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2023.06.21

社用車で事故が起きたら誰の責任?対応方法や保険、体制作りも解説

従業員が社用車で交通事故を起こした場合、「事故を起こした従業員や会社にどのような責任や影響があるかわからない」という方は意外と多いものです。同じ交通事故でも、業務中と業務外、社用車とマイカーなど、ケースによっても対処法は異なります。

 

そこで本記事では、社用車で事故が発生した場合の「責任」についてや、「事故発生時の対応の流れ」などについて解説します。万が一に備えるためにも責任のありかを認識し、対応策や事故防止策を知っておきましょう。

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社用車で事故が発生、誰の責任?

従業員による交通事故が発生した場合、事故を起こした本人にも会社にも責任が生じます。それぞれが伴う責任について、詳しく解説していきます。

事故を起こした本人が負う責任

事故を起こしてしまった従業員には、以下の責任が問われます。

  • 刑事上の責任(懲役、禁固、罰金など)
  • 行政上の責任(刑罰ではないが免許の停止、取消など厳しい処分もある)
  • 民事上の責任(被害者の痛手を回復する損害賠償)

刑事上の責任には、刑事罰が伴います。以前は、過失により交通事故を起こして人を死傷させた場合、業務上過失致死傷罪(刑法211条)に問われるなど、処罰の対象になっていました。現在は、刑法第211条の2により自動車運転過失致死傷罪が適用されます。厳罰化の流れを受けて罰則は、懲役7年以下または罰金100万円以下です。

 

もし、飲酒運転、無免許運転、あおり運転など悪質な運転によって人を死傷させた場合は、危険運転致死傷罪に当たります。けがを負わせた場合で懲役15年以下、死亡させた場合で懲役1年以上20年以下が科せられます。

会社が負う責任

従業員が交通事故を起こした場合、社用車の所有者である会社は次のような責任が問われます。

使用者責任

従業員が業務時間中に交通事故を起こした場合、民法第715条で定められた「使用者責任」が成立し、雇用主も責任を負います。

 

交通事故は、他人の権利や法律上保護されるべき利益を違法に侵害する「不法行為」とみなされるため、従業員の不法行為によって誰かに損害が生じた場合は、雇用主が従業員と連帯して責任を負わなければなりません。社用車だけでなく、マイカー(自家用車)を使って業務を行っていた場合にも「使用者責任」は発生するため、注意が必要です。

運行供用者責任

運行供用者責任」とは、自動車の運転によって利益を得る者が、自動車が関与した交通事故に対して責任を負うことです。会社が従業員に業務で車を使用させている場合、会社は車の運転によって利益を得ているとみなされ、運行供用者責任を負うことになります。

 

運行供用者責任のポイントは、「運行を支配し利益を得る人」に責任が課せられることです。運行支配とは、車の運行に対して支配権を持ち、車の使用をコントロールできる立場であることを指します。

 

また、運行利益は、客観的に利益が生じている状態を指します。トラックや代行業者だけでなく、営業に使用される車でも、会社側に運行供用者責任が発生する場合があるため、注意が必要です。

状況別に見る、責任の範囲

交通事故が発生したときの状況によって、従業員と会社側の誰にどのような責任が生じるのかをチェックしてみましょう。

業務時間中の場合

まず、業務時間中に従業員が引き起こした交通事故について考えてみましょう。ここでは「社用車」を用いた場合と「マイカー」を使用した場合、それぞれについて解説します。

社用車の場合

社用車を使用している従業員が業務時間中に事故を起こした場合、関係者には重要な法的責任が課せられます。まず、従業員が不法行為を行ったことにより、会社には使用者責任が発生します。これは、従業員が会社の代表として行動していたためです。

 

事故が会社名義の車両で発生した場合、会社は車両の運行と維持管理についての責任があるため、あわせて運行供用者責任も負うことになります。もちろん、事故を起こした従業員本人にも、個別の責任が課せられます。

マイカーの場合

従業員が業務時間内にマイカーで事故を起こした場合でも、会社は従業員の運転によって利益を得ているため、運行供用者責任と使用者責任が発生します。

 

通勤・退勤時でも、業務との連続性があれば会社側に使用者責任や運行供用者責任は発生します。基本的には会社に責任がありますが、従業員が通勤時や帰宅途中にプライベートの用事を済ませた場合は、業務との連続性がなくなり、会社側は使用者責任も運行供用者責任も発生しません。

 

業務との連続性については、個別具体的な判断が必要です。例えばコンビニに寄る程度であれば業務との連続性は切れません。しかし、会社帰りに家族や友人と待ち合わせて買い物やレジャーに行き、食事をした後に事故に遭った場合などは連続性が切れていると考えられるため、会社に責任は発生しないと考えられます。

業務時間外の場合

次に、業務時間外に従業員が引き起こした交通事故について考察します。「社用車」の使用と「マイカー」の使用、それぞれのケースについて説明します。

社用車の場合

社用車で業務時間外に事故を起こした場合、会社名義の車による事故なので、基本的には会社に運行供用者責任が発生します。

 

ただし、従業員が無断で社用車を私的利用した場合は、会社は利益を受けていないため、運行供用者責任も使用者責任も発生しません。使用者責任が発生するには、業務執行中の不法行為が要件となるため、業務時間外の不法行為は対象外だからです。一方で、事故を起こした従業員本人には責任が生じます。

マイカーの場合

従業員が業務時間外にマイカーで事故を起こした場合、会社の責任は発生しません。なぜなら、事故は業務とは関係なく発生したものであり、会社側は利益を得ていないからです。

 

会社には責任がなく、事故を起こした従業員本人が個人的な責任を負うことになります。

事故によって発生する費用は誰が負担するのか

業務時間内と時間外、社用車とマイカーなど状況別における責任の範囲がわかったところで、次は「事故によって発生する費用負担は誰が行うのか」について、詳しく解説します。

賠償責任は本人と会社の両者にある

交通事故における従業員と会社間の賠償責任については、「どちらが責任を負うのか」や「その責任の割合」が問題となります。被害者から損害賠償を求められた場合、従業員と会社は「連帯責任」を負います。

 

これは、それぞれが全額の責任を負い、負担割合という概念は存在しないということを意味します。例えるなら、連帯保証をしたときの連帯保証人と同様の責任です。

 

被害者は、会社と従業員の両方に対して全額の支払いを請求することができます。ただし、会社と従業員の負担割合は、双方の話し合いで解決され、両者の合意によって確定されます。例えば、従業員が事故を起こし、その結果として会社が責任を負う場合でも、被害者は全額の支払いを会社と従業員の双方に請求することができます。

社用車の修繕費は通常会社が負担する

労働基準法第16条によれば、修繕費用の負担は通常、社用車を所有する会社側にあります。

 

しかし、指導や注意を繰り返しても同じ従業員が何度も事故を起こして修理費が発生してしまうケースもあるでしょう。繰り返しの指導や注意を行ったにもかかわらず、同じ従業員が何度も事故を起こして修繕費が発生する場合は、従業員にも費用の請求が可能です。社員が適切な注意と責任の意識をもつことで、事故の予防と安全意識の向上が期待できます。

保険は適用されるのか

社用車での事故には、通常、会社が加入している自動車保険が適用されます。業務時間中に社用車で事故を起こした場合、従業員が個人で加入している自動車保険を使用することはありません。

 

また、マイカー通勤が許可されており、そのルールが会社に明確に存在する場合、従業員がマイカーで事故を起こした際にも、会社が契約している自動車保険が適用されます。ただし、マイカー通勤を禁止しているにもかかわらず従業員が通勤途中で事故を起こしてしまった場合は、従業員の責任となり、会社が加入している自動車保険の適用外となります。

事故現場での対応9ステップ

事故が発生した際はパニックに陥りやすく、適切な行動や判断が難しくなることがあります。そのため、日頃から事故時の対応方法を学び、これを従業員に対して周知徹底することが重要です。そうすれば、もしもの状況に直面したときでも、従業員は落ち着いて行動し、適切な判断ができるようになるでしょう。

①車を安全な場所に停める

道路交通法第72条では、「事故を起こした場合、直ちに運転を停止し、負傷者を救護して道路の危険を防止する措置をとる必要がある」と定められています。

 

交通事故が発生した際には、まず安全な場所に車を停車し、降車することが重要です。気が動転して車から降りなかったり、走り去ったりといった行為は絶対に避けなければなりません。走り去ることで、ひき逃げや当て逃げの過失運転致死罪、救護義務違反、報告義務違反の罪に問われることもあります。

 

車から降りないなどの行為は、必要な応急処置を行わないことにつながり、命の危険を招くリスクがあります。心が乱れていても、とにかく車を停車させて降り、安全を確保した上で、必要な措置をとることが重要です。

②けが人を救護する

車を降りたら、まずは被害者(けが人)の救護を優先しましょう。応急処置を行った後、必要に応じて救急車を呼びます。従業員自身が被害者になった場合は、診断書が必要です。業務中の事故では労災が適用され、治療費や休業補償の申請も行えます。

 

被害者の救護手順は以下の通りです。

  1. 意識の有無を確認し、意識がある場合は楽な姿勢で待機させ、意識がない場合は気道を確保して横向きに寝かせる(回復体位)
  2. 負傷者は原則として移動させず、危険がある場合には安全な場所へ移動させる
  3. 救急車を呼ぶ際には、負傷者の意識の有無と事故の詳細を伝える
  4. 救急隊員の指示に従って応急救護を行い、救急車到着後に容態を報告する

負傷者の出血が見られる場合は、止血のためにガーゼやハンカチを使用します。呼吸がない場合や、正常な呼吸ができているか不明な場合は、AEDの使用や胸骨圧迫(心臓マッサージ)を行いましょう。

 

事故直後の負傷者は興奮状態にあるため、痛みを感じないこともあります。頭部や頸部に衝撃があった場合は後になって痛みが出ることもあるため、軽微な事故でも救急車を呼ぶことが大切です。

 

救護方法の詳細は「交通教本」などに記載されていますので、免許取得時や更新時はもちろん、会社で安全教育などを行い、普段から確認しておきましょう。

③危険防止措置をとる

事故現場では、まず負傷者の救護を最優先に行いますが、その後は二次事故を防ぐための危険防止措置が必要です。危険物を片付けたり、自動車のハザードランプを点灯させて後続車に事故が発生したことを知らせたりしましょう。場合によっては、三角表示板や発煙筒を使用するのもおすすめです。

 

事故現場には、自動車の破片が散らばっていることがあります。これらは、事故の証拠となる可能性がありますので、二次事故を引き起こさない範囲であれば、それらを動かさずにそのままにしておくことが必要です。

④警察に連絡する

危険防止措置の後は、警察への届出が必要です。道路交通法第72条によれば、交通事故が起きたら警察を呼ぶことが義務づけられています。近くに交番があればそこへ、なければ110番に電話をかけて事故を報告しましょう。警察が到着すると、当事者の立ち会いのもとで実況見分が行われ、事故現場や状況が詳しく調査されます。

 

届出の際には、以下の情報を正確に伝える必要があります。

  • 事故が発生した日時と場所
  • 死傷者や負傷者の数と状態
  • 損壊物の有無と程度
  • 事故に関連する車両や積載物の情報
  • 既に行った対応措置
  • 窓口担当者からの質問
上記の報告を怠ると、道路交通法違反となり、罰則が課される可能性があります。物にわずかに接触したような軽微な事故でも、必ず警察への届出を行い、その後の指示を仰ぎましょう。

⑤相手の情報を確認する

事故直後には、加害者と被害者が明確でない場合もあります。自分が過失者だと思い込んでいても、実は相手が交通違反を犯していたというケースも存在します。そのため、注意が必要です。いずれにせよ、後に示談交渉を行わなければなりません。念のため、免許証の確認や名刺の交換をして、名前等の情報に聞き間違いがないか、確認しておくことも重要です。

⑥目撃者を確保する

近年は、ドライブレコーダーの普及により、証拠映像が得やすくなりました。しかしながら、相手方の責任を考慮する際、目撃者の証言は非常に重要です。そのため、可能であれば目撃者を確認し、その連絡先を記録しておくことが必要です。

 

事故が起きた際に警察がすでに現場にいる場合、目撃者からの事情聴取は速やかに行われます。しかし、警察がまだ現れていない場合、目撃者に対して協力をお願いし、待機してもらう必要があります。目撃者の証言は重要な証拠となるため、客観的に状況を把握するためには目撃者の協力を得る必要があります。

⑦会社に連絡を入れる

実況見分が終わった後は、速やかに会社に連絡を入れましょう。連絡は警察が到着する前でも構いません。

 

事故は運転者だけではなく、会社全体の責任も問われることから、事故を起こした事実と詳細な状況を会社に正確に伝えることが重要となります。特に、社用車での事故の場合、会社の保険を活用し、会社と従業員が連携して責任を負うことになるでしょう。冷静に状況を把握し、正確に情報を伝えておけば、事故報告書の作成や今後の対応策を考える際に大いに役立つでしょう。

⑧事故の現場を記録する

事故現場の記録は、事故の原因特定や過失割合の決定に欠かせません。事故発生後は、できるだけ冷静な状態で、事故の詳細を細かくメモや画像で残すことが重要です。以下のような要素を記録しましょう。

  • 事故現場の道路状況や周辺状況
  • 自動車の衝突地点や停車位置
  • 被害者の転倒地点
  • 自動車の破損状況
  • タイヤのスリップ痕

写真撮影も積極的に行うことが大切です。上記の項目の状況がわかるように、撮影する角度、事故車両の状況、破片の飛散具合など、さまざまな視点から記録を残すことが重要になります。写真の記録は、過失割合の交渉材料として役立つだけでなく、損害賠償時の金額などにも大きな影響を与えます。

 

警察は過失の評価を行わないため、自ら行動することで、後に有利な交渉に繋げることができるケースもあります。

⑨けがをしている場合は病院に行く

事故に関与した従業員自身がけがをした場合、痛みがないからといって安心せず、必ず医療機関で診察を受けることが重要です。事故の衝撃で興奮状態になり、その場では痛みを感じないことがありますが、時間が経つと痛みが出てくることはよくあります。痛みがすぐには現れない場合もあるため、必ず医師の診察を受け、診断書をもらうようにしましょう。

 

この診断書は、後日交通事故による損害賠償請求を行う際に必要となります。健康管理の観点からも、早期に適切な治療を受けることが大切です。

社用車事故が発生した場合の会社対応6ステップ

従業員が事故を起こしてしまった場合の会社側の対応策についても整えておくことが重要です。対応をマニュアル化しておくことで、サポートもスムーズになるでしょう。

①従業員に事故状況を確認し、現場での対応の指示を出す

まずは事故状況を把握する必要があります。事故を起こした従業員に詳細を確認し、以下のような具体的な指示を出しましょう。

  • 被害者が二次被害に遭わないように道路の端に移動させる
  • 社用車はエンジンを停止し、車から降りてハザードランプを点灯させるか道路の端に寄せておく
  • すぐに警察に連絡する
  • 相手の情報(連絡先や車の車種・ナンバーなど)を確認する
  • 勝手に示談交渉しないように注意する
事故の際は混乱することが多く、従業員自身がパニックになることもあります。そのような時には、上司や会社からの具体的な指示が非常に有効です。また、示談交渉については、被害者側から強く求められることもありますが、無理に同意せず、必ず保険会社を介した正式な手続きを経るよう指導しておきましょう。

②従業員本人がけがをしている場合は、現場に行く

従業員が事故で負傷した場合、会社は迅速かつ適切に対応する必要があります。管理者は直ちに現場に向かい、従業員の代わりに現場の状況を確認しなければなりません。管理者が現場に行き、的確な判断と適切な措置を取ることで、事故の影響を最小限に抑え、支援を確実に行うことができます。

③保険会社に連絡する

事故が発生した場合、会社から契約している保険会社に速やかに連絡することが大切です。特に人身事故の場合は、事故が起きてから60日以内に連絡しなければ、保険金が支払われないケースもあるので注意しましょう。保険会社へ伝えるべき情報は、以下のとおりです。

  • 事故の状況
  • 事故相手の連絡先、氏名、住所
  • 社用車に関連して損壊した物についての損害賠償請求の内容

④交通事故証明書を申請する

社用車が事故を起こした場合、交通事故証明書が重要な書類となります。交通事故証明書は、事故が公的機関である警察によって正式に認知された証拠となり、保険会社への請求やその他の関連する手続きにも必要です。

 

特に人身事故の場合、事故から5年経過すると交通事故証明書の発行ができなくなります。被害者の死亡や重傷などの場合には、この証明書がますます重要となります。ただし、交通事故証明書は、事故の報告が警察になされた場合のみ発行されます。そのため、事故が発生したら速やかに警察に報告し、必要な手続きを行うことが重要です。

⑤従業員に報告書作成を依頼する

従業員には、事故報告書を提出してもらわなければなりません。事故報告書は、事故の内容や原因、被害状況、対応策などを明確に伝えるための重要な文書です。

 

報告書に記載すべき内容は以下のとおりです。

  1. 事故の具体的な状況
    事故がどのように起きたのか、何が原因であったのか、事故現場はどこであったのかなどを明らかにします。原因が複数存在し、詳細がわからない場合は「調査中」と記載します。
     
  2. 被害状況
    けが人や物損の有無、損害の具体的な金額や治療費などを詳細に書きます。どうやって解決したかという対応策についても記述しましょう。ただし、事故が直近の場合には解決策がない場合もあります。対応策がない場合は状況のみを記載し、「相手は現在治療中」などと明示します。
     
  3. 再発防止策の記述
    「車のメンテナンス」や「設備の見直しを行う」など、具体性のある内容を記載します。
     
  4. 事故の反省点
    遅刻の危機感から焦りが生じたなど、具体的な問題点がある場合は報告書に記載する必要があります。時系列に沿って書き進めるように指導しましょう。

⑥従業員へのケアと、安全教育を実施する

事故を起こした従業員は、「運転が怖くなる」「出勤しづらくなる」など、メンタル面で負担を抱えてしまうこともあります。短時間の運転から始めて様子を見ながら少しずつ運転時間を延ばす、夜の運転はしないなど、従業員に対するケアを行うことも大切です。

 

産業医がいれば、慣らし運転就労などの相談をし、方針を決めるのも良いでしょう。今後、従業員による事故を減らすためにも、安全教育を実施するなどの指導も必要になります。

事故報告書テンプレート(ダウンロード可)

従業員に提出してもらう事故報告書には、特に決まった書式はありません。ワードやエクセルなど、記載しやすく会社で管理しやすいものを利用しましょう。以下は、無料でダウンロード可能なテンプレートです。会社によって、報告する内容は異なるので、必要な項目を追加したり修正したりして利用してください。

       

社用車で事故を起こすとペナルティがあるのか

従業員が社用車で交通事故を起こした際に、従業員に対して「〇%の費用負担」「〇万円の費用負担」などのペナルティを負ってもらいたいというのは、会社としては当然の思いかもしれません。

 

しかしそのためには、就業規則等でその可能性を明示しておく必要があります。就業規則等に明記されていない場合は、交通事故による厳重注意や降格、減給などの処分を行うことはできません。特に、降格や減給に関しては労働基準法でも規定があるため、就業規則に記載する際には、法律違反にならないかを事前に確認することが重要です。

 

また、「社用車を事故で破損させた場合には、その一部を従業員が負担する」といった具体的な金額や割合を規定することは禁止されています。

 

ただし、「社用車が事故によって破損した場合、一部の損害額を請求することがある」といった程度の表現であれば、就業規則に記載することは可能です。

 

社用車を従業員に使用させる業務では、車両管理規程を作成することで、実際に請求できないとしても「抑止」と「教育」を通じて事故を減らすことが期待できます。

やっておきたい、事故防止策5選

事故を防止するために、会社や従業員ができることはたくさんあります。最後に企業向けの事故防止策を5つご紹介しましょう。

①定期的な安全教育の実施

新人からベテランまで、社用車で業務を行っている従業員は、全て免許証を所有しています。しかし、中には運転経験が少なかったり、運転が苦手な従業員もいるでしょう。そこで、会社では全ての従業員に対して、定期的な安全運転教育を行うことが大切です。道路交通法の規定内容や標識の意味など、忘れがちな安全運転の基本をおさらいし、運転の基礎を身につけて全体的なレベルアップを行います。

 

また、社用車を運転する従業員に、自動車学校で提供されている「企業向け交通安全運転講習」を受講させるのもおすすめです。運転に向かない従業員に適性診断を行い、配置換えや運転の機会の削減を検討することも重要になります。加えて、無事故無違反の従業員には表彰制度を導入し、モチベーションを高めることも有効です。

②事故が発生しやすいスポットの把握

従業員の安全意識を向上させ、交通事故の発生を減らすためにも、交通事故が多発する場面を社内で共有するなどの安全教育も必要です。

 

例えば、交差点や裏通りなどは事故が起こりやすい場所です。従業員に事故に関する情報を事前に伝えることで、注意力を高め、実際に事故が起こりそうな場面で対策を講じることができるようになるでしょう。

③ヒヤリハットの共有

ヒヤリハットとは、事故や災害へと繋がりかねない危険な状況やミスのことを指します。ヒヤリハットの由来は、予期しない出来事に対して「ヒヤリ」と感じる一瞬や、事故寸前のミスに「ハッ」と驚くことにあります。ヒヤリハットは、事故や災害の要因を特定し、対策を講じるための貴重な機会です。多くの企業がリスクマネジメントの観点からヒヤリハットを重視しています。

 

例えば、「運転中に助手席に置いているスマホが鳴ったときに画面を見てしまい、前方の車に追突しそうになった」など、日頃起こり得るヒヤリハットを社内で共有することが大切です。ヒヤリハットを「事故にならずに済んでよかった」と片付けず、その経験を生かして共有することで、再発防止に努めることが重要になります。安全教育の際に、ヒヤリハットのエピソードを発表してもらうのもおすすめです。

 

ヒヤリハットの主な原因は、当事者の不注意やマニュアル違反、準備不足などです。経験豊富なベテランから運転に慣れていない人まで、誰にでも起こり得ることを忘れてはいけません。

 

なお、運転中のヒヤリハットについては、以下のコラムでも解説しています。合わせてご覧ください。
参考記事:運転中のヒヤリハットには何がある?ヒヤリハットの事例を知って交通事故防止対策を考えよう!

④ドライブレコーダーの設置

ドライブレコーダーの設置によるメリットは多数存在します。以下にその主な利点を述べていきます。

 
  • 事故の証拠提供

交通事故が発生した際、ドライブレコーダーの映像は非常に重要な証拠となります。録画された映像により、事故の状況や原因を正確に把握することができます。これにより、事故の解決を円滑に進めることが可能になります。

 
  • 運転の抑止力

ドライブレコーダーが設置されていることを知ることで、運転者は安全運転を心掛けるようになります。特に、会社の車両に設置する場合、従業員の適切な運転行動を促す効果があります。

 
  • 運転スキルの向上

ドライブレコーダーの映像を見返すことで、自身の運転スキルの改善点を見つけることができます。これにより、より安全な運転を目指すことができます。

 

ドライブレコーダーの設置は、事故の予防や解決、そして従業員の安全意識の向上に大いに貢献すると言えます。

ドライブレコーダーと合わせて、社用車の使用状況を把握したり、運転傾向分析を行ったりできる「車両管理システム」を導入する企業も増えています。車両管理システムについては以下の記事でもご紹介しており、サービスごとの機能の比較もできますので、合わせてご覧ください。
参考記事:【2023】車両管理システム比較14選|選び方や機能を徹底解説

⑤安全性能の高い自動車の導入

安全装置がついた社用車を導入することも交通事故を減らす対策としておすすめです。事故の被害を最小限に抑えるための「パッシブセーフティ」、事故を未然に防止する「アクティブセーフティ」などの安全装置が導入されている車種を選べば交通事故の確率を減らせます。

まとめ

社用車を所有している企業は、基本的に運行供用者責任と使用者責任を負うことになります。具体的な責任の有無やその割合は、事故の状況やシチュエーションによるため、各ケースを具体的に理解することが重要です。

 

交通事故が起きた際には、誰もが冷静な判断や行動が難しくなるものです。万が一に備え、普段から安全教育を行うなどの対策を行いましょう。

 

今回は、事故現場での対応や事故が発生した場合の会社対応についても解説しました。ご紹介した内容を参考に、会社の安全対策に役立てていただければ幸いです。

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