社様の事例
電気通信事業やKDDI系の携帯電話サービスの提供を行い、沖縄の通信インフラを支え続けている「沖縄セルラー電話株式会社」。営業活動や基地局の設置など幅広い業務で車両を使用する中、アルコールチェック義務化をきっかけに安全に社用車を管理・運用するためのシステムやアプリがないか検討されていました。Bqeyを提案する過程で、アルコールチェックだけでなく、全社で車両が共有化できる「デジタルキー」にも関心を寄せていただき導入に至りました。
- 抱えていた課題
30台以上社用車を保有する中で、車両管理は利用部署でバラバラに行っていたため、ガバナンスに問題があると感じていた。
→コンプライアンス遵守とガバナンス強化を図りながら、アルコールチェック義務化の対応を進めたい。- Bqeyを選んだ理由
・他社製品にはない機能が充実していた点
・クラウドで情報を包括的に管理できる点
- Bqeyを導入して感じたメリット
・デジタルキーで物理的なカギの紛失リスクが低減されるとともに、部署を横断して車両を共有することができた
・車両の空き状況の確認・予約、日常点検や運転日報の記録等をクラウドで一元管理することで、ガバナンス強化につながった
・スマートフォンのアプリから外出先でも記録類を作成・提出できることで、ペーパーレス化を実現した
・専用のアルコールチェッカーによる計測数値の自動反映機能とチェック時の顔写真撮影機能により、なりすましや不正を防止し、コンプライアンス遵守につながった
・デジタルキーの操作ログを活用した車両の稼働状況集計機能により車両台数を最適化し、8台減車によるコスト削減を実現した
他にも多くの企業様の事例を『【導入事例】CASE STUDIES of Bqey』にて紹介しています。ぜひご覧ください。
まとめ
今回は、社用車管理について解説しました。社用車管理は、従業員が安心して社用車を使用できる環境を整備することや、トラブルや事故を未然に防ぐことにも繋がります。また、もしもトラブルや事故が起きた時でも、損害を最小限に抑えるための準備にもなります。
また、社用車管理を適切かつ効率的に実施するために、車両管理システムの導入を検討してみてもよいかもしれません。車両管理システムは多岐に渡るので、自社の課題を解決できる機能は何かを見極め、費用対効果も加味して、自社に合ったシステムを選ぶようにしましょう。
車両管理システム、結局どれを選べばいいの?
まずは「Bqey(ビーキー)」の資料をダウンロード!
車両管理システムは便利そうだけれど、結局色々なサービスからどれを選べばいいのかわからない・・・ そんな方は、とりあえず「Bqey」の資料をダウンロードしてみませんか?
【資料でわかること】
- 搭載されている6つの機能
- 解決できる5つの課題
- スマホやPCからの利用イメージ
- 導入いただいた企業の事例
実際に、社用車運用の業務時間を5分の1まで削減した企業もいらっしゃいます。 きっと、あなたの会社の業務改善につながるイメージが湧くと思います!