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2024.02.27

アルコールチェック義務化で安全運転管理者の業務はどう変わる?

2022年4月に道路交通法施行規則が改正され、安全運転管理者の業務内容に運転者のアルコールチェックが加わりました。また、2023年12月からはアルコールチェッカーの使用も義務付けられました。

これにより、一定台数以上の白ナンバーの自動車を使用している企業は、運転前後にアルコールチェッカーを用いたアルコールチェックを実施しなければならなくなりました。

 

しかしながら、


・具体的に安全運転管理者の業務がどう変わったか把握できていない
・安全運転管理者の不在時のアルコールチェック実施方法が分からない
・自社の運用方法で法令遵守できているか不安

など、対応を始めたばかりの方で、疑問や悩みを抱えている方も多いと思います。

 

そこで本記事では、安全運転管理者に「追加された業務内容」と「アルコールチェック実施方法」、安全運転管理者制度とアルコールチェック義務化の「概要」、怠った場合の「罰則」等について分かりやすく解説します。

分でわかる
「アルコールチェック義務化」完全ガイド

2023年12月1日から検知器を用いたアルコールチェックが義務化されました。「アルコールチェック義務化」について総復習したい方のために、わかりやすく解説した資料を用意しました。

今はまだ義務化の対象ではないという方も、自社での飲酒運転防止の仕組み作りのためにお役立ていただけます。

【資料で分かること】 

  • 義務化の経緯やスケジュール
  • 義務化の対象となる企業  
  • 対応を怠った場合の罰則  
  • 会社として対応すべき事項  

アルコールチェック義務化について正しく理解するために、ぜひ資料をダウンロードしてみてください。

資料を無料でダウンロード

アルコール検知器を用いたアルコールチェックが2023年12月1日から義務化されました。義務化に至った詳細についてはこちらの記事をご確認ください。
 【速報】アルコールチェック義務化開始!警察庁発表をわかりやすく解説!

安全運転管理者の業務にアルコールチェックが追加

2022年4月の道路交通法施行規則改正により、安全運転管理者の業務内容にアルコールチェックの実施と記録・保存の業務が追加されました。

また、2023年12月には、アルコールチェッカー(アルコール検知器)を用いてアルコールチェックを行うこと、およびアルコールチェッカーを常時有効に保持することも義務付けられました。

これにより、安全運転管理者を設置している企業や事業所では、運転者に対してアルコールチェッカーを用いたアルコールチェックを行わなければならなくなりました。

 

安全運転管理者の業務内容はどう変わったのか

法改正により、具体的にどのような業務が追加されたのか見ていきましょう。

 

従来の業務内容

法改正以前の安全運転管理者の業務内容は、以下の7つでした。

  1. 運転者の状況把握
    運転者の適性や技能、知識及び法令や処分の遵守状況を把握するための措置を講じます。
     
  2. 運行計画の作成
    最高速度違反や過積載運転、放置駐車違反行為や過労運転の防止など、安全運転の確保に留意して、自動車の運行計画を作成します。
     
  3. 交替要員の配置
    運転者が長距離運転や夜間運転を行う場合、疲労などで安全な運転ができなくなる可能性があるときは、事前に交代ドライバーを準備します。
     
  4. 異常気象時等の安全確保の措置
    異常な天候や自然災害などで、安全な運転が困難になる可能性があるときは、適切な指示を出し、安全な運転を確保するための措置を取ります。
     
  5. 安全運転の指示
    運転者に対して点呼を行い、自動車の点検の実施状況や、病気や過労などで運転ができない可能性があるかどうかを確認し、安全な運転を確保するために必要な指示を与えます。例えば、適切な休息や運転方法のアドバイスなどを行い、安全性を高めます。
     
  6. 運転日誌の記録
    運転者には運転日誌を備え付けてもらいます。運転者名や運転の開始と終了の日時、運転距離などの必要な情報を記録することによって、運転状況の把握や適切な記録管理が行えます。
     
  7. 運転者に対する指導
    自動車の運転に関する技術や知識など、安全な運転を確保するために必要な事項について、運転者への教育を行います。適切な運転方法、交通規則の遵守、事故防止などについて教育し、安全な運転を推進します。

追加された業務内容

法改正により以下の2つの業務が追加され、安全運転管理者の業務内容は全部で9つとなりました。

  • 運転前後の酒気帯び確認
    運転をする前や終了後の運転者に対して、酒気帯びがあるかどうかを目視等で確認するほか、アルコールチェッカーを用いて確認します。運転者の状態を確認することで、酒気帯び運転を防止し、安全な運転環境を確保します。
     
  • 酒気帯び確認の記録・保存
    酒気帯びの確認結果を記録し、その記録を1年間保存することで、適切な管理と監査が可能となります。また、アルコールチェッカーを常時有効に保持し、いつでも正確に測定できる環境を整備します。

道路交通法施行規則の改正について詳細を知りたい方は、以下の内閣府令をご覧ください。

なお、アルコールチェッカーに関する規定は2022年10月から施行するとの記載がありますが、アルコールチェッカーの供給不足等により一時延期となり、最終的に2023年12月から施行されました。詳しくは後ほど解説します。

参考:道路交通法施行規則等の一部を改正する内閣府令(令和3年内閣府令第68号).pdf (npa.go.jp)

なお、記録しなければならないのは以下の8項目です。
  1. 確認者名
  2. 運転者名
  3. 運転者の業務に係る自動車登録番号又は識別できる記号、番号等
  4. 確認の日時
  5. 確認の方法
    ・アルコール検知器の使用を記載(2023年12月より使用が義務化)
    ・対面でない場合はビデオ通話などの具体的な確認方法を記載
  6. 酒気帯びの有無
  7. 指示事項
  8. その他必要な事項

アルコールチェック記録簿については、以下の記事で詳しく解説しています。ダウンロードしてすぐに使えるテンプレートも掲載しているので、ぜひ活用してください。

参考記事:【2023年12月】アルコールチェック記録簿の無料テンプレート

そもそも、安全運転管理者制度とは

そもそも、安全運転管理者制度は、一定台数以上の自動車を使う企業や事業所が、安全な運転環境を確保することを目的として導入されました。

社用車や運送車両の運転の管理・監督を担当する「安全運転管理者」および「副安全運転管理者」を選任し、安全運転の推進や事故の防止に取り組むことを目的としています。

安全運転管理者等は、運転者の教育・訓練や運転状況のモニタリング、安全対策の策定・実施などを担当します。

 

選任義務の対象

選任義務の対象となるのは、以下のいずれかに該当する企業や事業所です。

  • 乗車定員が11人以上の自家用自動車を1台以上使用している
  • 5台以上の自家用自動車を使用している
    (原動機付自転車を除く自動二輪は1台につき自動車0.5台として計算)

これらの企業や事業所では選任が必要とされており、少なくとも1人以上の安全運転管理者を選任しなければなりません。

ただし、運送業で配置が義務付けられている「運行管理者」を選任している場合は対象外となります。

 

安全運転管理者と運行管理者の違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。それぞれの選任義務の対象となる基準や、管理者の業務内容、違反行為に対する罰則について分かりやすく説明していますので、ぜひご覧ください。

参考記事:安全運転管理者と運行管理者の違いとは|必要な資格や罰則も解説!

 

企業によっては副安全運転管理者の選任も必要

20台以上の自動車を使用している場合には、安全運転管理者に加えて、副安全運転管理者の選任も必要です。

 

副安全運転管理者は、主に安全運転管理者の補佐や代行を担います。

使用する自動車台数が多い場合、安全運転管理者だけでは確実に業務を遂行するのが難しくなります。それをサポートし、安全運転を確保する環境を整えるために、副安全運転管理者は必要になるのです。

安全運転管理者は使用する台数によって選任する人数は異なりませんが、副安全運転管理者は20台増えるごとに1人加算しなければならないため、注意が必要です。

 

資格要件

安全運転管理者、副安全運転管理者になるための資格要件を紹介します。

 

安全運転管理者の資格要件

安全運転管理者は、以下の資格要件を満たす必要があります。

  • 年齢:20歳以上
    (副安全運転管理者が置かれている場合は30歳以上)
     
  • 運転管理実務経験:運転管理の実務経験が2年以上必要

副安全運転管理者の資格要件

副安全運転管理者は、以下の資格要件を満たす必要があります。

  • 年齢:20歳以上

  • 運転管理経験または運転経験:1年以上の運転管理の実務経験または3年以上の運転経験

他にも、公安委員会に上記と同等の能力があると認められた場合には、安全運転管理者や副安全運転管理者になることができます。

ただし、過去2年以内に公安委員会から解任命令を受けた者、酒酔い運転や無免許運転などの違反をした者は安全運転管理者等になれないため注意が必要です。

 

これらの選任基準に基づいて設置された安全運転管理者や副安全運転管理者が、運転者に対してアルコールチェックを実施することになります。

届出義務

安全運転管理者を選任した時は、選任した日から15日以内に自動車使用の本拠地を管轄する警察署を経由して、公安委員会に速やかに届け出なければなりません。選任の届出については、道路交通法第74条の3第5項で定められています。

 

なお、安全運転管理者制度については、以下の記事で詳しく解説しています。選任・届出方法や違反行為に対する罰則についても分かりやすく紹介していますので、ぜひご覧ください。

参考記事:【最新版】5分でわかる!安全運転管理者とは|選任義務や業務内容を徹底解説

改めて知りたい、アルコールチェック義務化とは

ここまで、安全運転管理者制度におけるアルコールチェック業務の追加について解説してきました。この改正により、安全運転管理者を設置している企業や事業所では運転者に対するアルコールチェックを行わなければならなくなりました。これらは一般的に「アルコールチェック義務化」と呼ばれています。

 

ここで、アルコールチェック義務化の内容やスケジュール等を改めて確認しておきましょう。

なお、アルコールチェック義務化についてわかりやすくまとめた資料もありますので、合わせてご活用ください。

資料ダウンロード:5分でわかる!アルコールチェック義務化のすべて

なぜ義務化されたのか

今回アルコールチェック義務化の対象となったのは、一定台数以上の「白ナンバー」の自動車を使用する企業や事業所です。

事業用である緑ナンバーの自動車に対しては、以前からアルコールチェックが義務付けられていましたが、なぜ白ナンバーに対しても義務化されることになったのでしょうか。

これには、2021年6月に千葉県八街市で起きた飲酒運転のトラックによる交通事故が大きく影響しています。

事故の概要

2021年6月28日、千葉県八街市で、飲酒運転のトラックが下校中の小学生の列に突っ込み児童5人が死傷しました。事故後、運転者の呼気から基準値を上回るアルコールが検出されましたが、運転者が乗っていたのは当時アルコールチェックが義務付けられていなかった白ナンバーのトラックでした。

この事故を受けて道路交通法施行規則が改正され、白ナンバーに対する飲酒運転防止対策の強化を目的として、アルコールチェックの実施および記録・保存が義務化されたのです。また、企業の安全運転文化の醸成を担う安全運転管理者の重要性も見直され、罰則の追加や罰金の引き上げが行われました。

 

これまでも飲酒運転による事故が起きる度に道路交通法が改正されてきましたが、なかなか飲酒運転がなくならないため、この事故をきっかけにさらに法制化や厳罰化が進められました。

義務化の内容とスケジュール

アルコールチェック義務化は、2022年4月と2023年12月の二段階に分けて施行されました。それぞれの内容とスケジュールを改めて確認しておきましょう。

2022年4月1日から義務化された内容 (第一段階)

飲酒運転による交通事故を今まで以上に厳格に防止するために、まずは運転前と運転後の計2回、ドライバーに対してアルコールチェックを実施し、その記録を管理することが義務化されました。

 

ただし、第一段階では、アルコールチェックの際にアルコールチェッカーを用いることまでは義務化されず、「目視等」で実施すればよいとされていました。

 

2022年4月1日から義務化された内容は、具体的には以下の通りです。

  • 運転前後の運転者の状態を目視等で確認することにより、運転者の酒気帯びの有無の確認をすること
  • 酒気帯びの有無について記録し、記録を1年間保存すること
    (道路交通法施行規則第9条の10)

2023年12月1日から義務化された内容 (第二段階)

第二段階では、さらに厳格なアルコールチェックの実施が必要となりました。第一段階では「目視等」での実施に留められていましたが、第二段階では「アルコールチェッカー」を用いたアルコールチェックが義務付けられました。

 

また、アルコールチェッカーは定期的に点検を行い、いつでも正確に測定できる状態にしておくことも義務化の内容に含まれています。

 

アルコールチェッカーの使用について、当初は2022年10月1日から義務化される予定でしたが、アルコールチェッカーの供給不足等を踏まえて延期となっていました。

(参照:警察庁の発表文書

 

その後、安全運転管理者へのアンケートやアルコールチェッカー製造業界からの意見等により、アルコールチェッカーの供給状況が改善傾向にあると認められ、飲酒運転防止を図るためには早期にアルコールチェッカーを導入することが望ましいとの見方から、2023年12月1日の施行が決定しました。

2023年12月1日から義務化された内容は、具体的には以下の通りです。

  • 運転者の酒気帯びの有無の確認を、国家公安委員会が定めるアルコールチェッカーを用いておこなうこと
  • アルコールチェッカーを常時有効に保持すること
    (道路交通法施行規則第9条の10)

なお、国家公安委員会が定めるアルコールチェッカーとは、「呼気中のアルコールを検知し、その有無 又はその濃度を警告音、警告灯、数値等により示す機能を有する機器」を指しており、これを満たしたアルコールチェッカーであれば問題なく使用できます。

 

アルコールチェッカーの正しい使い方や点検・メンテナンス方法については、以下の記事で分かりやすく解説しています。合わせてご覧ください。

参考記事:【最新版】アルコールチェッカーの正しい使い方|義務化に対応した運用方法も紹介

 

二段階にわたるアルコールチェック義務化の内容を図でまとめると以下の通りです。

なお、アルコールチェック義務化については、以下の記事で詳しく解説しています。こちらも合わせてご覧ください。

参考記事:【12月最新】アルコールチェック義務化とは|運用方法まで徹底解説!

アルコールチェック実施の8つのステップ

実際にアルコールチェックを運用する際には、どのような流れになるのでしょうか。アルコールチェックの一般的な流れを8ステップでまとめると以下の通りです。

  1. 運転前に安全運転管理者が立ち合って検知器を用いたアルコールチェックを実施する
  2. ドライバーがアルコールチェックの結果を記録簿に記入する
  3. 運転する
  4. 運転後に安全運転管理者が立ち合って検知器を用いたアルコールチェックを実施する
  5. ドライバーがアルコールチェックの結果を記録簿に記入する
  6. ドライバーから安全運転管理者に記録簿を提出する
  7. 安全運転管理者が記録簿の内容をチェックし、未記入等があった場合は修正を依頼する
  8. 内容の確認が完了したら、記録簿を1年間保存する
このステップの中で特に重要なのは以下の2点です。
  • 運転前後のアルコールチェックには、原則として安全運転管理者が立ち合わなくてはならない(ステップ01、04)
  • アルコールチェックの結果は記録簿に残し、1年間保存しなくてはならない(ステップ08)

これらは道路交通法施行規則で定められている内容なので、必ず守らなくてはなりません。

 

また、2023年12月1日から正式にアルコールチェッカーを用いたアルコールチェックの実施が義務化されたので、アルコールチェッカーをいつでも正確に測定できる状態に維持しておかなくてはなりません。

アルコールチェック実施のポイント

アルコールチェックは、適切なタイミングと方法で行う必要があります。ここからは、実施のポイントや留意すべき事項について解説します。

実施するタイミング

アルコールチェックは運転前・運転後の計2回実施しなくてはなりません。運転前のチェックでは、運転者がアルコールを摂取していないことを確認し、安全な状態での運転を保証します。一方、運転後のチェックでは、運転中にアルコール摂取がなかったことを確認し、万が一アルコールが検出された場合は警察に通報するなど、適切な措置を取ることが求められます。

原則として対面で実施

アルコールチェックは原則として対面で実施し、安全運転管理者が立ち合わなくてはなりません。ただし、直行直帰の場合や早朝・深夜の場合など、対面で実施することが難しい状況や安全運転管理者が対応できない場合も考えられます。そのような時は以下のように実施します。

直行直帰など対面で実施できない場合

直行直帰などで対面でのアルコールチェックが難しい場合には、代替手段を検討する必要があります。例えば、カメラやモニター、携帯電話や業務無線を利用してアルコールチェックを行うなど、適切な方法を選択し、実施することが求められます。

 

ただし、メールやチャットなど、運転者と直接対話ができない方法は該当しません。安全運転管理者は運転者と直接対話したうえで、顔色や声の調子などを確認する必要があります。

 

なお、直行直帰時のアルコールチェックの実施については、以下の記事でも詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。

参考記事:直行直帰時のアルコールチェックはどうする?|実施方法を徹底解説

安全運転管理者が対応できない場合

アルコールチェックは原則として安全運転管理者が実施します。しかし、安全運転管理者の不在時や確認が困難な場合においては、「副安全運転管理者」やあらかじめ指定した「安全運転管理者の業務を補助する人」が代わりに実施しても問題ありません。

 

ただし、アルコールチェック時に酒気帯びが確認された場合等には、必ず安全運転管理者に速やかに報告し、必要な対応等について指示を受けるか、安全運転管理者自らが運転者に対して運行中止の指示等を行う必要があります。また、代理でアルコールチェックを実施した場合であっても、その責任は安全運転管理者が負うことになります。

参照:兵庫県警察公式サイト 「安全運転管理者の業務 アルコール検知義務化 Q&A」

アルコールチェックを怠った場合の罰則

運転前後にアルコールチェックの実施や記録を忘れてしまうなど、アルコールチェック義務化への対応を怠ってしまった場合、どのような罰則があるのでしょうか。

アルコールチェックを怠った結果、飲酒運転による交通事故を引き起こしてしまった場合は、運転者だけではなく会社の代表者や責任者も罰則の対象となります。

安全運転管理者の業務違反に該当する

アルコールチェックの実施と記録・保存は、安全運転管理者の業務内容として道路交通法施行規則で定められています。そのため、アルコールチェックを怠った場合は、安全運転管理者の業務違反となります。

しかしながら、今のところアルコールチェックを怠ったことに対する直接的な罰則は設けられていません。

ただし、安全運転管理者の業務違反が著しく、安全運転の確保に問題があると判断された場合は、公安委員会から是正措置命令や安全運転管理者の解任命令がくだることがあります。これに従わない場合は、命令違反に対する罰則が科される可能性があります。

 

安全運転管理者に関する罰則については、以下の記事で詳しく解説しています。合わせてご確認ください。

参考記事:安全運転管理者の罰則を解説!罰金引き上げの背景とは

飲酒運転に対する罰則

直接的な罰則がないとはいえ、アルコールチェックを怠ると、従業員の飲酒運転を見逃してしまう可能性があります。従業員が飲酒運転をしてしまった場合には厳しい罰則が設けられています。

飲酒運転には「酒酔い運転」と「酒気帯び運転」の二種類があります。どちらに該当するかで罰則の内容がことなるので、まずはそれぞれの違いをお伝えします。

 

酒酔い運転

「酒酔い運転」とは、名前のとおりお酒を飲んで酔っぱらっている状態で運転することを意味しています。酒酔い運転の場合は、呼気中のアルコール濃度に関係なく運転者の状態で判断されます。

つまり、アルコールチェッカーの測定値に関わらず、

・まっすぐ歩くことができない
・明らかに呂律が回っていない
・質問に対する受け答えがまともにできない

などの状態にある場合は「酒酔い運転」と判断されます。

 

酒気帯び運転

一方、「酒気帯び運転」とは、アルコールチェッカーを用いて呼気中のアルコール濃度を測定した際の測定結果から判断されます。

「酒気帯び運転」の罰則対象となる基準値は、

呼気の場合: 0.15 mg/L
血液の場合: 0.3 mg/mL

と定められています。

 

「酒酔い運転」や「酒気帯び運転」が発覚した場合、運転者および車両の提供者には以下の罰則が科されます。

運転者・車両の提供者

  • 酒酔い運転の場合:5年以下の懲役 または 100万円以下の罰金
  • 酒気帯び運転の場合:3年以下の懲役 または 50万円以下の罰金

また、罰則の対象になるのは運転者本人や車両の提供者だけではありません。酒類を提供した人や一緒に車に乗っていた人も、罰則の対象になります。

具体的には、以下のような罰則が科されます。

酒類の提供者・車両の同乗者

  • 酒酔い運転の場合:3年以下の懲役 または 50万円以下の罰金
  • 酒気帯び運転の場合:2年以下の懲役 または 30万円以下の罰金

会社の代表者や責任者も罰則の対象になる

アルコールチェックを怠った結果、従業員が酒酔い運転や酒気帯び運転を行った場合や、それらによって事故を起こした場合、従業員本人が罰せられるのはもちろん、車両提供者である会社の代表者や責任者も従業員と同等の罰則を科されます。

 

このため、企業には従業員を雇用する立場としてアルコールチェックの徹底や安全教育の実施等、飲酒運転防止に努める責任があります。

 

また、従業員が飲酒運転や酒気帯び運転によって事故を起こした場合は、罰則を科されるだけでなく、企業としての社会的信用を失うことにも繋がるので、企業としてしっかり対策を行うことが重要です。

アルコールチェック義務化は、飲酒運転を防止するための一環として位置づけられています。

運転者や安全運転管理者がアルコールチェック義務を遵守することで、酒酔い運転や酒気帯び運転のリスクを回避し、交通安全の確保に努めましょう。

徹底・効率化のために「車両管理システム」が注目されている

飲酒運転による悲惨な事故を防ぐため、また企業としてのコンプライアンスを確保するために、アルコールチェックは法令に沿って必ず行わなければなりません。

しかし、安全運転管理者には他にも安全運転確保に関する様々な業務が与えられており、アルコールチェックを徹底しようとするほどに業務負担が大きくなってしまうのも事実です。

そこで、アルコールチェックを徹底し、かつ効率化する方法としておすすめなのが、「車両管理システム」の活用です。

車両管理システムとは

車両管理システムとは、社用車やリース車などの車両を効率よく管理することができるシステムのことです。

 

具体的には、アルコールチェック義務化の対応をまるごと行うことができるシステム、1台の車を複数人で使う場合の予約管理ができるシステム、運転日報や日常点検などの書類をデータで管理できるシステム、走行距離を計測して最適なルートを教えてくれるシステムなどがあります。

 

2017年の中型トラックに対するデジタコの搭載義務化をきっかけに車両管理システムの需要が一気に高まり、2016年から2022年の間で、車両管理システムを導入した車両台数は約3.7倍になりました。

なお、車両管理システムの機能やメリットについては以下の記事で詳しく解説しています。各社が提供する車両管理システムの機能や特徴もまとめて比較することができますので、ぜひ参考にしてください。

参考記事:【2023】車両管理システム比較14選|選び方や機能を徹底解説

車両管理システムを導入するメリット

車両管理システムを導入する大きなメリットは、管理工数の削減とアルコールチェックの徹底です。

 

安全運転管理者の業務はアルコールチェックだけでなく、運行計画の策定や日報類の管理など多岐に渡ります。車両台数が多い場合や管理者の人数が少ない場合などは、特に多くの時間が必要になります。

車両管理システムを用いると、アルコールチェックの記録はもちろん、運転日報や日常点検の記録も合わせてペーパーレス化することで、記録の作成や確認、保存に関する工数を削減できます。

また、アルコールチェッカーとシステムを連携させて、アルコールチェックの測定数値を自動で取り込み、改ざんを防止する機能や、測定時に顔写真を撮影することでなりすましを防止する機能を搭載したシステムもあります。

車両管理システムを導入することで、コンプライアンスの観点でも重要なアルコールチェックの徹底を実現することができます。

車両管理システムを用いたアルコールチェックの運用例

車両管理システムを用いてアルコールチェックを実施する場合の流れを、弊社の提供する車両管理システム「Bqey(ビーキー)」を具体例として用いて説明します。

①安全運転管理者立ち合いのもと、運転前のアルコールチェックを行います。一部の情報は自動入力されるため、必要な情報をドライバーがBqeyのアプリに入力します。​

②運転後も同様にアルコールチェックを行い、そのままアプリから提出します。

③提出された記録はすぐにシステムに反映され、安全運転管理者はデータで記録を確認することができます。データは自動で3年間システムに保存されます。

未提出や未記入があった場合には、ドライバーに自動で通知が届くので、管理者のチェックの手間を大幅に省きます。概算にはなりますが、社用車を5~6台と仮定した場合は、アルコールチェック記録のとりまとめにかかる時間が30分から5分程度に、改修した書類の確認・保管にかかる時間が20分から5分程度に削減が見込まれます。

このように、車両管理システムを活用すると、安全運転管理者だけではなくドライバーにとっても業務負担を軽減することができます。

 

また、アルコールチェックだけでなく、システム上で車両の予約管理をしたり、運転日報や日常点検等の書類をデータで一元管理したりすることができるなど、車両管理システムには様々な機能があります。

まずは自社の抱えている課題を整理し、解決のために必要な機能を絞り込むことが、最適なシステムを選定するポイントです。

そのためには、各社が提供する車両管理システムについて幅広く情報収集することをおすすめします。その上で、費用対効果が得られるかをしっかりと吟味し、車両管理システムを選定するようにしましょう。

 

なお、車両管理システムの選び方が分からないと感じた方は、以下の資料をご活用ください。自社に必要な機能を把握するためのチェックシートもご用意しています。

資料ダウンロード:車両管理システムの選び方

まとめ

今回は、アルコールチェック義務化によって安全運転管理者の業務がどのように変化するのかについて解説しました。

 

アルコールチェック義務化により、安全運転管理者の業務として「アルコールチェックの実施」と「アルコールチェックの記録・保存」が追加されました。

飲酒運転による交通事故を防止するため、また企業としてのコンプライアンスを確保するために、アルコールチェックは確実に行わなければなりません。しかし、アルコールチェックを徹底しようとすると安全運転管理者の業務負担が増加してしまいます。

 

こうした課題を解決するには「車両管理システム」の活用がおすすめです。アルコールチェックの実施や記録の抜け漏れを防止したり、他の業務と合わせてペーパーレス化することで安全運転管理者やドライバーの業務負担を軽減したりできるため、アルコールチェックの徹底・効率化をかなえます。
 

ただし、車両管理システムには様々な機能が搭載されているため、自社の課題を整理し、必要な機能を選定することが重要です。

車両管理システムを上手に活用して、アルコールチェックを確実に実施し、飲酒運転の防止に努めましょう。

アルコールチェックの徹底・効率化に
車両管理システム「Bqey」が選ばれる理由

安全運転管理者とドライバー双方の負担を軽減しながらアルコールチェックを徹底する手段として、車両管理システム「Bqey」を導入する企業が増えています。「Bqey」は以下の理由から、多くのお客様に選ばれています。

 
  • アルコールが検知された場合はアラート機能でお知らせ
  • デジタルキー機能でアルコールが検知されたら自動車利用を制御 
  • 直感的に操作できるスマホアプリで簡単入力

車両管理システム「Bqey」はアルコールチェック義務化対応はもちろん、それ以外の車両に関する業務もまとめて効率化できるシステムです。「Bqey」について知りたい方は、こちらから資料をダウンロードしてください。