【チェックシート付】車の日常点検15項目|頻度やタイミングも解説
車の所有者やドライバーは、自動車を適切な状態に保つためにも「日常点検」をしっかり行わなければなりません。
しかしながら、
- 定期点検や車検とは何が違うのかわからない
- 具体的に何をすればよいのかわからない
- 実施すべき頻度やタイミングがわからない
という方は意外と多いものです。
そこで本記事では、日常点検の概要をはじめ、「重要性」や「チェックすべき15項目」、実施すべき「頻度とタイミング」などについて解説します。点検作業に便利なチェックシートも掲載していますので、ぜひ活用してください。
日常点検チェックシート無料ダウンロード!
(社用車管理完璧マニュアル付き)
点検するべき15項目を確認し、結果(○・×)を記録できる自家用自動車向けの日常点検チェックシートです。
また、付属の「社用車管理完璧マニュアル」では日常点検の他にも法令遵守のためにやるべきことを解説していますので、改めて社用車管理を見直すための材料としてぜひご活用ください。
【社用車管理でやるべきことの一例】
- 車両管理規定の制定
- 安全運転管理者の選任
- アルコールチェック義務化への対応
日常点検とは
日常点検とは、車の所有者やドライバーが日常的に行う点検作業です。運転席に座ったりエンジンルームを確認したりしながら、車の状態をチェックします。
私用のマイカーや白ナンバーの車を業務で使用する自家用自動車のユーザーは、走行距離や運行状況を考慮して、適切なタイミングで点検を行うことが大切です。
一方、トラックやバス、タクシーなどの事業用自動車のユーザーは、多くの人や物を運搬するため公共性が高いことから、毎日の運行の前に点検を行う必要があります。
どちらのユーザーであったとしても、点検の際に何らかの異常が見つかった場合にはすぐに修理を依頼することで、未然に事故を防ぐことができます。
車検や定期点検との違い
車検は、国が定めた基準に合格しているかを確認する検査です。公道を走行するためには、定期的に車検を受ける必要があります。通常は、2年に1回の頻度で行われます。車検を受けないまま有効期間を過ぎると、公道を走行することは違反となり、罰則が科されます。
社用車の車検については以下の記事で解説しています。合わせてご覧ください。
参考記事:社用車の車検は何年おき?社用車の車検の頻度や車検にかかる費用を解説!
一方、定期点検とは、道路運送車両法によって定められた1年または2年ごとの検査のことで、法定点検とも呼ばれます。
日常点検と違って項目数が多く、専門的な知識や技術が必要となるため、一般的にはディーラーや修理業者に依頼することがほとんどです。
車検を受けていれば安心、と思われがちですが、車検の合格基準は公道を走行するための最低限の内容です。車両を安全な状態に保つためには、車検に加えて定期点検を行い、劣化した部品の交換や必要に応じて整備することが必要なのです。通常、2年の定期点検は、車検と一緒に行われることが多いです。
定期点検の実施は義務ですが、現状では実施しなかったことに対する罰金は設けられていません。しかし、車両の安全を確保し、トラブルや事故を防止するためにも定期的な点検を受けることが推奨されます。
ただし、トラックやバス、タクシー等の運送事業者において定期点検が未実施の場合、一定期間の車両使用停止や事業取消しの行政処分が下ることがあるため注意してください。
日常点検の重要性
「車がまだ新しいから」「問題なく運転できるから」といって日常点検を怠るのは危険です。
例えば以前であれば、バッテリーは寿命が近づくとエンジンの始動が悪くなる傾向がありましたが、最新のバッテリーは性能が向上しているため、寿命が近づいても気づきにくいです。その結果、突然エンジンがかからなくなるというトラブルも増えています。
また、タイヤのパンクにも注意が必要です。日常点検や適切な空気圧調整を怠ると、タイヤがバーストする恐れがあります。道路上の異物によるパンクもあり得るため、タイヤの状態を確認し、予備タイヤの交換方法や修理キットの使用方法を知っておくと安心です。
日常点検を行うことで、バッテリーやタイヤなどの劣化や車両の不具合を早期発見し、トラブルや事故に発展する前に対応することが可能となります。
このことからも、車を所有する人やドライバーにとって日常点検は極めて重要だと言えるでしょう。
まだ日常点検を行っていない方は、【Excel】日常点検チェックシート(無料)をぜひご活用ください。
日常点検は法律上の義務
車の日常点検は、道路運送車両法第47条の2において義務付けられています。これは、プライベートの車であっても、業務で使用する車であっても該当します。
点検の頻度や周期は決められていませんが、故障や事故を未然に防ぐためにも、車両の利用頻度に合わせて出来る限り頻繁に実施することをおすすめします。
先程お伝えした定期点検と同様に、日常点検を行わない場合も特に罰金はありませんが、故障や不備がある箇所によっては罰則が科されることもあります。例えば、制動装置等の整備不良の場合は交通違反の点数が2点、尾灯等の不点灯の場合は1点が科されます。
また、運送事業者において日常点検が未実施の場合、一定期間の車両の使用停止処分が下される可能性があります。
日常点検の15項目と点検方法
日常点検を行う場合、具体的にどこをどのように点検したらよいかわからない方は意外と多いものです。ここでは、日常点検で見るべき15項目と具体的な点検方法について3つのステップに分けて紹介します。
ステップ1. エンジンルームをチェック
エンジンルームとは、エンジンを中心に、エンジンを順調に運転・制御するために必要な部品が収められた機関室のことです。
走行直後は熱を持っていることがあるので、走行前に点検するとよいでしょう。走行後に点検する場合は、しばらく時間を置いてから行うようにしてください。
①ウインド・ウォッシャー液の量
ウインド・ウォッシャー液とは、フロントガラスを清掃する際に噴射される液体です。ウォッシャータンク内の液面がFULLとLOWの間にあるかどうかをチェックします。冬季や寒冷地での凍結防止のため、必ず専用液を補充するようにしましょう。
②ブレーキ液の量
ブレーキ液は、ブレーキペダルを踏む力をブレーキシステムに伝える役割を持っています。ブレーキ・リザーバ・タンク内の量がMAXとMINの間にあるかどうかをチェックします。定期的に専用液を交換する必要があるため、定期点検の際に交換してもらうとよいでしょう。
ブレーキ液が減ると、ブレーキが利かなくなる恐れがあり大変危険です。もしもブレーキ液の減りが激しい場合は、ブレーキ系統からの液漏れが発生している可能性があるため、すぐに整備工場で点検してもらいましょう。
③バッテリー液の量
バッテリー液は、化学反応により充電や放電を行う役割を持っています。バッテリー液の量がUPPERとLOWERの間にあるかどうかをチェックします。不足している場合は専用液を補充しますが、バッテリー液は希硫酸ですので、目や皮膚に触れないようゴーグルや手袋を着用して行いましょう。
最近はメンテナンスフリー(液の補充ができないタイプ)のバッテリーもありますが、通常のバッテリーと同様に寿命があるため、定期点検の際などに交換しましょう。
④冷却水の量
冷却水とは、エンジンを冷却し過熱を防ぐための液体です。冷却水が冷えている時にラジエータ・リザーバ・タンク内の量がFULLとLOWの間にあるかどうかをチェックします。不足している場合は冷却水を補充します。
⑤エンジンオイルの量
エンジンオイルとは、エンジン内部で使用される潤滑油であり、潤滑をはじめ冷却、清浄、防錆、密封と様々な役割を持っています。エンジンオイルの点検は、あらかじめエンジンを停止した状態で、オイル・レベル・ゲージを用いて以下の手順で行います。
- 平らな状態でオイル・レベル・ゲージを抜き取る
- オイル・レベル・ゲージに付いているオイルを拭き取る
- オイル・レベル・ゲージをいっぱいに差し込む
- オイル・レベル・ゲージを引き抜いてHとLの間にあるかどうかをチェックする
- オイル・レベル・ゲージを元の位置に戻す
注意!
ハイブリッド車や電気自動車は高電圧のケーブルやバッテリーを搭載しています。これらに触れると、感電や重いやけどを引き起こす恐れがあるため、注意してください。
触ってはいけない場所には注意書きのシールが貼られていますので、必ず確認するようにしましょう
ステップ2. 車のまわりをチェック
エンジンルームの次は、車のまわりを一周してタイヤやランプ類をチェックします。ランプ類をチェックする際は、周りの建物やガラスなどへの反射や映り込みを利用して行うことができます。
①タイヤの空気圧
タイヤの設置部のたわみ状態を見て、空気圧が不足していないかどうかをチェックします。
エアゲージを用いて点検する場合は、運転席のドアの内側やセンターピラーに貼り付けられているラベルに記載された、適正な空気圧になっていることを確認します。具体的には以下の手順で行います。
- 取扱説明書または空気圧表示ラベルで車の適正な空気圧を確認する
- タイヤのエアバルブのキャップを外す
- エアゲージをエアバルブに接続する
- エアゲージの数値を確認する
- 適正でない場合はエアーコンプレッサーで充填または減圧して調整する※
- タイヤのエアバルブのキャップをしっかりと締める
※タイヤが温まった状態で適正な空気圧に調整すると、タイヤが冷えた際に空気圧が低くなることがあります。タイヤが冷えた状態で調整するか、温まっている場合は空気圧を1割程度高めに設定することをおすすめします。
②タイヤの亀裂・破損・摩耗
タイヤ全周に亀裂や破損がないかどうか、石や釘などの異物が刺さったり嚙み込んでいないかどうかを目視でチェックします。タイヤの一部だけが摩耗していないかどうかも合わせてチェックしましょう。
③タイヤの溝の深さ
タイヤが摩耗し十分な深さの溝が無くなると、タイヤのグリップ力が低下してブレーキが効きづらくなり大変危険です。部分的な摩耗がないかどうか、十分な溝の深さがあるかどうかを、スリップ・サインなどによりチェックします。
スリップ・サインは、タイヤ側面の矢印マークの延長線上にあり、溝の深さが1.6 mm以下になると現れます。スリップ・サインの現れたタイヤは保安基準違反となるため、速やかに交換してください。
④ランプ類の点灯・点滅、レンズの汚れ、損傷
ランプ類やレンズに異常がないかどうかを目視でチェックします。具体的には以下の点に留意して点検しましょう。
- ヘッドランプ、テールランプ、ライセンスランプ、ブレーキランプ、クリアランスランプ、バックアップランプの点灯具合
- ウインカランプの点灯具合と点滅速度
- フォグランプ付きの車はフォグランプの点灯
- レンズの汚れや破損
ライセンスランプ・・・ナンバー灯とも呼ばれ、ライセンスプレート(ナンバープレート)を照らすためのランプです。
クリアランスランプ・・・スモールランプや車幅灯とも呼ばれ、ヘッドランプの外側にあり対向車に車幅を知らせるためのランプです。
バックアップランプ・・・車がバックすることを知らせるためのランプです。ギアをRに入れると点灯します。
ステップ3. 運転席でチェック
最後に、運転席に座ってペダルやレバー、エンジン動作などをチェックします。
①ブレーキ・ペダルの踏みしろ
ブレーキやペダルを踏み込んだときに、踏み残りしろ(床板とのすき間)や踏みごたえがあるかをチェックします。踏み残りしろをものさしで測り、基準値を満たしていることを確認すればより正確に行えます。
踏みごたえがやわらかかったり、踏み残りしろが基準値を満たしていない場合は、ブレーキ液の漏れや空気混入の恐れがあるため、整備工場で点検してもらいましょう。
②パーキング・ブレーキ・レバーの引きしろ(踏みしろ)
パーキング・ブレーキ・レバーをいっぱいに引いたときに、引きしろが多すぎないか、あるいは少なすぎないかどうかをチェックします。
最近はパーキング・ブレーキがペダル式の車も増えているので、その場合はペダルの踏みしろをチェックします。
③ウインド・ウォッシャー液の噴射状態
ウインド・ウォッシャー液の高さや噴射の向きが適当であるか、飛散しすぎていないか、またフロントガラスの汚れを落とせているかどうかをチェックします。
④ワイパーの拭き取り
ワイパーを作動させたときに低速・高速が不良ではないか、ウォッシャー液をきれいに拭き取れているかどうかをチェックします。拭き取り状態が悪い場合は、ワイパーゴムを交換しましょう。
なお、ワイパーを作動させる際は必ずウォッシャー液を噴霧した状態で行ってください。空拭きはガラスを傷つける原因となります。
⑤エンジンのかかり具合や異音
エンジンが速やかにかかるか、エンジン始動時やアイドリング状態で異音がしないかどうかをチェックします。
⑥エンジンの低速・加速の状態
エンジンが温まった状態でアイドリング時の回転数が安定しているか、アクセル・ペダルを徐々に踏み込んだときに引っかかりがないかどうかをチェックします。
また、走行中はエンストやノッキング(ノックするような金属音や振動)を起こさずスムーズに回転するかどうかにも注意しましょう。
日常点検を行う頻度とタイミング
事業用自動車やトラックなど事業に用いる一部の自動車に対しては、1日1回運行前に日常点検を行うよう法律で定められています。
しかし、その他の自動車については具体的な頻度やタイミングについて記載がなく、迷ってしまう方も多いかと思います。
ここでは、どのくらいの頻度やタイミングで日常点検を行ったらよいかを解説します。
頻度
トラックやバス、タクシー等を自動車運送業において利用する場合は、1日1回運行の開始前に点検を実施することが義務付けられています。
また、自家用自動車(白ナンバー)であっても、市町村などが国土交通大臣の行う登録を受けて、地域住民や観光客などを有償で運送する場合は、同様に運行前点検を行わなければなりません(道路運送車両法 第47条の2)。
営業活動などで使用する社用車の場合は、特に法律で定められていませんが、従業員が車を利用する際に毎回実施するのが理想です。
任意での実施とすると、なかなか実施されない可能性があり、直近でいつ実施されたのかを把握することも難しいので、乗車の度に実施するというルールを設けるとよいでしょう。
プライベートの車については、もう少し間隔をあけて実施するケースが多いようです。年間走行距離が1万km程度の自家用車の場合は、最低でも1ヵ月に1回の点検が推奨されています。年間走行距離が1万kmを超える場合は、距離に応じてより頻繁に点検するのが望ましいです。
タイミング
運転前に日常点検を行っていたことで異常を発見でき、事故を未然に防げることもあるため、乗車前に日常点検を行うことを習慣づけておくとよいでしょう。
特に、長距離の運転を予定している場合は、車に負担をかけるため、事前に状態を確認しておくと、旅先や土地勘のない場所でトラブルに巻き込まれるのを防げます。
そのほか、大雨、雪、黄砂など天気や気候に大きな変化があった後も、日常点検を行っておくとよいでしょう。
日常点検を怠った場合のリスク
先にもご紹介したとおり、ドライバーの責任として車の日常点検は道路運送車両法によって義務付けられています。日常点検を怠ることに罰則はありません。しかし、日常点検を怠った結果、車両に不備が見受けられた場合は、罰則があります。
また、日常点検を怠ると以下のようなトラブルにつながることがあるため、定期的に日常点検を行うことが大切です。
車両トラブルにつながる
日常の些細な見落としや点検の怠りが、大事故につながる可能性があるため、細心の注意が必要です。車両トラブルとしては以下のようなケースが見受けられます。
- タイヤの異常摩耗:タイヤの異常摩耗によって水の溜まった道路で運転操作不能になり、タイヤが縁石に乗り上げて車が横転する
- ウインドウウォッシャー液の不足:冬季にフロントガラスが凍結していたのでウインド・ウォッシャー液を利用して溶かそうとしたが、液量が不足していたため、前方視界が得られず前方車両に追突する
しかし、これらのトラブルも、日常点検を通じて確認できる項目に関連しているため、日常点検を怠らなければ事故を避けることができます。
整備不良の場合は罰則がある
日常点検を行っていなくても罰則はありませんが、整備不良の車を運転するのは違反行為です。警察に見つかった場合は違反点数を加算され、反則金を支払うことになります。
例えば、制動装置が不良の場合、2点が科され、9,000円の罰金が課せられます。ブレーキランプやテールランプなど尾灯等の不備は、1点が加算され、反則金は7,000円です。
マフラー(消音器)やヘッドライトの無灯火も違反です。マフラー不備は2点、ヘッドライトの無灯火は1点で、それぞれ6,000円の反則金を支払うことになります。ドライバーは警察の指摘で初めて整備不良に気づくケースが多いので注意が必要です。
無料で使えるチェックシート3選
ここまで、日常点検で見るべき15 項目や実施すべき頻度とタイミング、日常点検を怠った場合のリスクについて解説してきました。
実際に点検作業を行う際は、チェック項目と点検結果を記録できるチェックシートがあると便利です。
無料でダウンロードできるチェックシートを以下に掲載していますので、ぜひ活用してください。
弊社が提供する、自家用自動車用の日常点検チェックシートです。Excel形式でビジネス用としても使いやすいフォーマットです。フォームに必要事項を入力するだけで無料でダウンロードできます。
その他、以下のチェックシートもおすすめです。
国土交通省のものはイラスト付きでわかりやすく、JAFのものはシンプルで使いやすい点が特長です。
点検記録の保存について
道路運送車両法第49条では、定期点検整備のための記録簿を車内に備え、点検や整備を行ったときは記録を残すことが義務付けられています。
日常点検については特に定められていませんが、定期点検と同様、車内に記録簿を備えておくことが多いです。
保存期間
定期点検の記録については、3ヶ月、6ヶ月点検対象車は1年保存、1年点検対象車は2年保存することが義務付けられています。
一方、日常点検の記録については、具体的な保存期間が定められていません。しかし、最後に点検を行ったのはいつなのか把握したり、交通事故等により点検記録の提出を求められたりすることを考えると、最低1年程度は保存しておくことをおすすめします。
保存形式
保存形式についても特に指定はされていません。一般的には、紙のチェックシートを車内に積んでおき、点検結果を記入したらファイリングしてオフィスで保管するケースが多いです。
日常点検をスムーズに始める3つのポイント
日常点検で見るべき項目や、実施すべき頻度とタイミングについて理解いただけたでしょうか。ここでは、これから日常点検を始める方に向けて、スムーズに運用するためのポイントを紹介します。
①定期的な点検スケジュールを設定する
企業が管理する社用車が対象となる場合、日常点検を実施する頻度やタイミングをドライバー任せにしてしまうと、ついつい後回しにしてしまい、長期間実施されない・・・というケースもしばしば見受けられます。
そのため、点検日や頻度については社内ルールを定めることが重要です。
マイカーの日常点検を行う場合も、カレンダーやリマインダーに設定することで、点検忘れを防止することができます。
②点検作業を標準化する
社用車や、家族で共有する場合など、作業者によって注目するポイントや作業手順が違うと、異変の見落としにつながるリスクがあります。
チェックすべき項目と合わせて、特に注意して見る箇所や作業手順を記したマニュアルを用意し、作業者間での差が出ないような工夫をするとよいでしょう。
③チェックシートの保存体制を構築する
チェックシートを紙で保管する場合は、前もって専用ファイルを用意します。企業などで複数の社用車を対象とする場合は、保管するファイルの量も多くなりますので、あらかじめ保管庫を確保しておきましょう。
データで保存する場合は、チェックシートをPDF化して格納するために適切な場所を検討し、フォルダを作成しておきましょう。
車両トラブルや交通事故が発生した場合に、該当する車の点検状況をすぐに確認できる体制を構築しておくことは非常に重要です。
日常点検に加えて行うべき社用車管理とは
ここまで、社用車・マイカーに限らず日常点検を行う上で必要な情報を紹介してきました。
日常点検を企業が使用する社用車管理の一環としても行われます。ここでは、企業が実施すべき社用車管理の内容について詳しく紹介します。
社用車管理とは
社用車管理とは、社用車を使用している企業が、社用車やそれを利用するドライバーなどに対して、適切な管理を行うことです。
たとえば、日常点検を行って車両に異常がないか確認したり、ドライバーの運転前後に酒気帯びの有無を確認(アルコールチェック)したりといった管理業務があります。
タクシーやバスなど、緑ナンバーの車に対して行うイメージがあるかもしれませんが、営業車などの白ナンバーであっても社用車管理を行わなくてはなりません。
社用車管理の詳しい内容や、実施する上で準備しておくべきポイントなどについて知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
参考記事:社用車管理の重要性と必ず実施すべき3つのこと|効率化の方法も紹介
3つの主な業務
社用車管理の業務は、管理する対象によって大きく3つのカテゴリに分けられます。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
①ドライバーの管理
一つ目はドライバーの管理です。社用車を使用するドライバーに対しては、以下のような管理を行う必要があります。
- 運転者台帳の管理
- 運転免許証の更新期限
- 安全運転教育の実施
- 点呼の実施
- アルコールチェックの実施
運転者台帳とは、ドライバーの氏名、生年月日、雇用開始日、事故歴、健康状態などを記録する台帳です。トラックなどの貨物自動車や、タクシー・バスといった旅客自動車については、法令で作成が義務付けられています。(旅客自動車においては、乗務員等台帳といいます。)
参考:貨物自動車運送事業輸送安全規則、旅客自動車運送事業運輸規則
白ナンバーの自動車には運転者台帳の作成義務はありませんが、運転免許証の有効期限は必ず管理する必要があります。一般的には、Excelに情報を入力し、管理者が定期的に有効期限を確認するケースが多いです。
安全運転教育や点呼、アルコールチェックの実施は、交通事故を防止するために企業として欠かせない取り組みです。安全運転や事故防止に必要な知識・技能を学ぶ機会を提供し、運転業務において点呼やアルコールチェックを実施することで、ドライバーの健康状態や酒気帯びの有無を確認します。
企業における安全運転教育については、以下の記事を参考にしてください。
参考記事:企業が取り組むべき「安全運転教育」とは?事故防止に役立つツールも紹介
2022年4月の道路交通法改正により、安全運転管理者を選任している事業所に対して、アルコールチェックが義務付けられました。詳しく知りたい方は、『5分でわかる!アルコールチェック義務化のすべて』をご確認ください。
なお、緑ナンバーの事業者には2022年4月の法改正以前からアルコールチェックが義務付けられています。
②車両の管理
二つ目は車両の管理です。従業員が安全に車両を使用できるよう、車両本体の管理も適切に行う必要があります。具体的には、以下のような管理を行いましょう。
- 車両管理台帳の管理
- 自動車保険の加入・更新
- 車検や点検・整備
- 最適な車両台数の把握
車両管理台帳とは、企業が車両を利用する上で必要となる情報を一元管理するための台帳です。車両管理台帳に盛り込むべき項目や、無料でダウンロードできるテンプレートは以下の記事で紹介していますので、合わせてご覧ください。
参考記事:車両管理台帳のエクセルテンプレート|記載項目や保存期間も解説
自動車保険の加入や更新、車検、点検・整備の状況把握、そして適切なタイミングでの実施は重要な業務です。多くの場合、Excelの管理表やリマインダー機能を利用して確認します。これらを徹底し、抜け漏れなく管理するための運用方法を確立することがポイントです。
さらに、車両の稼働状況を把握し、最適な台数で運用できているかを見極めることも、コスト管理の観点から重要です。
③記録類の管理
三つ目は記録類の管理です。社用車に関して管理すべき記録がいくつかあります。具体的には以下のような記録を管理するようにしましょう。
- 運転日報
- 日常点検記録
- アルコールチェック記録
運転日報とは、業務で自動車を運転した際に、ドライバーが氏名や走行距離など必要な項目を記載するものです。緑ナンバー事業者および、安全運転管理者を設置している白ナンバー事業者には、法令により作成と管理が義務付けられています。
運転日報に記載すべき項目や保存期間などについて知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
参考記事:運転日報とは?記載すべき項目や書き方、保存期間もわかりやすく解説
また、車両トラブルの未然防止や早期発見には、業者による定期点検に加え、ドライバー自身が乗車前に実施する日常点検と、その結果を記録することも重要です。日常点検で確認すべき項目や方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
参考記事:【チェックシート付】車の日常点検15項目|頻度やタイミングも解説
「ドライバーの管理」の一環として行われるアルコールチェックは、実施するだけでなく、記録を1年間保存することが法令で義務付けられています。以下の記事では、法令に基づいた記載項目を網羅した記録簿のひな形(Excelテンプレート)を無料でダウンロードできますので、ぜひご活用ください。
参考記事:アルコールチェック記録簿テンプレート5選|記入例や保存期間も紹介
社用車の所有台数によっても管理すべきことが異なります。自社は何をすればいいんだろう…と不安な方は『所有台数別でやるべきことが違う?社用車管理完璧マニュアル』をぜひご参考ください。
記録・保存の効率化に「車両管理システム」が注目されている
今回紹介したように、日常点検の結果はチェックシートに手書きで記録することが多いです。また、社用車管理に関するその他の記録類も、紙やExcelで管理しているケースが多いようです。
しかし、企業の社用車など、保有する台数が多い場合は、チェックシートの回収に手間や時間がかかる上、大量の紙を保管するためのスペースも必要となります。
そこで、日常点検などの社用車管理(車両管理)に関する記録類を効率的に運用するために、近年注目されているのが車両管理システムです。
車両管理システムとは
車両管理システムとは、社用車やリース車などの車両を効率よく管理することができるシステムのことです。
具体的には、運転日報や日常点検などの書類をデータで管理できるシステム、1台の車を複数人で使う場合の予約管理ができるシステム、アルコールチェック義務化の対応をまるごと行うことができるシステム、走行距離を計測して最適なルートを教えてくれるシステムなどがあります。
2017年の中型トラックに対するタコグラフ搭載義務化をきっかけに需要が一気に高まり、2016年から2022年の間で、車両管理システムを導入した車両台数は約3.7倍になりました。
また、2022年4月から施行された、白ナンバーに対するアルコールチェック義務化に対応するために導入したという企業も増えています。
アルコールチェック義務化について復習したい方のために、わかりやすく解説した『5分でわかる!アルコールチェック義務化のすべて』をご用意しました。ぜひご覧ください。
車両管理システムを用いた日常点検の運用例
車両管理システムを用いて日常点検を行う場合の流れを、弊社の提供する車両管理システム「Bqey(ビーキー)」を具体例として用いて説明します。
1. 運転前にスマホでBqeyのアプリを開き、記載された項目の点検を行います。
点検結果はOKまたはNGをタップするだけで簡単に記録できます。
※日常点検記録のスマホ画面
2. 点検・記録が完了したらアプリから提出します。
3. 提出された記録はすぐにシステムに反映され、管理者はクラウド上で内容を確認することができます。データは自動で3年間クラウド上に保存されます。
※日常点検記録のPC管理画面
日常点検の結果にNG項目があった場合には管理者へメールで通知されるため、すぐに整備や修理の準備を進めることができます。また、日常点検が未記入の場合はドライバー本人へアラートメールが送られるため、点検忘れや提出漏れを防ぐことができます。
このように、車両管理システムを活用すると、ドライバーの記録や管理者のチェック業務を効率的に行うことができます。
社用車の管理方法を見直して業務効率化を叶えた企業様の事例を、『成功事例から学ぶ最新社用車管理』でご紹介しています。ぜひ自社の運用と見比べて、より効率的な社用車管理の運用方法を検討してみましょう。
まとめ
今回は、日常点検の重要性や具体的なチェックポイントについて解説しました。
日常点検は道路運送車両法によって義務付けられていますが、運送事業者以外には直接的なペナルティがないため、つい怠ってしまいがちです。しかし、日常点検を行わなかった場合は重大な事故につながるケースもあるので、走行距離、運行状況に応じて、適切に行い、記録を保存しておくようにしましょう。
企業においては、社会的責任として、安全運転確保のため日常点検をはじめとする社用車管理をしっかりと行わなけれなりませんが、台数が多いと管理するのが大変なのも事実です。そんなときは、車両管理システムを活用するのもおすすめです。自社に合った運用方法を見つけ、事故防止を心がけましょう。
初期費用不要!1台から始められる!
車両管理システムなら「Bqey(ビーキー)」
「どうせなら、日常点検だけでなく車両管理に関する業務も合わせて効率化したい…」そんなときは車両管理システム「Bqey」におまかせ!
【Bqeyが選ばれる3つの理由】
- 初期費用や車体工事が不要で導入しやすい
- 1台・1ヶ月から始められる料金体系
- 使い勝手満足度92.3%!わかりやすい操作画面
まずは「Bqey」の資料をダウンロードしてみてください。 日常点検はもちろん、車両管理業務をまるっと効率化できるイメージが湧くと思います!