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2024.09.06

アルコールチェック義務化の対象者は?実施企業の条件や運用方法も解説

2022年の道路交通法改正により、アルコールチェックの義務が課される事業所の対象範囲が拡大しました。

テレビや新聞などのメディアでも大きく取り上げられたため、「アルコールチェック義務化」という言葉を耳にしたことがある方も多いかと思いますが、

 

  • 自社がアルコールチェック義務化の対象に含まれるのかよくわかっていない
  • 誰に対してアルコールチェックを実施すればよいのか把握できていない
  • 具体的にどのような手順で実施すればよいのかわからない

といった声も聞かれます。

 

そこで本記事では、今回の法改正で新たにアルコールチェック義務化の「対象となる事業所の条件」や「誰に対して実施すべきか」を明らかにした上で、具体的な実施手順や効率的に実施する方法を紹介します。

5分でわかる
「アルコールチェック義務化」完全ガイド

2023年12月1日から検知器を用いたアルコールチェックが義務化されました。「アルコールチェック義務化」について総復習したい方のために、わかりやすく解説した資料を用意しました。

今はまだ義務化の対象ではないという方も、自社での飲酒運転防止の仕組み作りのためにお役立ていただけます。

【資料で分かること】 

  • 義務化の経緯やスケジュール
  • 義務化の対象となる企業
  • 対応を怠った場合の罰則
  • 会社として対応すべき事項

アルコールチェック義務化について正しく理解するために、ぜひ資料をダウンロードしてみてください。

資料を無料でダウンロード

アルコール検知器を用いたアルコールチェックが2023年12月1日から義務化されました。義務化に至った詳細についてはこちらの記事をご確認ください。
 【速報】アルコールチェック義務化開始!警察庁発表をわかりやすく解説!

アルコールチェック義務化とは

アルコールチェック義務化とは、2022年4月の道路交通法改正により、それまで義務化されていなかった「白ナンバー」の社用車や営業車を一定台数以上使用している企業も、アルコールチェック義務の対象に加わったことを指します。

 

なお、「緑ナンバー」の車に対しては、国土交通省によって2011年からすでにアルコールチェックが義務化されていました。「緑ナンバー」の車と、今回義務化された「白ナンバー」の車の違いは以下のとおりです。

  • 緑ナンバー:「有償」で人や荷物を目的地に運ぶトラック・バス・タクシーなどの事業用自動車のこと
  • 白ナンバー:「無償」で自社の人や荷物を運ぶ事業用自動車以外の車両のこと
『5分でわかる!アルコールチェック義務化のすべて』では、アルコールチェック義務化についてイラストを用いてわかりやすくまとめています。無料でダウンロードできますので、ぜひ手元において参考にしてください。

義務化の対象となる事業所

アルコールチェックは安全運転管理者の業務として位置づけられているため、安全運転管理者の選任対象となる条件に当てはまれば、アルコールチェックも義務付けられることになります。

 

業種に関わらず、自動車の使用の本拠ごと、つまり事業所や営業所ごとに以下の条件を満たしていれば、安全運転管理者の選任およびアルコールチェック義務化の対象となります。

  • 乗車定員が11人以上の自家用自動車を1台以上使用している
  • その他の自家用自動車を5台以上使用している

※ 大型自動二輪車または普通自動二輪車は、それぞれ1台を0.5台として計算

(道路交通法施行規則第9条の8)

自家用自動車と言うと、プライベートで使用するマイカーを思い浮かべる方も多いかと思いますが、法律上では白ナンバーの社用車や営業車も含まれるため、注意してください。

 

こんな車両も台数の算定に含まれる

例えば、幼稚園バスやスクールバス、ホテルの送迎車などの大人数が乗れるような車を1台でも所有している場合や、メーカーの営業部門や建設業など車を運転する機会があり社用車を5台以上所有している場合などが対象となります。

 

しかし、通勤用のマイカーやリース車両など、台数の算定に含まれるのかがわかりにくい車両もあるかと思います。

 

以下の記事では、義務化の対象となるのか判断に迷うケースを取り上げて具体的に説明しています。自社が該当するのかよくわからない、という方はぜひ参考にしてください。

参考記事:台数の算定にもう迷わない!安全運転管理者選任の悩みをスッキリ解決

 

そもそも、安全運転管理者制度とは

ここで、安全運転管理者制度について改めて確認しておきましょう。安全運転管理者制度とは、自動車の使用者である企業や事業所の代表者に対して、先ほどの条件を満たす事業所ごとに「安全運転管理者」や「副安全運転管理者」を選任しなければならないと定めた制度です。

その目的は、安全運転管理者等が運転者の教育・訓練や運転状況のモニタリング、安全対策を実施し、安全運転の推進や交通事故の防止を強化することです。

 

安全運転管理者の業務にアルコールチェックが追加された

法改正により安全運転管理者の業務内容にアルコールチェックが追加されたことで、安全運転管理者を選任している事業所ではアルコールチェックを実施しなければならなくなりました。

 

安全運転管理者の具体的な業務内容は以下の9つです。

  1. 運転者の状況把握
  2. 運行計画の作成
  3. 交替要員の配置
  4. 異常気象時等等の安全確保の措置
  5. 安全運転の指示
  6. 運転前後の酒気帯び確認 ※法改正で追加
  7. 酒気帯び確認の記録・保存 ※法改正で追加
  8. 運転日誌の記録
  9. 運転者に対する指導
安全運転管理者の選任義務や罰則、業務内容等についてこれ一冊で理解できる、『安全運転管理者まるわかりガイド』も用意しています。ぜひ参考にしてください。

義務化の内容とスケジュール

アルコールチェック義務化は、いつからどのような内容で施行されたのでしょうか。義務化に至った背景と合わせておさらいしましょう。

 

義務化に至った背景

令和3年6月28日、千葉県八街市で、飲酒運転のトラックが下校中の小学生の列に突っ込み児童5人が死傷しました。事故後、運転者の呼気からは基準値を上回るアルコールが検出されましたが、運転者が乗っていたのは、当時アルコールチェックが義務付けられていなかった白ナンバーのトラックでした。

 

この事故を受け、白ナンバー車両に対する飲酒運転防止対策の強化を目的として道路交通法施行規則が改正され、2022年4月と2023年12月の二段階にわたり安全運転管理者による運転前後のアルコールチェックの実施および記録の保存が義務化されました。

 

2022年4月に施行された内容(第一段階)

飲酒運転による交通事故を今まで以上に厳格に防止するために、まずは運転前と運転後の計2回、ドライバーに対してアルコールチェックを実施し、その記録を管理することが義務化されました。

 

ただし、第一段階では、アルコールチェックの際にアルコールチェッカー(アルコール検知器)を用いることまでは義務化されず、「目視等」で実施すればよいとされていました。

2022年4月1日から義務化された内容は、具体的には以下のとおりです。

  • 運転前後の運転者の状態を目視等で確認することにより、運転者の酒気帯びの有無の確認をすること
  • 酒気帯びの有無について記録し、記録を1年間保存すること
    (道路交通法施行規則第9条の10)

2023年12月に施行された内容 (第二段階)

第二段階では、さらに厳格なアルコールチェックの実施が必要となりました。第一段階では「目視等」での実施に留められていましたが、第二段階では「アルコールチェッカー」を用いたアルコールチェックが義務付けられました。

 

また、アルコールチェッカーは定期的に点検を行い、いつでも正確に測定できる状態にしておくことも義務化の内容に含まれています。

 

アルコールチェッカーの使用について、当初は2022年10月1日から義務化される予定でしたが、アルコールチェッカーの供給不足等を踏まえて延期となっていました。

(参照:警察庁の発表文書

 

その後、安全運転管理者へのアンケートやアルコールチェッカー製造業界からの意見等により、アルコールチェッカーの供給状況は改善傾向にあると認められ、飲酒運転防止を図るためには早期にアルコールチェッカーを導入することが望ましいとの見方から、2023年12月1日に義務化開始となりました。

2023年12月1日から義務化された内容は、具体的には以下のとおりです。

  • 運転者の酒気帯びの有無の確認を、国家公安委員会が定めるアルコールチェッカーを用いておこなうこと
  • アルコールチェッカーを常時有効に保持すること
    (道路交通法施行規則第9条の10)

なお、国家公安委員会が定めるアルコールチェッカーとは、、”呼気中のアルコールを検知し、その有無又はその濃度を警告音、警告灯、数値等により示す機能を有する機器”を指しており、これを満たしたアルコールチェッカーであれば問題なく使用できます。

 

二段階にわたるアルコールチェック義務化の内容を図でまとめると以下のとおりです。

アルコールチェックの対象者は誰?

ここまで、アルコールチェック義務化の対象となる条件について解説してきました。では、自社が対象企業である場合、誰に対して実施すればよいのでしょうか。

 

業務目的で運転する人に対して実施する

アルコールチェックを実施すべき対象者は、業務のために運転を行う人です。

 

たとえば、営業活動のために社用車を運転して顧客を訪問する場合や、自社商品を配送するためにトラックを運転する場合などには、ドライバーに対して運転前・運転後にアルコールチェックを実施しなければなりません。

 

なお、業務目的であれば、自家用車(マイカー)を運転する場合であっても、アルコールチェックの対象となるので注意してください。

 

通勤のみで運転する人は対象外

マイカー通勤など、業務目的ではなく通勤のみで運転する人は、現在のところアルコールチェックの対象とされていません。

 

しかしながら、マイカー通勤中に交通事故が発生した場合、企業や事業所の代表者は道路交通法とは別に、民法における「使用者責任」を問われる可能性があります。

参考:民法第715条 使用者等の責任| e-Gov法令検索

 

したがって、法律上ではアルコールチェックが義務付けられていなくても、飲酒運転防止や安全運転確保の取り組みは必要と言えるでしょう。

義務化において対応すべき3つのこと

自社がアルコールチェック義務化の対象に含まれる場合、アルコールチェックの運用を開始する前に以下3つの対応を進めなくてはなりません。

①安全運転管理者の選任

アルコールチェックは、原則として安全運転管理者が実施しなくてはなりません。アルコールチェック義務化の対象となる企業は、安全運転管理者の選任が必須になるので、まだ安全運転管理者を選任していない場合は、選任や届出等を早急に進めなくてはなりません。

 

安全運転管理者に関しては、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。

安全運転管理者に必要な資格を解説|届出方法や罰則も紹介
安全運転管理者の届出ハウツー!電子申請や必要書類のリンクも掲載
安全運転管理者の罰則を解説|法令遵守のポイントや業務内容も

 

安全運転管理者をすでに選任している場合は、新たな業務としてアルコールチェックが追加されたので、業務フローを再確認するとともに、アルコールチェック実施を徹底する仕組みを作る必要があります。

 

企業によっては、副安全運転管理者の選任も必要

使用する自動車の台数が20台を超える場合は、20台ごとに1人、副安全運転管理者を選任しなければなりません。  

副安全運転管理者は主に安全運転管理者の業務のサポートを行います。安全運転管理者の不在時に、ドライバーのアルコールチェックに立ち合うことなども考えられます。

 

副安全運転管理者については以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。

参考記事:副安全運転管理者って必要なの?|安全運転管理者との違いも解説

②アルコールチェッカーの手配とメンテナンス

アルコールチェックを実施するためには、国家公安委員会が定めるアルコールチェッカーを手配する必要があります。

 

国家公安委員会が定めるアルコールチェッカーとは、”呼気中のアルコールを検知し、その有無又はその濃度を警告音、警告灯、数値等により示す機能を有する機器”とされています。

参考:『道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案』等について.pdf (npsc.go.jp)

 

言い換えると、アルコールチェッカーを選ぶ時のポイントは以下のとおりです。 

  • 音、色、数値等で呼気から酒気帯びの有無が確認できる
  • 正しく測定ができれば、メーカーや形は問わない
 

現在は各メーカーからいろんな種類のアルコールチェッカーが販売されており、価格や精度、形状なども様々です。社内でのアルコールチェックの運用方法を想定した上で、自社にとって使いやすいアルコールチェッカーを選ぶことが大切です。

 

また、アルコールチェッカーには耐用年数や使用上限が設けられています。常時有効に保持し、いつでも正確に測定できる環境を整備しておくためには、点検やメンテナンスを行うことも重要です。

アルコールチェッカーの選び方や、点検・メンテナンス方法については、以下の記事で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。

参考記事:アルコールチェッカーの使い方|選び方や点検方法、注意点も解説

③記録・保存体制の構築

法律では、アルコールチェックを実施するだけでなく、結果を記録して1年間保存することも義務付けられています。

 

そのためには、記録簿を用意し、1年間保存できる体制を整える必要があります。記録簿の形式は紙でもデータでも構いません。紙の場合はファイルや保管庫を準備し、データの場合は適切な格納場所に専用フォルダを作成しておきましょう。

記録簿に記載しなければならない具体的な項目については、次のアルコールチェックの3ステップで紹介します。

 

アルコールチェック記録簿のひな形は、以下の記事から無料でダウンロードできます。ぜひ活用してください。

参考記事:【ひな形付】アルコールチェック記録簿の記載内容や保存方法を解説!

 

アルコールチェック義務化への対応を進めるうちに、疑問点が出てきて困っている・・・という方に向けて、以下の記事ではアルコールチェック義務化に関するFAQを紹介しています。ぜひご覧ください。

参考記事:安全運転管理者のアルコールチェック義務化とは|対象やポイントも解説

アルコールチェックの3ステップ

ここからは、実際にアルコールチェックを実施する際の手順を3ステップで紹介していきます。やるべきことをしっかり押さえて、法令遵守の体制を整えましょう。

 

ステップ1. 運転前後にアルコールチェッカーを用いて確認

運転前後に安全運転管理者が立ち合い、目視等でドライバーが酒酔い状態でないか確認するほか、アルコールチェッカーを用いて呼気中のアルコール濃度を測定します。

目視等による確認で以下のような兆候が見られた場合は、酒酔い状態の可能性を疑いましょう。

 
  • まっすぐ歩くことができない
  • 明らかに呂律が回っていない
  • 質問に対する受け答えがまともにできない

 

ステップ2. 確認内容を記録

目視等およびアルコールチェッカーを用いて酒気帯び確認を実施した内容を記録します。具体的には、以下の8項目について記録する必要があります。

  1. 確認者名
  2. 運転者名
  3. 運転者の業務に係る自動車登録番号又は識別できる記号、番号等
  4. 確認の日時
  5. 確認の方法
    ・アルコール検知器の使用を記載(2023年12月より使用が義務化)
    ・対面でない場合はビデオ通話などの具体的な確認方法を記載
  6. 酒気帯びの有無
  7. 指示事項
  8. その他必要な事項

Excel形式の記録簿を運用する際の記載例を以下に掲載していますので、参考にしてください。

この記録簿のひな形は、【ひな形付】アルコールチェック記録簿の記載内容や保存方法を解説!の記事にて無料でダウンロードできます。

アルコールチェックの結果、0より大きい値が出てしまった場合の対応などについては、以下の記事で紹介しています。合わせてご覧ください。

参考記事:【最新】アルコールチェック義務化とは?対応内容や罰則などを解説

ステップ3. 記録を1年間保存

記録内容を確認し、記入漏れや誤字脱字といった不備がないかチェックします。問題なければ、月ごとなど管理しやすい単位でファイリングし、1年間保存します。

保存形式は紙とデータのどちらでも構いません。

 

これらの3ステップに加えて、アルコールチェッカーを常時有効に保つために必要な点検やメンテナンスも忘れずに行いましょう。

アルコールチェック実施のポイント

アルコールチェックを実施する際のポイントや注意点を紹介します。

運転前後の2回実施する

アルコールチェックを実施するタイミングは、運転前・運転後の計2回です。

運転前のチェックでは、運転者が酒気帯びでないことを確認し、運転後のチェックでは、運転業務中に飲酒がなかったことを確認するのが目的です。

なお、必ずしも運転の直前・直後である必要はなく、運転を含む業務の開始前や終了後、出勤時や退勤時でも問題ありません。

安全運転管理者が対面で実施する

アルコールチェックは原則として安全運転管理者が対面で行わなくてはなりません。

アルコールチェッカーを用いて確認した場合であっても、原則として目視での確認を省略することはできません。

 

安全運転管理者が対応できない場合

アルコールチェックは原則として安全運転管理者が実施します。しかし、安全運転管理者の不在時や確認が困難な場合においては、「副安全運転管理者」やあらかじめ指定した「安全運転管理者の業務を補助する人」が代わりに実施しても問題ありません。

 

ただし、アルコールチェック時に酒気帯びが確認された場合等には、必ず安全運転管理者に速やかに報告し、必要な対応等について指示を受けるか、安全運転管理者自らが運転者に対して運行中止の指示等を行う必要があります。

 

また、代理でアルコールチェックを実施した場合であっても、その責任は安全運転管理者が負うことになります。

(参照:兵庫県警察公式サイト 「安全運転管理者の業務 アルコール検知義務化 Q&A」

直行直帰など対面で実施できない場合

アルコールチェックは原則対面で実施することとされていますが、実際は直行直帰や出張等で対面での実施が難しい状況もあるかと思います。そのような場合は、「対面に準ずる適宜の方法」で実施すればよいとされています。

 

警察庁は対面に準ずる適宜の方法として、以下を具体例として挙げています。

運転者に携帯型アルコール検知器を携行させるなどした上で、
  1.  カメラ、モニター等によって、安全運転管理者が運転者の顔色、応答の声の調子等とともに、アルコール検知器による測定結果を確認する方法
  2.  携帯電話、業務無線その他の運転者と直接対話できる方法によって、安全運転管理者が運転者の応答の声の調子等を確認するとともに、アルコール検知器による測定結果を報告させる方法

(引用:警察庁 通達 「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令等の施行に伴う安全運転管理者 業務の拡充について」P.2)

なお、直行直帰時のアルコールチェックの実施方法については、以下の記事で詳しく解説しています。直行直帰であってもアルコールチェックは必ず行わなくてはならないので、合わせてご確認ください。

参考記事:直行直帰のアルコールチェックはどうする?実施方法や効率化の方法も解説

アルコールチェックを怠った場合の罰則

アルコールチェックをうっかり忘れて運転してしまったり、法令どおりの手順で実施しなかったりと、アルコールチェックを怠ってしまった場合に罰則があるのかどうか気になる方も多いかと思います。

 

安全運転管理者の業務違反に該当

現時点で、アルコールチェックを怠ったことに対する直接的な罰則は設けられていませんが、安全運転管理者の業務違反に該当します。

安全運転管理者の業務違反が著しく、安全運転の確保に問題があると判断された場合は、公安委員会から是正措置命令や安全運転管理者の解任命令がくだることがあります。これに従わない場合は、命令違反に対する罰則が科される可能性があります。
 違反種別 内容 罰則

是正措置命令違反

解任命令に従わず選任の状態を継続したり、解任命令に反して再び選任したりすると罰則が科される

50万円以下の罰金

解任命令違反

是正措置命令に従わず改善措置を怠ったり、要求事項に沿わなかったりすると罰則が科される

50万円以下の罰金

安全運転管理者に関する罰則はこのほかにも2つあり、以下の記事で詳しく解説しています。合わせてご確認ください。

参考記事:安全運転管理者の罰則を解説|法令遵守のポイントや業務内容も

 

飲酒運転に該当する場合の罰則

アルコールチェックを怠ると、従業員の飲酒運転を見逃してしまう可能性があります。飲酒運転に該当する場合は、以下のような厳しい罰則が科されます。

≪ドライバー≫

  • 酒酔い運転の場合:5年以下の懲役 または 100万円以下の罰金
  • 酒気帯び運転の場合:3年以下の懲役 または 50万円以下の罰金

業務中に運転していて事故が起きた場合には、車両提供者である企業に対しても同等の罰則が科されます。

≪車両提供者(会社の代表者や責任者)≫

  • 酒酔い運転の場合:5年以下の懲役 または 100万円以下の罰金
  • 酒気帯び運転の場合:3年以下の懲役 または 50万円以下の罰金
また、罰則の対象になるのはドライバー本人と車両の提供者だけでなく、酒類を提供した人や一緒に車に乗っていた人も、罰則の対象になります。具体的には、以下のような罰則が科されます。

≪酒類の提供者・車両の同乗者≫

  • 酒酔い運転の場合:3年以下の懲役 または 50万円以下の罰金
  • 酒気帯び運転の場合:2年以下の懲役 または 30万円以下の罰金
なお、酒酔い運転と酒気帯び運転の違いや、アルコールチェック義務化の罰則については、以下の記事で詳しく解説しています。合わせてご確認ください。

参考記事:アルコールチェック義務化の罰則は何?罰則を受けないポイントも解説

アルコールチェックを効率化する方法

アルコールチェックを確実に実施することは、飲酒運転による交通事故防止はもちろん、コンプライアンス遵守という観点からも重要です。

 

しかしながら、アルコールチェックの実施は管理者とドライバーのどちらにとっても業務負担が大きく、チェック忘れや記入ミスといったヒューマンエラーも起こりがちです。

 

こうした課題を解消し、アルコールチェックを徹底・効率化する方法として最近注目されているのが、「車両管理システム」です。ここからは、車両管理システムについて解説します。


車両管理システムを活用することで、法令遵守と効率化を実現している企業様の事例をまとめた、『アルコールチェック義務化の対応成功事例6選』もぜひご覧ください。

そもそも、車両管理システムとは

車両管理システムとは、社用車やリース車などの車両を効率よく管理することができるシステムのことです。

 

具体的には、アルコールチェック義務化の対応をまるごと行うことができるシステム、1台の車を複数人で使う場合の予約管理ができるシステム、運転日報や日常点検などの書類をデータで管理できるシステム、走行距離を計測して最適なルートを教えてくれるシステムなどがあります。

 

2017年の中型トラックに対するタコグラフ搭載義務化をきっかけに車両管理システムの需要が一気に高まり、2016年から2022年の間で、車両管理システムを導入した車両台数は約3.7倍になりました。

飲酒運転防止に対する企業の意識も高まるとともに、車両管理システムが注目されるようになりました。また、働き方改革により、労働時間の見直しが図られる中で、社用車管理業務の負担を軽減させるために、車両管理システムを導入する企業も増えました。

なお、車両管理システムについては以下の記事で詳しく解説しています。サービスごとの特徴もまとめているので、ぜひご覧ください。< />

参考記事:【2024】車両管理システムおすすめ12選|目的別の比較表も掲載

車両管理システムの8つのメリット

車両管理システムを導入すると、管理者とドライバー双方にとって様々なメリットがあります。

管理者のメリット

管理者にとってのメリットは以下の4つが挙げられます。

  1. 管理工数の削減
    車両予約や鍵の受け渡し、アルコールチェックにかかる時間を短縮したり、記録類をペーパーレス化して一元管理することで、抜け漏れを防止したりすることができ、工数削減につながります。
  2. 生産性向上
    アルコールチェック記録や運転日報のデジタル化など、ドライバーの負担を軽減する機能を備えたシステムを導入すると、ドライバーは本来の業務に集中できる時間が増えるので、生産性の向上が見込まれます。
  3. 経費削減
    デジタルキー機能や動態管理機能、車両稼働状況集計機能などを活用することで、車両の正確な稼働状況を把握し、車両台数の最適化を行うことができます
  4. コンプライアンス遵守
    交通安全の確保はもちろん、法令違反や交通事故によるイメージダウンや社会的信用を失うことを避けるためにも、企業はアルコールチェックを確実に実施しなければなりません。 車両管理システムは、アルコールチェックの不正防止や、厳格な飲酒運転対策にも有効であり、コンプライアンス遵守をサポートします。

ドライバーのメリット

ドライバーにとってのメリットは以下の4つが挙げられます。

  1. 利便性の向上
    外出先からでも簡単に車両の空き状況が確認でき、その場で予約が完了できるため、利便性が向上します。また、外出先でアルコールチェックを行う場合も、測定結果が自動でクラウド上に保存されるため、管理者にメールやチャットで提出する手間を解消できます。
  2. 管理者とやり取りする手間を削減
    車両管理システムを活用すると、システム上で完結する業務が増え、これまで記録類の提出などで発生していた管理者とのやり取りの負担や手間を軽減することができます。
  3. 長時間労働の解消
    ドライバーにとって負担になりがちなアルコールチェック記録や日報類の作成を自動化・ペーパーレス化することで、作成にかかる手間や時間を削減でき、長時間労働の解消に役立ちます。
  4. 働きやすさの向上
    鍵の返却やアルコールチェック、日報類の提出のために管理部署に赴く必要があるという企業も多いかと思います。 デジタルキー機能や日報類のデジタル化機能が搭載されたシステムを導入すれば、鍵の受け渡しや日報類の対面での提出が不要になるため、直行直帰やテレワークなどの選択肢が広がり、働きやすさの向上をもたらします。

車両管理システムの中には、アルコールチェックの未実施や未記入があるとドライバー本人や管理者に通知され、抜け漏れを防ぐ機能がついているものも多く、アルコールチェック義務化への対応を徹底するのに役立つでしょう。

 

また、アルコールチェック未実施の場合や基準値を超えるアルコール量が検出された場合に、車を解錠できなくしたりエンジンを始動できなくしたりすることで、物理的に飲酒運転を防止できるものもあります。

参照元:Bqey<ビーキー>|社用車管理、まるっと解決

 

紙やExcelで運用し始めたものの、実施忘れや記載内容の不備があり悩んでいる・・・という方は、こうしたシステムの機能に頼ってみてもよいかもしれません。

システムを用いたアルコールチェックの運用例

車両管理システムを用いてアルコールチェックを実施する場合の流れを、弊社の提供する車両管理システム「Bqey(ビーキー)」を具体例として用いて説明します。

1.スマホアプリを立ち上げ、安全運転管理者の立ち合いのもと、運転前のアルコールチェックを行います。一部の情報は自動入力されるため、必要な情報だけ入力します。

2.運転後も同様にアルコールチェックを行い、そのままアプリから提出します。

 

3.提出された記録はすぐにシステムに反映され、安全運転管理者はリアルタイムで記録を確認することができます。データは自動で3年間クラウド上に保存されます。

未提出や未記入があった場合には、ドライバーに自動で通知が届くので、管理者のチェックの手間を大幅に省きます。概算にはなりますが、社用車を5~6台と仮定した場合は、アルコールチェック記録のとりまとめにかかる時間が30分から5分程度に、回収した書類の確認・保管にかかる時間が20分から5分程度に削減が見込まれます。

このように、車両管理システムを活用するとアルコールチェックに関して、安全運転管理者・ドライバーの双方にとっての業務負担を軽減することができます。

 

また、アルコールチェックだけでなく、システム上で車両の予約管理をしたり、運転日報や日常点検等の記録をデータで一元管理したりすることができるなど、車両管理システムには様々な機能があります。

 

自社に合った車両管理システムの選び方を知りたい方は、『車両管理システムの選び方』をダウンロードしてみてください。自社の抱える課題を整理するためのチェックシートも掲載しているのでぜひ活用してください。

まとめ

今回は、アルコールチェック義務化の対象となる企業の条件や、実際にアルコールチェックを行う対象者について解説しました。

 

「乗車定員が11人以上の自動車を1台以上使用」または「その他の自動車を5台以上使用」している企業や事業所は、アルコールチェック義務化の対象となります。

 

業務目的で自動車を運転する人は、運転前・運転後に安全運転管理者の立ち合いのもとアルコールチェックを実施します。アルコールチェックの記録を1年間保存しなければならない点にも注意しましょう。

 

アルコールチェックの徹底は飲酒運転防止やコンプライアンス遵守の観点から非常に大切ですが、従業員の業務負担となるのも事実です。

 

車両管理システムなどのツールを上手に活用し、自社に合った効率的な運用方法を見つけましょう。

「アルコールチェックの運用大変そう...」と思った方へ

義務化対応としてのアルコールチェックの運用は、安全運転管理者にとってもドライバーにとっても負担がかかります。双方の負担を軽減しながら効率的にアルコールチェックを実施する手段として、「車両管理システム」の需要が高まってきています。 車両管理システムを導入すると、以下のようなメリットがあります。

  • アルコールチェック記録や日報類をペーパーレス化することで、提出やチェックの手間を軽減できる 
  • 現在地の取得や写真の添付機能を活用して、アルコールチェックを厳格に行うことができる

車両管理システム「Bqey」はアルコールチェック義務化対応はもちろん、それ以外の車両に関する業務をまとめて効率化できるシステムです。「Bqey」について知りたい方は、こちらから資料をダウンロードしてください。