安全運転管理者が必要な台数とは?数え方の悩みをスッキリ解決
従業員への交通安全教育や、運行に関する指示・管理を担う安全運転管理者は、企業が自動車を安全に使用する上で非常に重要な存在です。その安全運転管理者を選任するべきかどうかは、企業や事業所が使用する自動車の台数によって決定されます。
しかしながら、
- 具体的に何台以上から選任が必要になるのか確認したい
- 選任義務の対象車両について理解が曖昧
- バイクや原付も1台と数えるべきなのかわからない
-
通勤車もカウントすべきなのか判断できない
など、選任条件や台数の算定方法について疑問をお持ちの方も多いかと思います。
本記事では、安全運転管理者の選任義務の対象となる条件を踏まえ、台数の数え方や算定に含まれるかどうかで迷うケースについて、わかりやすく解説します。さらに、選任しなければならない管理者の人数や選任方法、具体的な業務内容についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
これ一冊で安全運転管理者の業務や罰則について
まるわかり!
一定台数以上の社用車を所有している企業は、道路交通法によって「安全運転管理者」を選任することが義務付けられています。安全運転管理者の選任・届出方法や業務内容、違反した場合の罰則についてわかりやすく解説した資料をご用意しました。
【資料で分かること】
- 道路交通法改正の概要
- 安全運転管理者とは
- 安全運転管理者の選任義務と罰則
- 安全運転管理者の業務内容
安全運転管理者について理解を深めるために、ぜひ資料をダウンロードしてみてください。
アルコール検知器を用いたアルコールチェックが2023年12月1日から義務化されました。義務化に至った詳細についてはこちらの記事をご確認ください。
【速報】アルコールチェック義務化開始!警察庁発表をわかりやすく解説!
そもそも、安全運転管理者制度とは
安全運転管理者制度とは、企業や事業所の代表者である「自動車の使用者」に対して、一定台数以上の自動車を使用する事業所ごとに「安全運転管理者」の選任を義務付けている制度です。
安全運転管理者が運転者の教育・訓練や運転状況のモニタリング、安全対策を実施することで、企業の安全運転推進や交通事故防止に取り組むことが目的です。
安全運転管理者の全体像については、以下の記事で詳しく解説しています。
参考記事:5分でわかる「安全運転管理者」とは?選任義務の条件や資格、罰則も解説
運行管理者との違い
安全運転管理者と同じく、車両を業務利用する際の安全運転を確保する役割として、運行管理者という名前を聞いたことがある方も多いかと思います。
両者の大きな違いとしては、管理する車両の業務形態が挙げられます。運行管理者の管理対象となるのは、トラックやバス、タクシーといった、緑ナンバーと呼ばれる運送業の事業用自動車です。
一方、安全運転管理者の管理対象となるのは、営業回りや自社商品の運送などに使用する自家用自動車、いわゆる白ナンバーです。いずれも法律で設置が義務付けられている、重要な役割です。
安全運転管理者と運行管理者の違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。それぞれの選任義務の対象となる基準や、管理者の業務内容、違反行為に対する罰則について分かりやすく説明していますので、ぜひご覧ください。
参考記事:安全運転管理者と運行管理者の違いを解説!資格や罰則、業務内容も
違反すると罰則がある
安全運転管理者制度には、4つの違反行為に対する罰則が設けられています。具体的には以下の通りです。
- 選任義務違反
安全運転管理者の選任義務の対象であるにもかかわらず、企業や事業所が選任しない場合、50万円以下の罰金が科されます。 - 解任命令違反
安全運転管理者の解任命令が出されても適切な手続きを取らず、安全運転管理者の職務を続ける場合、50万円以下の罰金が科されます。
- 是正措置命令違反
自動車の使用者に対して是正措置命令が出されても適切な対応を取らなかった場合、50万円以下の罰金が科されます。
- 選任解任届出義務違反
安全運転管理者の選任や解任を適切に届け出ない場合、5万円以下の罰金が科されます。
罰則の対象とならないよう、企業は安全運転管理者制度に確実に対応する必要があります。
なお、2022年10月の道路交通法改正により、安全運転管理者制度に関する違反行為が大幅に厳罰化されました。
厳罰化の背景や法改正による変更点について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
参考記事:安全運転管理者の罰則と法令遵守のポイント|業務内容とリスクを徹底解説選任義務の対象となる台数
安全運転管理者の選任は、道路交通法第74条の3において以下のように定められています。
自動車の使用者は、内閣府令で定める台数以上の自動車の使用の本拠ごとに、年齢、自動車の運転の管理の経験その他について内閣府令で定める要件を備える者のうちから、安全運転管理者を選任しなければならない。
引用:道路交通法第74条の3 | e-Gov法令検索
さらに、道路交通法施行規則第9条の8第1項において以下のとおり台数の基準が定められています。
つまり、安全運転管理者を選任する義務があるのは、次のいずれかに該当する企業や事業所です。
- 乗車定員が11人以上の自家用自動車を1台以上使用している
- 5台以上の自家用自動車を使用している
(原動機付自転車を除く自動二輪は1台につき自動車0.5台として計算)
ただし、運送業で配置が義務付けられている「運行管理者」を選任している場合は、この条件を満たしていても安全運転管理者を選任しなくてもよいとされています。
企業によっては副安全運転管理者の選任も必要
20台以上の自動車を使用している場合には、安全運転管理者に加えて、副安全運転管理者の選任も必要です。
副安全運転管理者は、主に安全運転管理者の補佐や代行を担います。使用する自動車台数が多い場合、安全運転管理者だけでは確実に業務を遂行するのが難しくなります。それをサポートし、安全運転を確保する環境を整えるために、副安全運転管理者は必要になるのです。
最近では、アルコールチェックの確認者としての役割も増え、その重要性は増しているといえるでしょう。
アルコールチェックの確認者については以下の記事で詳しく解説しています。
副安全運転管理者について詳しく解説した以下の記事も、ぜひご覧ください。
台数の算定に含まれる?含まれない?
先ほど解説したように、選任義務の対象となるかどうかは、企業や事業所ごとに使用している自動車の台数によって決まります。営業車や社員の送迎車など、”企業が使用する自動車”として明確なものはよいですが、中には台数の算定に含まれるのか不明確なケースもあるかもしれません。
ここでは、よく疑問に思われる車両を例に挙げ、それらが台数の算定に含まれるかどうかを詳しく解説していきます。
バイクと原付
原動機付自転車(原付)は、台数の算定には含まれません。その他の自動二輪は、1台につき自動車0.5台として計算します。
通勤用のマイカー
通勤のみに使用する場合は、台数の算定には含まれません。ただし、従業員が所有・管理しているマイカーであっても、業務において使用する場合は、台数の算定に含まれます。
リース車両
リース車両のように企業や事業所に所有権がない車両であっても、業務において使用する場合は、台数の算定に含まれます。
フォークリフト
ナンバーを付けて公道を走行するなど、道路交通法の適用を受けて業務に使用する場合は、台数の算定に含まれます。
参考:安全運転管理者に関すること - 愛知県警察 (pref.aichi.jp)
ここまで解説した内容を表にまとめると以下の通りです。
以下の記事では、安全運転管理者の選任が必要かどうか迷うケースを取り上げ、解説しています。合わせて参考にしてください。
安全運転管理者は何人必要?
安全運転管理者の選任義務対象となる企業や事業所は、事業所(自動車使用の本拠地)ごとに必ず1人を選任しなければなりません。安全運転管理者は、使用している台数が10台でも100台でも、人数は増えません。
一方、副安全運転管理者は20台ごとに1人選任しなければなりません。20台から39台までは1人、40台から59台までは2人というように、加算していかなければならないため注意が必要です。
自動車の台数 | 安全運転管理者の人数 | 副安全運転管理者の人数 |
---|---|---|
19台まで |
1人 |
0人 |
20~39台 | 1人 |
1人 |
40~59台 |
1人 |
2人 |
60~79台 |
1人 |
3人 |
80~99台 |
1人 |
4人 |
100~119台 |
1人 | 5人 |
※以降、20台ごとに副安全運転管理者1人を加算
安全運転管理者の選任と届出
ここまで、安全運転管理者の選任義務の対象となる条件や、台数の算定について詳しく解説してきました。選任義務の対象に該当する場合は、適切な方法で選任・届出を行わなければなりません。
安全運転管理者の選任方法
安全運転管理者や副安全運転管理者になるためには、いくつかの資格要件が必要です。企業や事業所は、それらを満たす人物の中から選任しなければなりません。
安全運転管理者の資格要件
安全運転管理者の資格要件は、以下の通りです。
- 20歳以上
(副安全運転管理者が置かれている場合は30歳以上)
- 運転管理の実務経験が2年以上必要
副安全運転管理者の資格要件
副安全運転管理者の資格要件は、以下の通りです。
- 20歳以上
- 1年以上の運転管理の実務経験または3年以上の運転経験が必要
自動車運転管理に関して、上記の条件と同等以上の能力があると公安委員会が認定した場合も、安全運転管理者や副安全運転管理者になることができます。
ただし、過去2年以内に違反行為をした人は、安全運転管理者等になることができません。詳しくは以下の記事をご覧ください。
参考記事:安全運転管理者に必要な資格を解説|届出方法や罰則も紹介
3つの届出方法
安全運転管理者を選任したら、選任した日から15日以内に自動車使用の本拠地を管轄する警察署を経由して、公安委員会に届け出なければなりません。
届出方法は、以下の3パターンがあります。
①管轄する警察署の交通課窓口へ行く
②管轄する警察署の交通課へ郵送する ※一部対応していない都道府県もあります
③オンライン申請
安全運転管理者等の選任のほか、現在の届出内容に変更が生じた場合や、自動車の台数が5台未満になり、安全運転管理者を解任する場合なども届出を行う必要があります。
届出の流れや必要書類については以下の記事で詳しく解説しています。各都道府県警察HPの安全運転管理者制度ページに飛べるリンクも掲載しているので、必要な届出書のフォーマットも入手できます。ぜひ活用してください。
安全運転管理者の9つの業務内容
届出内容が審査され、公安委員会から認定されたら、安全運転管理者等の業務を開始することができます。具体的な業務内容について、確認しておきましょう。
- 運転者の状況把握
運転者の適性や技能、知識及び法令や処分の遵守状況を把握するための措置を講じます。
- 運行計画の作成
最高速度違反や過積載運転、放置駐車違反行為や過労運転の防止など、安全運転の確保に留意して、自動車の運行計画を作成します。
- 交替要員の配置
運転者が長距離運転や夜間運転を行う場合、疲労などで安全な運転ができなくなる可能性があるときは、事前に交代ドライバーを準備します。
- 異常気象時等の安全確保の措置
異常な天候や自然災害などで、安全な運転が困難になる可能性があるときは、適切な指示を出し、安全な運転を確保するための措置を取ります。
- 安全運転の指示
運転者に対して点呼を行い、自動車の点検の実施状況や、病気や過労などで運転ができない可能性があるかどうかを確認し、安全な運転を確保するために必要な指示を与えます。例えば、適切な休息や運転方法のアドバイスなどを行い、安全性を高めます。
- 運転前後の酒気帯び確認
運転をする前や終了後の運転者に対して、酒気帯びがあるかどうかを目視等で確認するほか、アルコールチェッカーを用いて確認します。運転者の状態を確認することで、酒気帯び運転を防止し、安全な運転環境を確保します。
- 酒気帯び確認の記録・保存
酒気帯びの確認結果を記録し、その記録を1年間保存することで、適切な管理と監査が可能となります。また、アルコールチェッカーを常時有効に保持し、いつでも正確に測定できる環境を整備します。
- 運転日誌の記録
運転者には運転日誌を備え付けてもらいます。運転者名や運転の開始と終了の日時、運転距離などの必要な情報を記録することによって、運転状況の把握や適切な記録管理が行えます。
- 運転者に対する指導
自動車の運転に関する技術や知識など、安全な運転を確保するために必要な事項について、運転者への教育を行います。適切な運転方法、交通規則の遵守、事故防止などについて教育し、安全な運転を推進します。
安全運転管理者は、これらの業務を通じて安全運転の促進や事故防止に取り組み、組織内の安全文化の向上を図る役割があります。
業務効率化のために「車両管理システム」が注目されている
交通事故防止や法令遵守の観点から、安全運転管理者の選任と、その業務遂行は非常に重要です。しかし、先ほど紹介したように、安全運転管理者の業務内容は多岐にわたるため、業務負担が増加してしまいがちです。
そこで、最近注目されているのが「車両管理システム」です。
そもそも、車両管理システムとは
車両管理システムとは、社用車やリース車などの車両を効率よく管理することができるシステムのことです。
具体的には、1台の車を複数人で使う場合の予約管理ができるシステム、運転日報や日常点検などの書類をデータで管理できるシステム、アルコールチェック義務化の対応をまるごと行うことができるシステム、走行距離を計測して最適なルートを教えてくれるシステムなどがあります。
2017年の中型トラックに対するタコグラフ搭載義務化をきっかけに需要が一気に高まり、2016年から2022年の間で、車両管理システムを導入した車両台数は約3.7倍になりました。
2022年4月より義務化された、白ナンバー自動車に対するアルコールチェックの効率化に役立つ機能も搭載されているため、白ナンバー自動車を使用する企業においても、車両管理システムの導入が進んでいます。
車両管理システムの詳しい機能や、選び方のポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
参考記事:【2024年最新】車両管理システムおすすめ12選|機能を徹底比較!
車両管理システムを導入するメリット
車両管理システムの導入により、日常業務の効率化や情報管理の向上につながります。具体的には以下のようなメリットを得ることができます。
- 運行管理の効率化
社用車の運行状況や走行距離、運行コストなどの情報をリアルタイムで把握できるようになることで、運行スケジュールの最適化や無駄な運行の削減が可能となり、運行管理の効率化を実現します。
- 点検・整備の支援
日常的な点検・整備のスケジュールや作業記録の管理を簡単に行えるようになります。運転者の点検結果で不具合が見つかった場合、すぐに安全運転管理者が把握することで、車両の安全性を確保するための作業を迅速に計画・実施することが可能です。
- 運転者の状態を管理
運転記録や違反履歴、アルコールチェック結果といった運転者の状態を管理するのに役立ちます。運転者の状態を把握しておくことで、必要に応じて適切な指導や教育を行うことができるようになります。
- 記録管理の効率化
アルコールチェックや日常点検、運転日報といった記録類を、車両管理システムひとつでまとめて管理することができるようになります。過去のデータが必要になった際も、紙やExcel等へ記録する場合と比べて効率よく検索することができます。
- 車両利用ルールの徹底
1台の車両を複数人で利用している場合、車両予約などの利用ルールが守られないと他の利用者に迷惑がかかる可能性があります。車両管理システムの予約機能を活用すれば、こうしたルールを徹底することが可能です。
このように、車両管理システムは安全運転管理者の業務効率化と企業としてのコンプライアンス向上を叶え、安全な運転環境の構築に役立ちます。
効率的なアルコールチェックの運用例
法改正により安全運転管理者の業務に追加されたアルコールチェックについて、弊社の車両管理システム「Bqey(ビーキー)」を用いた効率的な運用例を紹介します。
1.安全運転管理者立ち合いのもと、運転前のアルコールチェックを行います。一部の情報は自動入力されるので、必要な情報だけアプリに入力します。
2.運転後も同様にアルコールチェックを行い、そのままアプリから提出します。
3.提出された記録はすぐにシステムに反映され、安全運転管理者はデータで記録を確認することができます。データは自動で3年間システムに保存されます。
未提出や未記入があった場合には、ドライバーに自動で通知が届くので、管理者のチェックの手間を大幅に省きます。
概算にはなりますが、社用車を6台と仮定した場合は、アルコールチェック記録のとりまとめにかかる時間が30分から5分程度に、改修した書類の確認・保管にかかる時間が20分から5分程度に削減が見込まれます。
このように、車両管理システムを活用するとアルコールチェックに関して、安全運転管理者はもちろんドライバーにおいても業務負担を軽減することができます。
また、アルコールチェックだけでなく、システム上で車両の予約管理をしたり、運転日報や日常点検等の書類をデータで一元管理したりすることができるなど、車両管理システムには様々な機能があります。
まずは自社の抱えている課題を整理し、解決のために必要な機能を絞り込むことが、最適なシステムを選定するポイントです。
そのためには、各社が提供する車両管理システムについて幅広く情報収集することをおすすめします。その上で、費用対効果が得られるかをしっかりと吟味し、車両管理システムを選定するようにしましょう。
なお、車両管理システムの選び方が分からないと感じた方は、以下の資料をご活用ください。自社に必要な機能を把握するためのチェックシートもご用意しています。
資料ダウンロード:車両管理システムの選び方
まとめ
今回は、安全運転管理者の選任義務の対象となる条件と、台数の算定について詳しく解説しました。
原動機付自転車を除く自動二輪は1台につき自動車0.5台として計算し、5台以上の自家用自動車を業務において使用している場合、安全運転管理者を選任しなければなりません。乗車定員11人以上の自動車を1台以上使用している場合も同様です。
業務で使用する自家用自動車は、リース車両やマイカーであっても選任対象の台数の算定に含まれるため注意してください。
選任や届出を怠ると罰則の対象となるため、自社が選任義務の対象に該当する場合は、確実に対応するようにしてください。
安全運転管理者の役割は企業にとって重要である一方、その業務負担が大きいのも事実です。車両管理システムを活用するなど、効率的に運用できる方法を見つけましょう。
安全運転管理者の業務効率化には
車両管理システム「Bqey」がオススメ!
安全運転管理者は企業の安全運転の確保に欠かせない存在です。 その業務を確実に・効率よく行うために、最近では「車両管理システム」を導入する企業が増えています。
- アルコールチェック記録など義務化で増える業務を効率化
- 日報類を一元管理してぺーパレス化を促進
- 車両予約や鍵の貸出・返却もスマホひとつで完結
- 車両の稼働状況を正確に集計して自動でグラフ化
など、安全運転管理者はもちろん、ドライバーにかかる負担も軽減し、業務効率や経費削減に繋げることができる機能が充実しています。
社用車に関する課題を「Bqey」で解決します。Bqeyについて知りたい方は、是非こちらから資料をダウンロードしてください。