運転中のヒヤリハットには何がある?ヒヤリハットの事例を知って交通事故防止対策を考えよう!
車を運転していると、自動車や歩行者の急な飛び出しなどによりヒヤリハットを経験したことがある方も多いのではないでしょうか。今回は、運転中に起こったヒヤリハットの事例を紹介した上で、ヒヤリハットを減らすために行うべき対策をご紹介します。
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ヒヤリハットとは?
ヒヤリハットって何?
ヒヤリハットとは、重大な災害や事故には至らないものの、それらに直結する一歩手前の出来事のことを指します。思いがけない出来事に「ヒヤリ」としたり、「ハッ」としたりすることが名前の由来となっています。つまり、運転中におけるヒヤリハットとは、車を運転している時に「あと少しで交通事故を起こすところだった」と「ヒヤリ」としたり「ハッ」としたりすることです。普段から車を運転する機会がある方であれば、一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
ハインリッヒの法則
ヒヤリハットに関する法則としてよく耳にするのは、「ハインリッヒの法則」です。ハインリッヒの法則とは、「1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300のヒヤリハットが存在する」というものです。大災害や重大事故を防止するためには、事故や災害の発生が予測されたヒヤリハットの段階で対処していくことが重要であると言われています。
運転中のヒヤリハットの事例4選
ここからは、運転中によくあるヒヤリハットの事例をご紹介します。なお、ヒヤリハットの事例は、厚生労働省の職場の安全を応援する情報発信サイトである「職場のあんぜんサイト」でもイラスト付きで紹介されています。運転中のヒヤリハットについては、「交通事故」の分類で掲載されていますので、興味のある方はこちらも合わせてご参照ください。
①前を走っている車に追突しそうになった
このヒヤリハットは経験したことがある方も多いかもしれません。前の車が急ブレーキをかけた時や、高速道路で渋滞に差し掛かったことに気付くのが遅れた時など、慌ててブレーキ操作をすることで、前の車にぶつかるギリギリのところで停車してしまうという事例です。前の車との車間距離を詰めて走行していると、ブレーキの対応が間に合わないことがあるので、常に一定の車間距離を保っておくことが必要です。
また、漫然運転もブレーキ操作が遅れる原因の一つです。漫然運転とは、集中力や注意力が低下した状態で車を運転することです。具体的には、前方を見ながら運転しているけれども、頭がぼーっとしていたり考え事をしていたりと、運転に集中できていない状態のことを指します。信号や前の車に注意できていないことで、ヒヤリハットに繋がる危険性があります。
なお、漫然運転については以下のコラムでも解説しています。漫然運転の対策もご紹介していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
②交通ルールを無視した車や通行人と接触しそうになった
「狭い路地で車を運転していたら、急に横から自転車に乗った小学生が飛び出してきた」「赤信号なのにバイクが交差点に侵入してきた」「右折禁止の交差点でトラックが右折してきた」など、交通ルールを守らない車や通行人などによって、接触事故を起こしそうになってしまうこともあります。交通量の多い道路はもちろん、狭い路地などでも車や自転車、人が通る場所である以上、いつ何が起こるかはわかりません。そのため、常に「かもしれない運転」を心掛けることが大切です。
「かもしれない運転」とは、「何かが起こるかもしれない」と常に想定して安全意識を持って車を運転することです。人や自転車がいたら「急にこちらに飛び出してくるかもしれない」と予想したり、前方に車がいたら「急ブレーキをかけるかもしれないから車間距離を広めに取っておこう」と注意しながら運転するようにしましょう。
③車線変更の際に他の車と接触しそうになった
車線変更も交通事故やヒヤリハットが起こりやすいシーンの1つです。
具体的には、無理な割り込みやウィンカーを出さない車線変更、ミラー確認の不十分などが挙げられます。早朝や深夜などの車通りが少ない時や急いでいる時などは、ウィンカーを出さないで車線変更する車もいるようですが、どんな状況であったとしても誰でも交通事故を起こす可能性があることを意識し、交通ルールを遵守する必要があります。
④雨天時や悪天候時に前がよく見えず、急ブレーキをかけた
雨天時や悪天候時の運転を怖いと感じる方も多いと思います。どんな時でも集中して運転する必要があるのは当然ですが、雨天時や悪天候時は特に視界が悪くなるのでさらに注意が必要です。雨天時や悪天候時は、晴れの日と比べて交通事故の発生件数が4倍になるとも言われています。
また、路面が滑りやすくなっている可能性も高いので、いつも以上に車間距離をとったり、スピードを落として運転しましょう。また、運転者と同様に歩行者にとっても視界が悪いので、早めの時間からライトを点けるなどの工夫も必要です。
運転中のヒヤリハットを起こしやすい人ってどんな人?
攻撃的な人
攻撃的な性格の人は、他の車や歩行者のちょっとした行動に対してもイライラしてしまいます。また、イライラした時などにあおり運転をしてしまったり、割り込み運転をしてしまったりと、感情的になって交通ルールを違反してしまう傾向にあるようです。このような人は、他の人に比べてヒヤリハットを経験する確率が高くなります。
車を運転する際はできる限りリラックスし、他の車や歩行者にイライラせず穏やかな気持ちでいることが大切です。性格に起因するところもあるのでなかなか難しいかもしれませんが、気持ちを落ち着けようとする意識を持つだけで、ヒヤリハットを起こす可能性を少しでも減らすことができます。
注意力散漫な人
先程お伝えした漫然運転だけでなく、何かに気を取られて前方への注意力が欠けてしまう状態での運転を指す「わき見運転」など、運転に集中できていない場合には交通事故やヒヤリハットを起こす可能性が高まります。考え事をしている場合なども集中力が欠けてしまうので、運転中は運転だけに集中するように心掛けなくてはなりません。
違反容認傾向にある人
違反容認傾向とは、「多少の交通ルール違反であれば問題ない」などと、勝手に違反を容認することです。例えば、混んでいない道路などで法定速度を超過したスピードで運転をしたり、ウィンカーを出さずに車線変更をしたり、信号が変わりそうなのに無理やり突っ込んだりなどの行為が挙げられます。
何人かの「これくらいの違反であれば大丈夫」という意識が重なると、重大な事故に繋がりかねません。交通ルールを守って運転していても、交通事故やヒヤリハットが起こる可能性をゼロにすることはできません。リスクを減らすためにも、どんな時であっても必ず交通ルールは守るようにしましょう。
ヒヤリハットや交通事故を防止するために気を付けるべきことは?
車間距離を詰めすぎないようにする
道路交通法第26条では「車間距離の維持」について次のように定められています。
●車間距離の維持(道路交通法第26条)
車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない
車間距離を保っておくことで、急ブレーキなどにも対応できます。先程の事例①の「前を走っている車に追突しそうになった」や事例②の「交通ルールを無視した車や通行人と接触しそうになった」、事例④の「雨天時や悪天候時に前が良く見えず急ブレーキをかけた」といった場合も、車間距離を保っておくことでヒヤリハットや交通事故を未然に防ぐことができます。安全運転をする上で、車間距離は非常に重要と言えます。
交差点付近では徐行運転する
人や車が行き交う交差点では、ヒヤリハットや交通事故の発生率が必然的に高くなります。人通りや交通量に関わらず、交差点付近では徐行運転するようにしましょう。徐行運転していれば、急な飛び出しがあっても対応することができます。
もしも交通事故を起こしてしまったら?
どんなに注意していても、交通事故を起こしてしまう可能性は誰にでもあります。事故を起こすと気が動転してしまい、冷静な判断をすることが難しくなってしまいますが、事前にとるべき行動を知っておくことでスムーズに対応することができます。もしも交通事故を起こしてしまった際は次のような手順で対応しましょう。
①けが人の救護
まずはけが人を救護しましょう。声をかけて意識があるかを確認した上で、救急車を手配します。事故が起きてすぐは何も違和感がなくても、しばらくしてから症状が現れるものもあるので、大したけがではないと勝手に判断しないようにしましょう。意識がない場合はまずは安全な場所に運び、必要に応じて人工呼吸や心臓マッサージを行います。
なお、心肺蘇生法の手順については、日本医師会の以下のホームページで詳しく紹介されています。こちらも合わせてご参照ください。
②二次災害を防ぐ
次に、二次被害や交通渋滞を避けるため、車を安全な場所へ移動させます。車の移動が難しい場合は、発煙筒やハザードランプを使って後続車に事故が起きたことを知らせましょう。 また、これらの対応が終わったら車内にいるのではなく、車から離れて安全な場所に移動しておきましょう。スピードが出ている高速道路では特に注意が必要です。
③警察へ連絡
小さな事故であっても、速やかに警察へ連絡しましょう。通報を怠ると、罪に問われる可能性があります。また、保険の適用などに必要になる「交通事故証明書」を発行してもらうためにも、警察への通報は必要です。必ず連絡するようにしましょう。
④相手者や目撃者の情報確認
相手者がいる場合は、 名前や住所、連絡先、車のナンバー、保険会社などを控えておきましょう。この時、口頭ではなく免許証などを見せてもらい確実に控えるようにしましょう。目撃者がいる場合は、名前や連絡先を聞いておくとよいでしょう。
⑤保険会社へ連絡
ここまでの対応が終わったら、保険会社へ連絡します。
なお、従業員が業務の一環で交通事故を起こした場合には、会社側にも責任が及びます。社用車での交通事故については以下のコラムでも解説していますので、合わせてご覧ください。
まとめ
今回は運転中のヒヤリハットとその対策をご紹介しました。どんなに注意して運転をしていても、ヒヤリハットを経験する可能性は誰にでもあります。他の人が経験したヒヤリハットを知って、常に「かもしれない運転」をすることが大切です。
また、車を運転する者として、どんな時も交通ルールを守り、安全運転を心掛けなくてはなりません。仕事で車を運転する機会がある場合は、ヒヤリハットを社内で共有する仕組みをつくるなど、従業員一人ひとりが交通安全意識を持つことが必須です。そして企業側は、定期的に安全教育を実施したり、運転前後のアルコールチェックを厳格化したりするなど、交通安全対策を徹底しましょう。
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