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2024.10.23

安全運転管理者と運行管理者の違いを解説!資格や罰則、業務内容も

業務目的で自動車を運転する事業所において、安全運転を確保するために欠かせないのが「安全運転管理者」や「運行管理者」です。何となく聞いたことはあるけれど、

 

  • 安全運転管理者と運行管理者の違いがわからない
  • 自社がどちらの管理者を選任しなければならないのか判断できていない
  • 各管理者の具体的な業務内容を把握できていない
  • 管理者を設置していないことへの罰則があるのか不安

という方もいらっしゃるかと思います。

そこで本記事では、安全運転管理者と運行管理者の違いを説明した上で、それぞれの「選任義務の対象となる条件」や「資格要件」、「業務内容」、違反行為に対する「罰則」などについて詳しく解説します。

各管理者について正しく理解し、安全運転の仕組みづくりを進める際の参考にしてください。

これ一冊で安全運転管理者
選任対象や資格についてまるわかり!

一定台数以上の社用車を所有している企業は、道路交通法によって「安全運転管理者」の選任が義務付けられています。「自社は安全運転管理者の選任をする必要があるの?」「選任後は何をすればいいの?」などの不安を解消できる資料をご用意しました。

【資料でわかること】

  • 安全運転管理者とは 
  • 選任対象となる事業所の条件
  • 選任を怠った場合の罰則
  • 安全運転管理者の資格要件
  • 9つの業務内容

押さえておくべきポイントをわかりやすく解説していますので、ぜひ資料をご覧ください。

 

アルコール検知器を用いたアルコールチェックが2023年12月1日から義務化されました。義務化に至った詳細についてはこちらの記事をご確認ください。
 【速報】アルコールチェック義務化開始!警察庁発表をわかりやすく解説!

安全運転管理者と運行管理者の違いとは

安全運転管理者と運行管理者は、いずれも自動車を使用する企業や事業所において、安全運転確保の役割を担います。最大の違いは、管理対象となる自動車の種類が異なる点です。安全運転管理者が自家用自動車である「白ナンバー」を管理するのに対して、運行管理者は事業用自動車である「緑ナンバー」を管理します。

 

安全運転管理者は、白ナンバーの自動車を使用する事業所において、運転者の健康状態や酒気帯びの有無を確認したり、運転日報などの記録類をとりまとめたりし、必要に応じて交通安全に関する社内教育を実施します。

 

一方、運行管理者は、トラックやタクシー、バスなど緑ナンバーの自動車を使用する事業所において、運転者の過労防止を考慮した運行計画の作成や、乗務員の健康状態と酒気帯び確認、乗務記録に基づいた指導・監督などを行います。

 

そもそも、緑ナンバーと白ナンバーとは

ナンバープレートの色は、自動車が事業用か自家用かによって変わります。

旅客や貨物等の運送業で使用する事業用自動車は、緑色の板に白い文字のナンバープレートをつける義務があり、一般的に「緑ナンバー」と呼ばれています。

タクシーでお客さんを目的地まで乗せることにより料金が発生する、トラックで荷物を運ぶことにより依頼主から賃金を得る、など運ぶ行為そのもので利益を得る場合は「緑ナンバー」に該当します。

 

一方、それ以外は自家用自動車とされており、白い板に緑色の文字のナンバープレート、いわゆる「白ナンバー」となります。

トラックで自社商品を運ぶ場合や、取引先への営業回りの場合などは、荷物を載せていても「白ナンバー」に該当します。

緑ナンバー=事業用自動車 白ナンバー=自家用自動車

安全運転管理者や運転管理者を設置する3つの理由

企業が各管理者を設置しなければならない理由は大きく分けて3つあります。

 

①法令や規則を守るため

テレビや新聞等でも報道されるように、自動車による痛ましい交通事故は、残念ながらなくなることはありません。少しでもそのリスクを下げるため、安全運転に関する法令や規則は年々厳格化しています。

安全運転管理者制度や運行管理者制度もその取り組みのうちの一つであり、法令に基づいて選任が義務付けられています。

対象となる企業や事業所が選任を怠った場合、罰則が適用されることもあるため、確実に法令遵守することが求められます。

 

②安全な運転環境を整えるため

一定台数以上の自家用自動車を使用していたり、人や荷物の運送を生業としていたりする企業や事業所は、日常業務に自動車の運転が伴います。

交通事故や違反行為は、人命に関わることはもちろん、企業や事業所の評判や信頼性にも大きな影響を与えます。そのため、安全運転管理者や運行管理者が運転状況の監視、安全対策の徹底、運転者への教育等を行い、事故防止や交通安全意識の醸成に取り組むことが重要となります。

 

③業務の効率化とコスト削減を図るため

各管理者が適切な運行計画を作成することで、効率よく取引先を訪問したり荷物を運送したりできるようになります。また、運行ルートの最適化を図ることで、燃料のムダな消費を抑え、コスト削減を実現できます。

 

交通事故や違反が発生した場合、その内容によっては企業経営に大きなダメージを与えることもあります。各管理者が業務を遂行し、交通事故やトラブルのリスクを低減することで、従業員の安全確保や、企業の信頼性や経営効率の向上にもつながるのです。

選任義務の対象となる企業の条件

冒頭で述べたように、安全運転管理者や運行管理者を選任しなければならない企業には、ナンバーの色という明確な違いがあります。

ここでは、各管理者の選任義務に当てはまる企業の条件や、選任すべき人数について詳しく説明します。

 

安全運転管理者を選任すべき企業の条件

安全運転管理者は、一定台数以上の白ナンバーの自動車を使用する企業や事業所に対して、道路交通法により設置が義務付けられています。具体的には以下のいずれかに該当する場合です。

  • 乗車定員が11人以上の自家用自動車を1台以上使用している
  • 5台以上の自家用自動車を使用している
    (原動機付自転車を除く自動二輪は1台につき自動車0.5台として計算)

    ※運送業で配置が義務付けられている「運行管理者」を選任している企業・事業所は対象外

これらの条件を満たす場合、事業所ごとに1人、安全運転管理者を選任しなければなりません。

ただし、後ほど解説する運行管理者を選任している場合は対象外となります。

 

企業によっては副安全運転管理者の選任も必要

20台以上の自家用自動車を使用している場合には、安全運転管理者に加えて、副安全運転管理者の選任も必要です。

 

副安全運転管理者は、主に安全運転管理者の補佐や代行を担います。安全運転管理者は事業所ごとに1人いれば良いのに対して、副安全運転管理者は20台ごとに1人ずつ選任しなければならないので注意してください。

選任の際の台数の算定や記録類の最低限の記入項目などについて、安全運転管理者よくある質問集でわかりやすく解説しています。ぜひ参考にしてください。

安全運転管理者の概要をおさらいしたい方は、安全運転管理者まるわかりガイドをぜひご覧ください。

複数の事業所を持つ企業の注意点

安全運転管理者や副安全運転管理者は、自動車の使用の本拠、つまり事業所ごとに選任する必要があります。

 

各事業所で定員11人以上の自動車を使用しているか、またはその他の自動車を5台以上使用しているかを確認し、当てはまる事業所には安全運転管理者等を選任しなければなりません。本社のほかに複数の支店や事業所を持つ企業は注意してください。

 

複数の事業所における選任義務の考え方については、以下の記事で具体例を用いて解説しています。ぜひ参考にしてください。

参考記事:5台未満の事業所に安全運転管理者は必要?複数拠点を持つ企業必見!

 

なお、安全運転管理者の選任や届出方法などについては、以下の記事にまとめています。ぜひ参考にしてください。

参考記事:5分でわかる「安全運転管理者」とは?選任義務や罰則、資格要件も解説

 

運行管理者を選任すべき企業の条件

運行管理者は、緑ナンバーの自動車を使用する、一般旅客自動車運送事業者と一般貨物自動車運送事業者において選任が義務付けられています。

 

一般旅客自動車運送事業者とはタクシーやバスなどが該当し、道路運送法により運行管理者の選任義務が定められています。

一方、一般貨物自動車運送事業者とはトラックなどが該当し、貨物自動車運送事業法により運行管理者の選任義務が定められています。

 
事業種別 運行管理選任義務の根拠となる法令

一般旅客自動車運送事業

(バス、タクシー等)

道路運送法

一般貨物自動車運送事業

(トラック等)

貨物自動車運送事業法
車両数の条件や設置する人数については、事業種別に細かく定められています。
 
事業種別 選任義務対象となる営業所 選任すべき運行管理者の数

一般貸切旅客自動車運送事業(貸切バス)

事業用自動車19両以下の運行を管理する営業所

2人

ただし、車両数が4両以下であり、地方運輸局長が運行の安全の確保に支障がないと認めた場合は1人

一般貸切旅客自動車運送事業(貸切バス) 事業用自動車20両以上99両以下の運行を管理する営業所

車両数÷20+1人

※1未満の端数は切り捨て

一般貸切旅客自動車運送事業(貸切バス) 事業用自動車100両以上の運行を管理する営業所

(車両数-100)÷30+6人

※1未満の端数は切り捨て

一般乗合旅客自動車運送事業(乗合バス)

定員11人以上の事業用自動車の運行を管理する営業所および定員10人以下の事業用自動車5両以上の運行を管理する営業所

車両数÷40+1人

※1未満の端数は切り捨て

一般乗用旅客自動車運送事業(タクシー)

事業用自動車5両以上の運行を管理する営業所

車両数÷40+1人

※1未満の端数は切り捨て

一般貨物自動車運送事業(トラック)

事業用自動車の運行を管理する営業所

車両数÷30+1人以上

※1未満の端数は切り捨て

ただし、車両数が5両未満であり、地方運輸局長が運行の安全の確保に支障がないと認めた場合はこの限りではない

参考:旅客自動車運送事業運輸規則 | e-Gov法令検索

参考:貨物自動車運送事業輸送安全規則 | e-Gov法令検索

 

貸切バスについて、以前は車両数29両までは1人とされていましたが、2016年の軽井沢スキーバス転落事故を踏まえて設置人数が1人から2人に増員されました。

このように、交通事故が起きると、再発を防止するために法令はより厳しくなっていきます。

 

緑ナンバーと白ナンバー両方の自動車を使用する場合

緑ナンバーと白ナンバーの自動車を両方使用する事業所の場合はどちらを選任したらよいのか分からないという方も多いかと思います。

 

緑ナンバーの自動車を使用しており、選任義務の対象となる場合は、必ず運行管理者の選任が必要となります。

警視庁によると、運行管理者を選任している営業所において、白ナンバーの自動車も5台以上使用している場合(または定員11人以上の自動車を使用している場合)、安全運転管理者の選任は必要ないとされています。

 

参考:安全運転管理者等に関するよくある質問-警視庁ホームページ.pdf (tokyo.lg.jp)

 

ただし、安全運転確保のため、白ナンバーの自動車に対してもアルコールチェックなどの取り組み・管理は行うべきと考えられます。

それぞれに必要な資格要件

安全運転管理者と運行管理者の資格要件は異なる点が多いため、詳しく解説していきます。

 

安全運転管理者の資格要件

安全運転管理者になるためには、以下の資格要件を満たす必要があります。

  • 年齢:20歳以上
    (副安全運転管理者が置かれている場合は30歳以上)
     
  • 運転管理実務経験:運転管理の実務経験が2年以上必要

副安全運転管理者の資格要件

副安全運転管理者に必要な資格要件は以下の通りです。

  • 年齢:20歳以上

  • 運転管理経験または運転経験:1年以上の運転管理の実務経験または3年以上の運転経験

他にも、公安委員会に上記と同等の能力があると認められた場合には、安全運転管理者等になることができます。

ただし、過去2年以内に公安委員会から解任命令を受けた者、酒酔い運転や無免許運転などの違反をした者は安全運転管理者等になれないため注意が必要です。

安全運転管理者の全体像について、安全運転管理者まるわかりガイドにイラスト付きでわかりやすくまとめています。ぜひご覧ください。

 

運行管理者の資格要件

運行管理者として選任されるためには、事業種別に応じた種類の運行管理者資格者証を取得している必要があります。資格者証を取得するには以下の2つの方法があります。

①運行管理者試験に合格する

[受験資格] 
イ.事業用自動車の運行管理の実務経験が1年以上の者
ロ.実務経験に代わる基礎講習を修了した者

②事業用自動車の運行の安全確保に関する業務について、一定の実務経験その他の要件を備える者

なお、②の実務経験等の詳しい要件については、各地方運輸局自動車技術安全部等に問い合わせてください。

一例として、管理者証を取得したい事業種別の事業用自動車の運行管理の実務経験が5年以上ある者で、その間に運行管理に関する講習を5回以上受講してしており、そのうち少なくとも1回は基礎講習を受講していること等の要件があります。

 

参考:自動車運送事業の運行管理者になるには - 国土交通省 (mlit.go.jp)

具体的な業務内容

安全運転管理者や運行管理者は、いずれも安全運転の確保を大きな目的としています。そのため、法令に基づいて詳細な業務内容が定められています。

 

安全運転管理者の業務内容

安全運転管理者の業務内容は、道路交通法施行規則にて定められています。具体的には以下の9つです。

  1. 運転者の状況把握
    運転者の適性や技能、知識及び法令や処分の遵守状況を把握するための措置を講じます。
     
  2. 運行計画の作成
    最高速度違反や過積載運転、放置駐車違反行為や過労運転の防止など、安全運転の確保に留意して、自動車の運行計画を作成します。
     
  3. 交替要員の配置
    運転者が長距離運転や夜間運転を行う場合、疲労などで安全な運転ができなくなる可能性があるときは、事前に交代ドライバーを準備します。
     
  4. 異常気象時等の安全確保の措置
    異常な天候や自然災害などで、安全な運転が困難になる可能性があるときは、適切な指示を出し、安全な運転を確保するための措置を取ります。
     
  5. 安全運転の指示
    運転者に対して点呼を行い、自動車の点検の実施状況や、病気や過労などで運転ができない可能性があるかどうかを確認し、安全な運転を確保するために必要な指示を与えます。例えば、適切な休息や運転方法のアドバイスなどを行い、安全性を高めます。
     
  6. 運転前後の酒気帯び確認
    運転をする前や終了後の運転者に対して、酒気帯びがあるかどうかを目視等で確認するほか、アルコールチェッカーを用いて確認します。運転者の状態を確認することで、酒気帯び運転を防止し、安全な運転環境を確保します。
     
  7. 酒気帯び確認の記録・保存
    酒気帯びの確認結果を記録し、その記録を1年間保存することで、適切な管理と監査が可能となります。また、アルコールチェッカーを常時有効に保持し、いつでも正確に測定できる環境を整備します。
     
  8. 運転日誌の記録
    運転者には運転日誌を備え付けてもらいます。運転者名や運転の開始と終了の日時、運転距離などの必要な情報を記録することによって、運転状況の把握や適切な記録管理が行えます。
     
  9. 運転者に対する指導
    自動車の運転に関する技術や知識など、安全な運転を確保するために必要な事項について、運転者への教育を行います。適切な運転方法、交通規則の遵守、事故防止などについて教育し、安全な運転を推進します。

安全運転管理者には、これらの業務内容を遂行するために必要な技術や知識を学ぶことを目的として、年に一度の法定講習を受講することも義務付けられています。

安全運転管理者等の講習については以下の記事で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。

参考記事:【2024】安全運転管理者講習とは|費用や罰則、受講時の注意点も紹介

 

運行管理者の業務内容(旅客)

一般旅客自動車運送事業者における運行管理者の業務内容は、旅客自動車運輸事業規則第48条に基づき、国土交通省令にて定められています。

項目数が多くかなり詳細に定められていますが、まとめると主に以下の4つとなります。

  1. 運行計画の作成
    運転者の過労防止を考慮した乗務割の作成や、必要に応じて交替運転手を配置するなど適切な運行計画を作成します。運転者へ適切な指示を行うための運行指示書の作成や、異常気象発生時に迅速な措置を講じることも重要です。

  2. 点呼・運行指示
    乗務員の健康状態を把握し、アルコールチェッカーを用いた酒気帯び確認を行います。安全運転ができない可能性がある時は乗務させないなど、適切な判断が求められます。運行中、乗務員が体調不良などにより安全運転に支障をきたす状態にある場合は、運行中止、休憩、運行計画の変更など必要な措置を講じます。点呼や運行指示の記録・保存やアルコールチェッカーを常時有効に保持することも必要です。

  3. 記録の保存
    運転者ごとの乗務記録や、運行記録計の記録を保存します。事故が発生した場合は、乗務員の氏名や自動車のナンバー等必要な事項を記録、保存しなければいけません。

  4. 乗務員の管理・指導・監督
    乗務員が休憩や仮眠を取るための施設や、運行記録計、乗務員台帳の管理を行います。また、乗務員に対して安全運転確保のための指導や監督を行い、その記録を保存します。その他、運転者に適性診断を受けさせる、選任された者以外の者に事業用自動車を運転させないなど、交通事故防止に必要とされる管理や対応を行います。

運行管理者の業務内容(貨物)

一般貨物自動車運送事業者における運行管理者の業務内容は、貨物自動車運輸事業輸送安全規則第20条に基づき、国土交通省令にて定められています。

 

具体的には、一般旅客自動車運送事業者における運行管理者の業務内容とほぼ同じですが、貨物においては「過積載の防止および貨物の積載方法」、「最高限度や通行禁止等の違反の防止」について運転者に対する指導・監督を行うことも加えられています。

 

旅客・貨物それぞれの運行管理者の業務内容の詳細を知りたい方は、国土交通省サイトで確認してください。


参考:道路運送法及び貨物自動車運送事業法における運行管理者、運転者及び車掌の業務(詳細).pdf (mlit.go.jp)

 

なお、運行管理者に対しても、安全運転管理者と同様の目的で定期的な法定講習の受講が義務付けられています。

運行管理者は2年に一度、一般講習を受けなければなりません。新たに運行管理者に選任された人で、基礎講習を受けたことがない場合は、基礎講習の受講も必須です。

また、重大な交通事故を起こしたり、法令違反により行政処分を受けたりした営業所の運行管理者に対しては、特別講習の受講が義務付けられており、再発防止のための知識を習得することになっています。

 

運行管理者の法定講習は、国土交通大臣の認定を受けて独立行政法人自動車事故対策機構が開催しています。講習について詳しく知りたい方は以下のリンクから確認してください。


参考:運行管理者指導講習の概要/独立行政法人自動車事故対策機構 ナスバ(交通事故) (nasva.go.jp)

管理者の業務を始める前に行うべき3つのこと

安全運転管理者と運行管理者のどちらを選任すべきか判断でき、これから業務を始めようと考えている方もいらっしゃるかと思います。

ここでは、管理者が業務を始めるにあたって行うべき3つのことを紹介します。

 

①必要な機材の準備

アルコールチェッカーやドライブレコーダー、タコグラフ(運行記録計)など、法律上で使用や搭載が義務付けられている機材に関しては、確実に備えておかなければなりません。

どんな機材が必要になるかは白ナンバーか緑ナンバーか、トラックか貸切バスかなどの業種によって異なるため、必ず確認するようにしてください。

 

なお、アルコールチェッカーの選び方や点検・メンテナンス方法については以下の記事を参考にしてください。

参考記事:アルコールチェッカーの使い方|選び方や点検方法、注意点も解説

 

②記録類のフォーマット作成

アルコールチェックや運転日報、日常点検など記録をつける業務においては、フォーマットを検討・作成しておくことも必要です。

 

特に、アルコールチェックや運転日報は記載すべき項目が法令で定められているので注意が必要です。社内の運用上記載しておいた方がよい項目があれば、それらも加えた上で、ドライバーや管理者が運用しやすいフォーマットを作成しましょう。

 

アルコールチェックと運転日報のフォーマットについては、以下のページから無料でダウンロードできます。ぜひ活用してください。

【Excel】アルコールチェック記録簿テンプレート

【Excel】運転日報テンプレート

 

③記録・保存の体制構築

アルコールチェックの記録は、1年間保存することが義務付けられています。貸切バスにおいては、3年間記録を保存しなければならないほか、点呼およびアルコールチェックを実施しているところを撮影して、90日間保存することも義務付けられています。

 

また、運転日報について、緑ナンバー事業者は1年間保存しなければなりません。交通事故などのトラブルが発生した際に提出を求められる可能性があるため、白ナンバー事業者においても一定期間保存しておくことが望ましいとされています。

 

保存形式には大きく分けて紙とデータの2種類があります。紙の場合は専用のファイルや保管庫の準備、データの場合は適切な格納場所(フォルダ)の作成と社内周知を行っておきましょう。

 

参考:国土交通省 貸切バスの新制度対応 (mlit.go.jp)



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違反行為に対する罰則

ここまで安全運転管理者や運行管理者の選任義務や業務内容等について解説してきましたが、これらに違反した場合はどのような罰則があるのでしょうか。

 

安全運転管理者に関する罰則

道路交通法に基づき、安全運転管理者制度における違反行為には以下4つの罰則が設けられています。

  • 選任義務違反
    安全運転管理者の選任義務の対象であるにもかかわらず、企業や事業所が選任しない場合、50万円以下の罰金が科されます。

  • 解任命令違反
    安全運転管理者の解任命令が出されても適切な手続きを取らず、安全運転管理者の職務を続ける場合、50万円以下の罰金が科されます。
     
  • 是正措置命令違反
    自動車の使用者に対して是正措置命令が出されても適切な対応を取らなかった場合、50万円以下の罰金が科されます。
     
  • 選任解任届出義務違反
    安全運転管理者の選任や解任を適切に届け出ない場合、5万円以下の罰金が科されます。

運行管理者に関する罰則(旅客)

道路運送法に基づき、一般旅客自動車運送事業者の運行管理者制度における違反行為には以下3つの罰則が設けられています。

  • 選任義務違反
    運行管理者の選任義務の対象であるにもかかわらず、企業や営業所が選任しない場合、100万円以下の罰金が科されます。

  • 選任解任届出義務違反
    運行管理者の選任や解任を適切に届け出ない場合や、虚偽の届出をした場合は、100万円以下の罰金が科されます。

  • 返納命令違反
    運行管理者資格者証の返納命令が出されても運行管理者資格者証を返納しなかった場合、50万円以下の罰金が科されます。

運行管理者に関する罰則(貨物)

貨物自動車運送事業法に基づき、一般貨物自動車運送事業者の運行管理者制度における違反行為には以下3つの罰則が設けられています。

  • 選任義務違反
    運行管理者の選任義務の対象であるにもかかわらず、企業や営業所が選任しない場合、150万円以下の罰金が科されます。

  • 選任解任届出義務違反
    運行管理者の選任や解任を適切に届け出ない場合や、虚偽の届出をした場合は、100万円以下の罰金が科されます。

  • 返納命令違反
    運行管理者資格者証の返納命令が出されても運行管理者資格者証を返納しなかった場合、50万円以下の罰金が科されます。

罰金の他、国土交通省(各地方運輸局及び各運輸支局)による監査の結果、法令違反が判明した場合には行政処分が行われます。

例えば、運行管理者の選任義務違反の場合は30日間の事業停止処分となります。処分が下されると、インターネット上で社名や処分内容が公表されるため、企業の信頼性を失うことにもなりかねません。

 

行政処分について詳しく知りたい方は、国土交通省サイトで確認してください。

 

参考:行政処分の基準 | 自動車総合安全情報 (mlit.go.jp)


法令違反とならないよう、安全運転管理者や運行管理者の選任義務の対象になっている場合は確実に選任し、届け出るようにしましょう。

また、是正措置や解任、資格者証返納の命令が下された場合も速やかに対応するようにしてください。

業務の徹底と効率化を叶える「車両管理システム」

ここまで解説してきたように、安全運転管理者や運行管理者は企業の安全運転を確保するために重要な役割を果たします。業務を怠ると罰則適用につながるおそれがあるため、確実な業務遂行が求められます。

しかしながら、両管理者の業務内容は多岐にわたるため、負担に感じているケースも多いです。

こうした安全運転に関する業務の徹底と効率化を叶えるツールとして、近年注目されているのが「車両管理システム」です。ここからは車両管理システムの概要について解説します。

 

車両管理システムとは、社用車など業務において使用する車両を効率的に管理し、管理者やドライバーにかかる業務負担を減らすことができるツールです。

2017年の中型トラックに対するタコグラフ搭載義務化をきっかけに需要が一気に高まり、2016年から2022年の間で、車両管理システムを導入した車両台数は約3.7倍になりました。

2022年4月から白ナンバーに対するアルコールチェックが義務化され、業務量が増加したこともあり、車両管理に関する業務負担を軽減させるためにシステムを導入する企業も増え、これから先も需要は伸びていくと言われています。

 

車両管理システムの主な機能

車両管理システムの主な機能としては、以下の8つが挙げられます。

  • 車両予約・管理機能
  • アルコールチェック機能
  • 免許証等の有効期限管理機能
  • 日報類のデジタル化機能
  • デジタルキー機能
  • 動態管理機能
  • 稼働状況集計機能
  • 安全運転支援機能

 

安全運転管理者の業務においては、複数のドライバーが社用車を共用する際に必要となる車両の予約・管理機能や、2022年から義務化されたアルコールチェックに関する機能、社用車の稼働状況を集計する機能などが役立ちます。

一方、運行管理者は運転を主体とする業種であるため、複数車両の位置情報を把握できる動態管理機能などが重要です。

 

車両管理システムのメリット

車両管理システムを導入することで、管理者は以下のようなメリットを得ることができます。

  • 管理工数の削減
    予約や鍵の受け渡し、アルコールチェックにかかる時間を短縮したり、記録類をペーパーレス化して一元管理することで、抜け漏れを防止したりすることができ、工数削減につながります。

  • 生産性向上
    日報類のデジタル化や自動作成等のドライバーの負担を軽減する機能を備えたシステムを導入すると、ドライバーは本来の業務に集中できる時間が増えるので、生産性の向上が見込まれます。また、動態管理機能を活用することにより、配送業務の効率化、スムーズな顧客対応を実現することも可能です。

  • 経費削減
    デジタルキー機能や動態管理機能、車両稼働状況集計機能などを活用することで、車両の正確な稼働状況を把握し、車両台数の最適化を行うことができます。

  • コンプライアンス遵守
    飲酒運転や交通事故のない安全な社会にするため、企業にはアルコールチェックや車検の徹底、安全運転教育の実施等が求められています。こうした社用車に関する適切な運用体制も構築できるようになります。

これに加え、ドライバーにとっても利便性や働きやすさが向上し、長時間労働の解消につながるなど、多くのメリットが期待されます。

 

車両管理システムの詳しい機能やおすすめ比較などについては、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

参考記事:【2024】車両管理システムおすすめ12選|目的別の比較表も掲載

また、どんな車両管理システムを選べばいいの?といった方は、車両管理システムの選び方をご参考ください。

まとめ

今回は、安全運転管理者と運行管理者の違いについて解説しました。安全運転管理者は自家用自動車(白ナンバー)を管理するのに対して、運行管理者は事業用自動車(緑ナンバー)を管理します。

 

各管理者の選任義務の対象となる条件や選任すべき人数は、所有する車両台数等によって細かく定められています。

選任や届出を怠った場合には罰則が科されます。場合によっては行政処分の対象となる可能性もありますので、自社が当てはまる場合は確実に対応しましょう。

 

業務負担を軽減しつつ、確実に遂行するためには「車両管理システム」を活用するのもおすすめです。各管理者に課された責任を果たし、安全な運行環境を確保しましょう。

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