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2024.11.14

自家用車もアルコールチェック義務化の対象?条件や罰則を徹底解説

2022年4月の道路交通法改正による「アルコールチェック義務化」は、ニュースなどでも大きく取り上げられました。その中で、「自家用車もアルコールチェック義務化の対象になる」と聞いて、以下のような疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。

  • すべての自家用車にアルコールチェックを実施しなければならないのか?
  • 特定の条件に該当する自家用車やドライバーのみなのか?
  • マイカー通勤者にも行う必要があるのか?
  • そもそも自社はアルコールチェック義務化の対象なのか?

 

そこで本記事では、アルコールチェックが必要な自家用車の条件や、アルコールチェックの実施方法などについてわかりやすく解説します。効率化と徹底を両立するために役立つツールも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

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【資料でわかること】

  • 義務化の対象となる車両の条件
  • 具体的な対応内容
  • アルコールチェックを怠った場合の罰則

この一冊に、アルコールチェック義務化への対応に必要な情報がまとまっています。ぜひ、貴社の取り組みの際にお役立てください。

 

アルコール検知器を用いたアルコールチェックが2023年12月1日から義務化されました。義務化に至った詳細についてはこちらの記事をご確認ください。
 【速報】アルコールチェック義務化開始!警察庁発表をわかりやすく解説!

自家用車もアルコールチェック義務化の対象に

2022年4月の道路交通法改正では、一定台数以上の自家用自動車を使用する企業や事業所に対してアルコールチェックが義務付けられました。

 

そもそも、自家用車とは

自家用車というと、自宅の駐車場にとめていてプライベートで使用するマイカーを思い浮かべる方が多いと思います。自家用車について明確に定義した法律はないようですが、一般的には道路運送法における「自家用自動車」と同じ意味として解釈されることが多いです。

 

道路運送法では、自家用自動車を「事業用自動車以外のすべての自動車」と定義しています。つまり、自家用自動車について理解するためには、まず事業用自動車がどんな車を指すのか知っておく必要があります。

 

知っておきたい、事業用自動車とは

事業用自動車とは、旅客や貨物等の運送業で使用する自動車のことです。緑色の板に白い文字のナンバープレートをつけていることから、一般的に「緑ナンバー」と呼ばれています。

 

タクシーでお客さんを目的地まで乗せることにより料金が発生する、トラックで荷物を運ぶことにより依頼主から賃金を得る、など運ぶ行為そのもので利益を得る場合は事業用自動車に該当します。

 

一方、事業用自動車以外の車は白い板に緑色の文字のナンバープレートをつけており、「白ナンバー」と呼ばれています。私たちが普段の買い物やレジャーで使用する、これら白ナンバーの車が、自家用自動車に該当します。

さらに、トラックで自社商品を運ぶ場合や、取引先への営業回りの場合などは、事業用に該当すると思われがちですが、運ぶ行為による利益が発生しないため、荷物を載せていても自家用自動車に該当します。

緑ナンバー=事業用自動車 白ナンバー=自家用自動車

なお、事業用自動車においては、2011年からすでにアルコールチェックが義務付けられていました。それと対比するために、2022年の法改正では「自家用自動車(自家用車)がアルコールチェック義務化の対象に加わった」という点が強調され、大きく報道されました。

 

しかし、すべての自家用車がアルコールチェックの対象となったわけではありません。次の章では、アルコールチェックの対象となる自家用車の条件について詳しく解説します。

アルコールチェックの対象となる自家用車とは?

2022年の法改正によりアルコールチェックの義務化対象となった自家用自動車(自家用車)は、業務目的で使用されるものに限定されます。

 

業務目的で使用する自家用車

アルコールチェックが必要となるのは、業務目的で使用する自家用車のドライバーです。自家用車を業務で使用する主なシーンとしては以下の例が挙げられます。

  1. 営業活動:顧客を訪問するための営業車
  2. 社員の送迎:事業所と最寄り駅間での送迎車
  3. 現場訪問:建設現場などの訪問やトラブル対応のための移動手段
  4. 出張:遠方の会議やセミナーに参加するための移動手段
  5. 商品の運搬:自社の拠点間で商品を運ぶための手段

なお、業務目的であれば、従業員が所有するマイカーを運転する場合であっても、アルコールチェックの対象となるので注意してください。

 

通勤のみで運転する人は対象外

マイカー通勤など、業務目的ではなく通勤のみで運転する人は、現在のところアルコールチェックの対象とされていません。

 

しかしながら、マイカー通勤中に交通事故が発生した場合、企業や事業所の代表者は道路交通法とは別に、民法における「使用者責任」を問われる可能性があります。

参考:民法第715条 使用者等の責任| e-Gov法令検索

 

したがって、法律上ではアルコールチェックが義務付けられていなくても、飲酒運転防止や安全運転確保の取り組みは必要と言えるでしょう。

義務化の対象となる事業所

アルコールチェックが必要となるのは、業務目的で使用する自家用車に限られ、通勤のみで使用する場合には法律上の義務はありません。この点についてご理解いただけましたでしょうか。

次に、アルコールチェック義務化が適用される企業や事業所の条件について解説します。

 

アルコールチェックは安全運転管理者の業務として位置づけられているため、安全運転管理者の選任対象となる条件に当てはまれば、アルコールチェックも義務付けられることになります。

 

業種に関わらず、自動車の使用の本拠ごと、つまり事業所や営業所ごとに以下の条件を満たしていれば、安全運転管理者の選任およびアルコールチェック義務化の対象となります。

  • 乗車定員が11人以上の自家用自動車を1台以上使用している
  • その他の自家用自動車を5台以上使用している
    ※ 大型自動二輪車または普通自動二輪車は、それぞれ1台を0.5台として計算
     (道路交通法施行規則第9条の8)

こんな車両も台数の算定に含まれる

例えば、幼稚園バスやスクールバス、ホテルの送迎車などの大人数が乗れるような車を1台でも所有している場合や、メーカーの営業部門や建設業など車を運転する機会があり社用車を5台以上所有している場合などが対象となります。

 

しかし、通勤用のマイカーやリース車両など、台数の算定に含まれるのかがわかりにくい車両もあるかと思います。

 

以下の記事では、義務化の対象となるのか判断に迷うケースを取り上げて具体的に説明しています。自社が該当するのかよくわからない、という方はぜひ参考にしてください。

参考記事:台数の算定にもう迷わない!安全運転管理者選任の悩みをスッキリ解決

 

そもそも、安全運転管理者制度とは

自家用自動車のドライバーに対するアルコールチェックは、安全運転管理者が実施します。

ここで、安全運転管理者制度について改めて確認しておきましょう。

安全運転管理者制度とは、自動車の使用者である企業や事業所の代表者に対して、先ほどの条件を満たす事業所ごとに「安全運転管理者」や「副安全運転管理者」を選任しなければならないと定めた制度です。

その目的は、安全運転管理者等が運転者の教育・訓練や運転状況のモニタリング、安全対策を実施し、安全運転の推進や交通事故の防止を強化することです。

 

選任義務や罰則、業務内容等についてイラストを用いてわかりやすくまとめた、『安全運転管理者まるわかりガイド』も用意していますので、ぜひ参考にしてください。

 

安全運転管理者の業務にアルコールチェックが追加された

法改正により安全運転管理者の業務内容にアルコールチェックが追加されたことで、安全運転管理者を選任している事業所ではアルコールチェックを実施しなければならなくなりました。

 

安全運転管理者の具体的な業務内容は以下の9つです。

  1. 運転者の状況把握
  2. 運行計画の作成
  3. 交替要員の配置
  4. 異常気象時等等の安全確保の措置
  5. 安全運転の指示
  6. 運転前後の酒気帯び確認 ※法改正で追加
  7. 酒気帯び確認の記録・保存 ※法改正で追加
  8. 運転日誌の記録
  9. 運転者に対する指導

アルコールチェック義務化の内容

アルコールチェック義務化に関する法改正は、二段階に分けて施行されました。義務化に至った背景と合わせて、詳しい内容をおさらいしておきましょう。

 

自家用自動車に対する義務化の背景

2022年に自家用自動車もアルコールチェック義務の対象となった背景には、過去に発生した悲しい交通事故があります。

事故の概要

2021年6月28日、千葉県八街市で、飲酒運転のトラックが下校中の小学生の列に突っ込み児童5人が死傷しました。事故後、運転者の呼気からは基準値を上回るアルコールが検出されましたが、運転者が乗っていたのは、当時アルコールチェックが義務付けられていなかった自家用自動車のトラックでした。

この事故を受けて道路交通法施行規則が改正され、業務で使用する自家用自動車に対する飲酒運転防止対策の強化を目的として、アルコールチェックの実施および記録・保存が義務化されたのです。

また、企業の安全運転文化の醸成を担う安全運転管理者の重要性も見直され、罰則の追加や罰金の引き上げが行われました。

 

安全運転管理者の罰則について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

参考記事:安全運転管理者の罰則と法令遵守のポイント|業務内容とリスクを徹底解説

2022年4月に施行された内容(第一段階)

第一段階では、運転前と運転後の計2回、ドライバーに対して目視等によるアルコールチェックを実施し、その記録を管理することが義務化されました。

  • 運転前後の運転者の状態を目視等で確認することにより、運転者の酒気帯びの有無の確認をすること
  • 酒気帯びの有無について記録し、記録を1年間保存すること
    (道路交通法施行規則第9条の10)

2023年12月に施行された内容 (第二段階)

第二段階では、「目視等」での確認に加え、「アルコールチェッカー(アルコール検知器)」を使用したアルコールチェックが義務付けられました。

アルコールチェッカーは定期的に点検を行い、いつでも正確に測定できる状態に保つことも義務化の内容に含まれています。

  • 運転者の酒気帯びの有無の確認を、国家公安委員会が定めるアルコールチェッカーを用いておこなうこと
  • アルコールチェッカーを常時有効に保持すること
    (道路交通法施行規則第9条の10)

なお、国家公安委員会が定めるアルコールチェッカーとは、、”呼気中のアルコールを検知し、その有無又はその濃度を警告音、警告灯、数値等により示す機能を有する機器”を指しており、これを満たしたアルコールチェッカーであれば問題なく使用できます。

 

二段階にわたるアルコールチェック義務化の内容を図でまとめると以下のとおりです。

対象の事業所が対応すべき3つのこと

アルコールチェック義務化の対象となる企業は、以下の対応を進めなくてはなりません。

①安全運転管理者の選任

アルコールチェックは、原則として安全運転管理者が実施しなくてはなりません。アルコールチェック義務化の対象となる企業は、安全運転管理者の選任が必須になるので、まだ安全運転管理者を選任していない場合は、選任や届出等を早急に進めなくてはなりません。

 

安全運転管理者に関しては、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。

安全運転管理者に必要な資格を解説|届出方法や罰則も紹介
安全運転管理者の届出ハウツー!電子申請や必要書類のリンクも掲載
安全運転管理者の罰則と法令遵守のポイント|業務内容とリスクを徹底解説

 

安全運転管理者をすでに選任している場合は、新たな業務としてアルコールチェックが追加されたので、業務フローを再確認するとともに、アルコールチェック実施を徹底する仕組みを作る必要があります。

②アルコールチェッカーの手配とメンテナンス

アルコールチェックを実施するためには、国家公安委員会が定めるアルコールチェッカーを手配する必要があります。

 

国家公安委員会が定めるアルコールチェッカーとは、”呼気中のアルコールを検知し、その有無又はその濃度を警告音、警告灯、数値等により示す機能を有する機器”とされています。

参考:『道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案』等について.pdf (npsc.go.jp)

 

言い換えると、アルコールチェッカーを選ぶ時のポイントは以下のとおりです。 

  • 音、色、数値等で呼気から酒気帯びの有無が確認できる
  • 正しく測定ができれば、メーカーや形は問わない
 

現在は各メーカーからいろんな種類のアルコールチェッカーが販売されており、価格や精度、形状なども様々です。社内でのアルコールチェックの運用方法を想定した上で、自社にとって使いやすいアルコールチェッカーを選ぶことが大切です。

 

また、アルコールチェッカーには耐用年数や使用上限が設けられています。常時有効に保持し、いつでも正確に測定できる環境を整備しておくためには、点検やメンテナンスを行うことも重要です。

 

アルコールチェッカーは、オンラインストアやネット通販で簡単に購入できるほか、レンタルやリースも可能です。使用期限の到来に伴う機器更新やメンテナンスの手間を省きたい場合は、これらのサービスを利用するのもおすすめです。

③記録・保存体制の構築

法律では、アルコールチェックを実施するだけでなく、結果を記録して1年間保存することも義務付けられています。

そのためには、記録簿を用意し、1年間保存できる体制を整える必要があります。記録簿の形式は紙でもデータでも構いません。紙の場合はファイルや保管庫を準備し、データの場合は適切な格納場所に専用フォルダを作成しておきましょう。

 

記録簿に記載しなければならない具体的な項目については、次のアルコールチェックで記録すべき8項目の章で紹介します。

アルコールチェッカーの選び方

アルコールチェックを始めるためには、まずアルコールチェッカーを準備しなければなりません。しかしながら、市販されている膨大な数のアルコールチェッカーの中からどれを選べばよいのかわからないという方も多いかと思います。

ここでは、アルコールチェッカーを選ぶ際にポイントとなる3つの観点をお伝えします。

①タイプ(形状)で選ぶ

アルコールチェッカーの形状は、据え置きタイプとハンディタイプがあります。

据え置きタイプの特徴

  • 会社の事務所などに設置して使用する
メリット
  • パソコンと連携させるとデータ管理がしやすい
  • 管理者の前で測定することが多く、不正を防ぐことができる
デメリット
  • 常に電源に繋いでおく必要がある
  • 持ち運びができない

ハンディタイプの特徴

  • 場所問わず使用できる
メリット
  • 持ち運びがしやすく、自宅や車内など場所を問わず使用できる
デメリット
  • 管理者の手元にないので、使用回数の管理がしにくい
  • 製品によっては精度が低い可能性がある

②測定の精度で選ぶ

アルコールチェックを行う上で、測定の精度は非常に重要です。精度が高い製品は価格も上がる傾向にはありますが、コンプライアンス強化という観点でもできる限り精度の高いアルコールチェッカーを導入することをおすすめします。

 

アルコールチェッカーに使われているセンサーには「半導体式ガスセンサー」と「電気化学式(燃料電池式)センサー」の2種類があります。精度が高いのは「電気化学式センサー」です。電気化学式センサーはアルコール以外の成分には反応しないという特徴があります。精度の高さを重視する場合は、電気化学式センサーを選ぶようにしましょう。

 

なお、それぞれのセンサーの特徴やアルコールチェッカーの正しい使い方、点検・メンテナンス方法については以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。

参考記事:アルコールチェッカーの使い方と3つの注意点|点検方法も解説!

 

③機能性で選ぶ

アルコールチェッカーには、アルコール濃度を測定するだけでなく、様々な便利な機能が搭載されたものがあります。

 

例えば、スマホのアプリと連携することで、アルコールチェッカーの測定値が自動でアプリ内に反映され、管理者が離れた場所にいてもその情報をリアルタイムで確認することができるものもあります。また、位置情報を記録できるものや、測定時に顔写真撮影を行って不正を防ぐものなど、多岐にわたります。

 

社内でのアルコールチェックの運用方法を想定した上で、管理者とドライバーの双方にとって使いやすいアルコールチェッカーを選ぶことが大切です。

アルコールチェックの3ステップ

ここからは、実際にアルコールチェックを実施する際の手順を3ステップで紹介していきます。やるべきことをしっかり押さえて、法令遵守の体制を整えましょう。

 

ステップ1. 運転前後にアルコールチェッカーを用いて確認

運転前後に安全運転管理者が立ち合い、目視等でドライバーが酒酔い状態でないか確認するほか、アルコールチェッカーを用いて呼気中のアルコール濃度を測定します。

目視等による確認で以下のような兆候が見られた場合は、酒酔い状態の可能性を疑いましょう。

 
  • まっすぐ歩くことができない
  • 明らかに呂律が回っていない
  • 質問に対する受け答えがまともにできない

 

ステップ2. 確認内容を記録

目視等およびアルコールチェッカーを用いて酒気帯び確認を実施した内容を記録します。

アルコールチェックの結果、0より大きい値が出てしまった場合の対応などについては、以下の記事で紹介しています。合わせてご覧ください。

参考記事:【最新】アルコールチェック義務化とは?対応内容や罰則などを解説

 

ステップ3. 記録を1年間保存

記録内容を確認し、記入漏れや誤字脱字といった不備がないかチェックします。問題なければ、月ごとなど管理しやすい単位でファイリングし、1年間保存します。

保存形式は紙とデータのどちらでも構いません。

 

これらの3ステップに加えて、アルコールチェッカーを常時有効に保つために必要な点検やメンテナンスも忘れずに行いましょう。

アルコールチェックの具体的な運用ステップについて解説してきましたが、業務量の増加を不安に感じる方もいらっしゃるかと思います。

法令遵守しつつアルコールチェックの効率化に成功した企業様の事例を、『アルコールチェック義務化の対応成功事例6選』にて紹介しています。ぜひご覧ください。

アルコールチェックで記録すべき8項目

アルコールチェックの結果を記録するフォーマットについて特に指定はありませんが、記録しなければならない項目は法令で定められています。具体的には以下の8項目です。
  1. 確認者名
  2. 運転者名
  3. 運転者の業務に係る自動車登録番号又は識別できる記号、番号等
  4. 確認の日時
  5. 確認の方法
    ・アルコール検知器の使用を記載(2023年12月より使用が義務化)
    ・対面でない場合はビデオ通話などの具体的な確認方法を記載
  6. 酒気帯びの有無
  7. 指示事項
  8. その他必要な事項

Excel形式の記録簿を運用する際の記載例を以下に掲載していますので、参考にしてください。

この記録簿のひな形は、【ひな形付】アルコールチェック記録簿の記載内容や保存方法を解説!の記事にて無料でダウンロードできます。

アルコールチェックを怠った場合の罰則

アルコールチェックをうっかり忘れて運転してしまったり、法令どおりの手順で実施しなかったりと、アルコールチェックを怠ってしまった場合に罰則があるのかどうか気になる方も多いかと思います。

 

安全運転管理者の業務違反に該当

現時点で、アルコールチェックを怠ったことに対する直接的な罰則は設けられていませんが、安全運転管理者の業務違反に該当します。

安全運転管理者の業務違反が著しく、安全運転の確保に問題があると判断された場合は、公安委員会から是正措置命令や安全運転管理者の解任命令がくだることがあります。これに従わない場合は、命令違反に対する罰則が科される可能性があります。

 違反種別 内容 罰則

是正措置命令違反

解任命令に従わず選任の状態を継続したり、解任命令に反して再び選任したりすると罰則が科される

50万円以下の罰金

解任命令違反

是正措置命令に従わず改善措置を怠ったり、要求事項に沿わなかったりすると罰則が科される

50万円以下の罰金

安全運転管理者に関する罰則はこのほかにも2つあり、以下の記事で詳しく解説しています。合わせてご確認ください。

参考記事:安全運転管理者の罰則を解説|法令遵守のポイントや業務内容も

 

飲酒運転に該当する場合の罰則

アルコールチェックを怠ると、従業員の飲酒運転を見逃してしまう可能性があります。飲酒運転に該当する場合は、以下のような厳しい罰則が科されます。

≪ドライバー≫

  • 酒酔い運転の場合:5年以下の懲役 または 100万円以下の罰金
  • 酒気帯び運転の場合:3年以下の懲役 または 50万円以下の罰金

業務中に運転していて事故が起きた場合には、車両提供者である企業に対しても同等の罰則が科されます。

≪車両提供者(会社の代表者や責任者)≫

  • 酒酔い運転の場合:5年以下の懲役 または 100万円以下の罰金
  • 酒気帯び運転の場合:3年以下の懲役 または 50万円以下の罰金

また、罰則の対象になるのはドライバー本人と車両の提供者だけでなく、酒類を提供した人や一緒に車に乗っていた人も、罰則の対象になります。具体的には、以下のような罰則が科されます。

≪酒類の提供者・車両の同乗者≫

  • 酒酔い運転の場合:3年以下の懲役 または 50万円以下の罰金
  • 酒気帯び運転の場合:2年以下の懲役 または 30万円以下の罰金
なお、酒酔い運転と酒気帯び運転の違いや、アルコールチェック義務化の罰則については、以下の記事で詳しく解説しています。合わせてご確認ください。

 

参考記事:アルコールチェック義務化の罰則は何?罰則を受けないポイントも解説

アルコールチェックを正しく実施するポイント

先ほど解説したように、アルコールチェックを正しい手順で実施しなかった場合、安全運転管理者の業務違反とみなされる可能性があります。

 

ここでは、法令に沿ってアルコールチェックを実施するためのポイントや注意点を紹介します。

 

業務目的で運転を行う人が対象 

アルコールチェックを実施すべき対象者は、業務のために運転を行う人です。

 

たとえば、営業活動のために社用車を運転して顧客を訪問する場合や、自社商品を配送するためにトラックを運転する場合などに、ドライバーに対してアルコールチェックを実施します。

 

アルコールチェックの対象者については、以下の記事で解説しています。合わせてご覧ください。

参考記事: アルコールチェック義務化の対象者は?実施企業の条件や運用方法も解説

 

運転前後の2回実施する

アルコールチェックを実施するタイミングは、運転前・運転後の計2回です。

運転前のチェックでは、運転者が酒気帯びでないことを確認し、運転後のチェックでは、運転業務中に飲酒がなかったことを確認するのが目的です。

なお、必ずしも運転の直前・直後である必要はなく、運転を含む業務の開始前や終了後、出勤時や退勤時でも問題ありません。

 

安全運転管理者が対面で実施する

アルコールチェックは原則として安全運転管理者が対面で行わなくてはなりません。

アルコールチェッカーを用いて確認した場合であっても、原則として目視での確認を省略することはできません。

 

安全運転管理者が対応できない場合

アルコールチェックは原則として安全運転管理者が実施します。しかし、安全運転管理者の不在時や確認が困難な場合においては、「副安全運転管理者」やあらかじめ指定した「安全運転管理者の業務を補助する人」が代わりに実施しても問題ありません。

 

ただし、アルコールチェック時に酒気帯びが確認された場合等には、必ず安全運転管理者に速やかに報告し、必要な対応等について指示を受けるか、安全運転管理者自らが運転者に対して運行中止の指示等を行う必要があります。

 

また、代理でアルコールチェックを実施した場合であっても、その責任は安全運転管理者が負うことになります。

(参照:兵庫県警察公式サイト 「安全運転管理者の業務 アルコール検知義務化 Q&A」

 

直行直帰など対面で実施できない場合

アルコールチェックは原則対面で実施することとされていますが、実際は直行直帰や出張等で対面での実施が難しい状況もあるかと思います。そのような場合は、「対面に準ずる適宜の方法」で実施すればよいとされています。

 

警察庁は対面に準ずる適宜の方法として、以下を具体例として挙げています。

運転者に携帯型アルコール検知器を携行させるなどした上で、
  1.  カメラ、モニター等によって、安全運転管理者が運転者の顔色、応答の声の調子等とともに、アルコール検知器による測定結果を確認する方法
  2.  携帯電話、業務無線その他の運転者と直接対話できる方法によって、安全運転管理者が運転者の応答の声の調子等を確認するとともに、アルコール検知器による測定結果を報告させる方法

(引用:警察庁 アルコール検知器を用いた酒気帯び確認等に係るQ&A

なお、直行直帰時のアルコールチェックの実施方法については、以下の記事で詳しく解説しています。直行直帰であってもアルコールチェックは必ず行わなくてはならないので、合わせてご確認ください。

参考記事:直行直帰のアルコールチェックはどうする?実施方法や効率化の方法も解説

効率化のために「車両管理システム」が注目されている

先程アルコールチェック実施の3ステップをご紹介しましたが、上記のステップだと手間がかかると感じた方も多いと思います。社用車の台数や利用頻度によっても異なりますが、記録簿の管理には特に時間がかかります。記録簿の内容を確認し、不備があった場合は再提出を依頼しなくてはなりません。また、保管期限の管理も必要です。

 

これらのアルコールチェックの運用を効率化するために最近注目されているのが「車両管理システム」です。 ここからは、車両管理システムについて紹介します。

車両管理システムとは

車両管理システムとは、社用車やリース車などの車両を効率よく管理することができるシステムのことです。

 

具体的には、アルコールチェック義務化の対応をまるごと行うことができるシステム、1台の車を複数人で使う場合の予約管理ができるシステム、運転日報や日常点検などの書類をデータで管理できるシステム、走行距離を計測して最適なルートを教えてくれるシステムなどがあります。

 

2017年の中型トラックに対するタコグラフ搭載義務化をきっかけに需要が一気に高まり、2016年から2022年の間で、車両管理システムを導入した車両台数は約3.7倍になりました。

なお、車両管理システムについては以下の記事詳しく解説しています。各社が提供する車両管理システムの機能や特徴をまとめて比較することができます。合わせてご参照ください。

参考記事:【2024年最新】車両管理システムおすすめ12選|機能を徹底比較!

車両管理システムを導入するメリット

車両管理システムを導入する大きなメリットは、管理工数の削減アルコールチェックの厳格化です。

 

安全運転管理者の業務はアルコールチェックだけでなく、運行計画の策定や日報類の管理など多岐にわたります。車両台数が多い場合や管理者の人数が少ない場合などは特に多くの時間が必要になります。

 

車両管理システムを用いると、アルコールチェックの記録をデータ化してチェックの手間を省くことができます。また、アルコールチェック記録だけでなく、その他の運転日報や日常点検の記録も合わせてペーパーレス化できるようなシステムもあります。これらの情報を一元管理することで抜け漏れを防止したりすることもできます。

 

また、アルコールチェッカーとシステムを連携させて、アルコールチェックの計測数値を自動で記録に反映させたり、チェック時にカメラが起動してなりすましを防止したりする機能を搭載したシステムもあります。車両管理システムを導入することで、コンプライアンスの観点でも重要なアルコールチェックの厳格化を実現することができます。


社用車の管理方法を見直して業務効率化を叶えた企業様の事例を、『成功事例から学ぶ最新社用車管理』でご紹介しています。自社の運用と見比べて、より効率的な社用車管理の運用方法を検討してみましょう。

システムを用いたアルコールチェックの運用例

車両管理システムを用いてアルコールチェックを実施する場合の流れを、弊社の提供する車両管理システム「Bqey(ビーキー)」を具体例として用いて説明します。

1.安全運転管理者の立ち合いのもと、運転前のアルコールチェックを行います。一部の情報は自動入力されるので、必要な情報のみ入力します。

2.運転後も同様にアルコールチェックを行い、そのままアプリから提出します。

 

3.提出された記録はすぐにシステムに反映され、安全運転管理者はリアルタイムで記録を確認することができます。データは自動で3年間システムに保存されます。

未提出や未記入があった場合には、ドライバーに自動で通知が届くので、管理者のチェックの手間を大幅に省きます。概算にはなりますが、社用車を5~6台と仮定した場合は、アルコールチェック記録のとりまとめにかかる時間が30分から5分程度に、改修した書類の確認・保管にかかる時間が20分から5分程度に削減が見込まれます。

また、アルコールチェックが未実施の場合や、基準値を超えるアルコール量が検出された場合には、車の解錠やエンジンの始動を物理的に制限することで、飲酒運転を防止できるシステムもあります。

参照元:Bqey<ビーキー>|社用車管理、まるっと解決

 

紙やExcelで運用し始めたものの、実施忘れや記載内容の不備があり悩んでいる・・・という方は、こうしたシステムの機能に頼ってみてもよいかもしれません。

 

また、アルコールチェックだけでなく、システム上で車両の予約管理をしたり、運転日報や日常点検等の書類をデータで一元管理したりすることができるなど、車両管理システムには様々な機能があります。

 

様々な機能があるからこそ価格も様々で、機能が充実していればしているほど費用が高くなってしまいます。まずは自社の抱えている課題を見える化し、課題を解決することができる機能を絞り込み、適切なシステムを選ぶことで、車両管理システムはより大きなメリットをもたらします。

 

まずは各社が提供する車両管理システムについて幅広く情報収集することをお勧めします。その上で、費用対効果が得られるかをしっかりと吟味し、車両管理システムを選択するようにしましょう。

 

自社に合った選定方法を知りたい方は、『車両管理システムの選び方』をダウンロードしてみてください。自社の抱える課題を整理するためのチェックシートも掲載しているのでぜひ活用してください。

まとめ

今回は、自家用車に対するアルコールチェック義務化について解説しました。自家用車には、マイカーだけでなく、営業車や送迎車など、運転によって利益が発生しない業務利用車も含まれます。

 

自家用車のうち、業務目的で運転するドライバーは、運転前後に検知器を用いたアルコールチェックを実施し、結果を記録しなければなりません。

 

法改正によるアルコールチェック義務の対象拡大に伴い、業務負担の増加を感じている企業も少なくありません。「車両管理システム」には、アルコールチェックの徹底・効率化に役立つ機能が搭載されているため、こうしたツールを活用するのもおすすめです。自社に合った運用方法を見つけ、飲酒運転の根絶を目指しましょう。

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