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2024.06.20

【最新】社用車のアルコールチェック義務化を解説!実施方法や罰則も

2022年に道路交通法が改正され、一定台数以上の白ナンバーの社用車を使用している企業に対して、アルコールチェックが義務化されました。また、2023年12月1日からアルコール検知器を用いたアルコールチェックも義務付けられました。

 

ところが、社用車のアルコールチェック義務化について、

  • 社用車はあるが、義務化の対象なのかわからない
  • 義務化の最終的なスケジュールを知りたい
  • 今後義務化の対象となった場合、具体的に何をすればよいのかわからない
  • 現状のアルコールチェックの運用がうまくいっていない

など、疑問や悩みを抱えている方も多いようです。

 

そこで本記事では、社用車のアルコールチェック義務化について「対象となる事業所」や「内容とスケジュール」、アルコールチェックの「具体的な運用ステップ」、「抱えがちな課題」と「解決方法」について解説します。

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「アルコールチェック義務化」完全ガイド

2023年12月1日から検知器を用いたアルコールチェックが義務化されました。総復習したい方のために、押さえるべきポイントをわかりやすく解説した資料を用意しました。

【資料で分かること】

  • 義務化の対象となる企業  
  • 対応を怠った場合の罰則  
  • 会社として対応すべき事項  

アルコールチェック義務化について正しく理解するために、ぜひ資料をダウンロードしてみてください。
社内展開用にもご活用いただけます。

 

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アルコール検知器を用いたアルコールチェックが2023年12月1日から義務化されました。義務化に至った詳細についてはこちらの記事をご確認ください。
 【速報】アルコールチェック義務化開始!警察庁発表をわかりやすく解説!

そもそも、社用車とは

まずは、社用車の言葉の定義から確認しておきましょう。合わせて、社用車に関してよく耳にする「白ナンバー」と「緑ナンバー」の違いについても説明します。

 

社用車の定義

「社用車」という言葉はどういう意味なのでしょうか。似た言葉で「営業車」や「商用車」という言葉を耳にしたことある方もいるかと思います。「社用車」「営業車」「商用車」の言葉の意味の違いをお伝えします。

 

前提として、社用車、営業車、商用車はどれも、法人が業務で使用する車のことを指しています。厳密な言葉の定義はありませんが、一般的に以下のような意味で使われることが多いです。

  • 社用車
    法人や個人事業主が使用する車全般を指します。使用目的は様々で、営業としての外回りや荷物の搬送、役員・従業員の送迎などが挙げられます。
 
  • 営業車
    法人や個人事業主が使用する車(社用車)の中でも、特に外回りなどの営業活動を目的に使用する車のことを指します。
 
  • 商用車
    仕事用途で使用される車全般を指すことが多いです。商用車にはタクシーやバスなどの旅客輸送車、トラックなどの貨物輸送車、ミキサー車やダンプカーなど工事用車両も含まれ、社用車も商用車の一部です。

以下の記事では、社用車の入手方法の違いによるメリット・デメリットや、社用車を所有する場合に対応しなければならないことについて詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

参考記事:社用車とは|社有車との違いや入手方法、導入後の管理についても解説!

 

緑ナンバーと白ナンバーの違い

ナンバープレートの色は、自動車が事業用か自家用かによって変わります。

旅客や貨物等の運送業で使用する事業用自動車は、緑色の板に白い文字のナンバープレートをつける義務があり、一般的に「緑ナンバー」と呼ばれています。

タクシーでお客さんを目的地まで乗せることにより料金が発生する、トラックで荷物を運ぶことにより依頼主から賃金を得る、など運ぶ行為そのもので利益を得る場合は「緑ナンバー」に該当します。

 

一方、それ以外は自家用自動車とされており、白い板に緑色の文字のナンバープレート、いわゆる「白ナンバー」となります。

トラックで自社商品を運ぶ場合や、取引先への営業回りの場合などは、荷物を載せていても「白ナンバー」に該当します。

緑ナンバー=事業用自動車 白ナンバー=自家用自動車

社用車のアルコールチェック義務化とは

2022年4月に道路交通法が改正され、白ナンバーの社用車を一定台数以上所有している企業や事業者に対して、アルコールチェックの実施が義務化されました。まずは、アルコールチェック義務化の概要や経緯からお話しします。

概要をささっとおさらいしたい方は、『5分でわかる!アルコールチェック義務化のすべて』をぜひご参考ください。

以前は緑ナンバーに対してのみ義務付けられていた

トラックやバス、タクシーなどの緑ナンバー(事業用自動車)については、2011年からすでにアルコールチェックが義務付けられています。

 

緑ナンバーの事業所においては、安全運転の責任者である「運行管理者」が、乗務員への点呼の際にアルコールチェックを実施します。

 

運行管理者の業務内容や、後ほど紹介する「安全運転管理者」との違いについては、以下の記事をご覧ください。

参考記事:安全運転管理者と運行管理者の違いを解説!資格や罰則、業務内容も

 

白ナンバーの社用車に対する義務化の経緯

2022年4月の法改正のポイントは、これまで義務付けられていなかった、白ナンバー(自家用自動車)の社用車を使用する企業や事業所に対しても、アルコールチェックの実施が義務付けられたことです。

 

これには、2021年6月に千葉県八街市で発生した、白ナンバートラックの飲酒運転による交通死亡事故が大きく関係しています。

事故の概要

2021年6月28日、千葉県八街市で、飲酒運転のトラックが下校中の小学生の列に突っ込み児童5人が死傷しました。事故後、運転者の呼気からは基準値を上回るアルコールが検出されましたが、運転者が乗っていたのは、当時アルコールチェックが義務付けられていなかった白ナンバーのトラックでした。

この事故を受け、白ナンバーに対する飲酒運転防止対策の強化を目的として、道路交通法施行規則が改正され、安全運転管理者による運転前後のアルコールチェックの実施および記録の保管が義務化されました。

 

白ナンバーのアルコールチェック義務化については、以下の記事で詳しく解説しています。

参考記事:白ナンバーもアルコールチェック義務の対象に!対応方法や罰則も解説

 

また、白ナンバーの事業所において安全運転確保の役割を担う「安全運転管理者」の選任義務を遵守させるため、安全運転管理者に関する罰金が引き上げられました。

 

安全運転管理者に関する具体的な罰則内容については、以下の記事で詳しく解説しています。

参考記事:安全運転管理者の罰則と法令遵守のポイント|業務内容とリスクを徹底解説

義務化の対象となる事業所

アルコールチェックは安全運転管理者の業務として位置づけられているため、安全運転管理者の選任対象となる条件に当てはまれば、アルコールチェックも義務付けられることになります。

 

業種に関わらず、自動車の使用の本拠ごと、つまり事業所や営業所ごとに以下の条件を満たしていれば、安全運転管理者の選任およびアルコールチェック義務化の対象となります。

  • 乗車定員が11人以上の自家用自動車を1台以上使用している
  • その他の自家用自動車を5台以上使用している
    ※ 大型自動二輪車または普通自動二輪車は、それぞれ1台を0.5台として計算
     (道路交通法施行規則第9条の8)

自家用自動車と言うと、プライベートで使用するマイカーを思い浮かべる方も多いかと思いますが、法律上では白ナンバーの社用車や営業車も含まれるため、注意してください。

 

例えば、幼稚園バスやスクールバス、ホテルの送迎車などの大人数が乗れるような車を1台でも所有している場合や、メーカーの営業部門や建設業など車を運転する機会があり社用車を複数台所有している場合などが該当します。

アルコールチェック義務化について総復習したい方のために、わかりやすく解説した『5分でわかる!アルコールチェック義務化のすべて』をご用意しました。ぜひご覧ください。

 

そもそも、安全運転管理者制度とは

ここで、安全運転管理者制度について改めて確認しておきましょう。安全運転管理者制度とは、自動車の使用者である企業や事業所の代表者に対して、先ほどの条件を満たす事業所ごとに「安全運転管理者」や「副安全運転管理者」を選任しなければならないと定めた制度です。

 

その目的は、安全運転管理者等が運転者の教育・訓練や運転状況のモニタリング、安全対策を実施し、安全運転の推進や交通事故の防止を強化することです。

 

イラストを用いてわかりやすくまとめた『安全運転管理者まるわかりガイド』も用意していますので、ぜひ参考にしてください。

 

安全運転管理者の業務にアルコールチェックが追加された

法改正により安全運転管理者の業務内容にアルコールチェックが追加されたことで、安全運転管理者を選任している事業所ではアルコールチェックを実施しなければならなくなりました。

 

安全運転管理者の具体的な業務内容は以下の9つです。

  1. 運転者の状況把握
  2. 運行計画の作成
  3. 交替要員の配置
  4. 異常気象時等等の安全確保の措置
  5. 安全運転の指示
  6. 運転前後の酒気帯び確認 ※法改正で追加
  7. 酒気帯び確認の記録・保存 ※法改正で追加
  8. 運転日誌の記録
  9. 運転者に対する指導

義務化の内容とスケジュール

ここで、アルコールチェック義務化の内容をスケジュールについておさらいしておきましょう。改正道路交通法は2022年4月と2023年12月の二段階に分けて施行されました。

2022年4月1日に施行された内容(第一段階)

飲酒運転による交通事故を今まで以上に厳格に防止するために、まずは運転前と運転後の計2回、ドライバーに対してアルコールチェックを実施し、その記録を管理することが義務化されました。

 

ただし、第一段階では、アルコールチェックの際にアルコールチェッカー(アルコール検知器)を用いることまでは義務化されず、「目視等」で実施すればよいとされていました。

 

2022年4月1日から義務化された内容は、具体的には以下のとおりです。

  • 運転前後の運転者の状態を目視等で確認することにより、運転者の酒気帯びの有無の確認をすること
  • 酒気帯びの有無について記録し、記録を1年間保存すること
    (道路交通法施行規則第9条の10)

2023年12月1日に施行された内容(第二段階)

第二段階では、さらに厳格なアルコールチェックの実施が必要となりました。第一段階では「目視等」での実施に留められていましたが、第二段階では「アルコールチェッカー」を用いたアルコールチェックが義務付けられました。

 

また、アルコールチェッカーは定期的に点検を行い、いつでも正確に計測できる状態にしておくことも義務化の内容に含まれています。

 

アルコールチェッカーの使用について、当初は2022年10月1日から義務化される予定でしたが、アルコールチェッカーの供給不足等を踏まえて延期となっていました。

(参照:警察庁の発表文書

 

その後、安全運転管理者へのアンケートやアルコールチェッカー製造業界からの意見等により、アルコールチェッカーの供給状況は改善傾向にあると認められ、飲酒運転防止を図るためには早期にアルコールチェッカーを導入することが望ましいとの見方から、2023年12月1日から義務化開始となりました。

2023年12月1日から義務化された内容は、具体的には以下のとおりです。

  • 運転者の酒気帯びの有無の確認を、国家公安委員会が定めるアルコール検知器を用いておこなうこと
  • アルコール検知器を常時有効に保持すること
    (道路交通法施行規則第9条の10)

なお、国家公安委員会が定めるアルコールチェッカーとは、「呼気中のアルコールを検知し、その有無 又はその濃度を警告音、警告灯、数値等により示す機能を有する機器」を指しており、これを満たしたアルコールチェッカーであれば問題なく使用できます。

 

二段階にわたるアルコールチェック義務化の内容を図でまとめると以下のとおりです。

アルコールチェック義務化について総復習したい方のために、わかりやすく解説した『5分でわかる!アルコールチェック義務化のすべて』をご用意しました。ぜひご覧ください。

対象の事業所が対応すべき3つのこと

アルコールチェック義務化の対象となる企業は、以下の対応を進めなくてはなりません。

①安全運転管理者の選任

アルコールチェックは、原則として安全運転管理者が実施しなくてはなりません。アルコールチェック義務化の対象となる企業は、安全運転管理者の選任が必須になるので、まだ安全運転管理者を選任していない場合は、選任や届出等を早急に進めなくてはなりません。

 

安全運転管理者に関しては、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。

安全運転管理者に必要な資格を解説|届出方法や罰則も紹介
安全運転管理者の届出ハウツー!電子申請や必要書類のリンクも掲載
安全運転管理者の罰則と法令遵守のポイント|業務内容とリスクを徹底解説

 

安全運転管理者をすでに選任している場合は、新たな業務としてアルコールチェックが追加されたので、業務フローを再確認するとともに、アルコールチェック実施を徹底する仕組みを作る必要があります。

②アルコールチェッカーの手配とメンテナンス

アルコールチェックを実施するためには、国家公安委員会が定めるアルコールチェッカーを手配する必要があります。

 

国家公安委員会が定めるアルコールチェッカーとは、”呼気中のアルコールを検知し、その有無又はその濃度を警告音、警告灯、数値等により示す機能を有する機器”とされています。

参考:『道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案』等について.pdf (npsc.go.jp)

 

言い換えると、アルコールチェッカーを選ぶ時のポイントは以下のとおりです。 

  • 音、色、数値等で呼気から酒気帯びの有無が確認できる
  • 正しく測定ができれば、メーカーや形は問わない
 

現在は各メーカーからいろんな種類のアルコールチェッカーが販売されており、価格や精度、形状なども様々です。社内でのアルコールチェックの運用方法を想定した上で、自社にとって使いやすいアルコールチェッカーを選ぶことが大切です。

 

また、アルコールチェッカーには耐用年数や使用上限が設けられています。常時有効に保持し、いつでも正確に測定できる環境を整備しておくためには、点検やメンテナンスを行うことも重要です。

アルコールチェッカーの選び方や、点検・メンテナンス方法については、以下の記事で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。

 

参考記事:アルコールチェッカーの使い方と3つの注意点|点検方法も解説!

③記録・保存体制の構築

法律では、アルコールチェックを実施するだけでなく、結果を記録して1年間保存することも義務付けられています。

 

そのためには、記録簿を用意し、1年間保存できる体制を整える必要があります。記録簿の形式は紙でもデータでも構いません。紙の場合はファイルや保管庫を準備し、データの場合は適切な格納場所に専用フォルダを作成しておきましょう。

 

記録簿に記載しなければならない具体的な項目は以下の8つです。
  1. 確認者名
  2. 運転者名
  3. 運転者の業務に係る自動車登録番号又は識別できる記号、番号等
  4. 確認の日時
  5. 確認の方法
    ・アルコール検知器の使用を記載(2023年12月より使用が義務化)
    ・対面でない場合はビデオ通話などの具体的な確認方法を記載
  6. 酒気帯びの有無
  7. 指示事項
  8. その他必要な事項

アルコールチェック記録簿のテンプレートは、以下のページから無料でダウンロードできます。ぜひ活用してください。

【Excel】アルコールチェック記録簿テンプレート

アルコールチェック実施の8つのステップ

実際にアルコールチェックを運用する際には、どのような流れになるのでしょうか。アルコールチェックの一般的な流れを8ステップでまとめると以下のとおりです。

  1. 運転前に安全運転管理者が立ち合って検知器を用いたアルコールチェックを実施する
  2. ドライバーがアルコールチェックの結果を記録簿に記入する
  3. 運転する
  4. 運転後に安全運転管理者が立ち合って検知器を用いたアルコールチェックを実施する
  5. ドライバーがアルコールチェックの結果を記録簿に記入する
  6. ドライバーから安全運転管理者に記録簿を提出する
  7. 安全運転管理者が記録簿の内容をチェックし、未記入等があった場合は修正を依頼する
  8. 内容の確認が完了したら、記録簿を1年間保管する

このステップの中で大切なポイントは以下の二点です。

  • 運転前後のアルコールチェックには、原則として安全運転管理者が立ち合わなくてはならない
  • アルコールチェックの結果は記録簿に残し、1年間しなくてはならない

この二点は道路交通法施行規則で定められている内容なので、必ず守らなくてはなりません。

 

また、2023年12月1日から正式にアルコールチェッカーを用いたアルコールチェックの実施が義務化されたので、アルコールチェッカーをいつでも正確に計測できる状態に維持しておかなくてはなりません。

アルコールチェック実施のポイント

ここからは、法令に沿ってアルコールチェックを実施するためのポイントや、注意すべき点について解説します。

業務目的で運転を行う人が対象 

アルコールチェックを実施すべき対象者は、業務のために運転を行う人です。

 

たとえば、営業活動のために社用車を運転して顧客を訪問する場合や、自社商品を配送するためにトラックを運転する場合などに、ドライバーに対してアルコールチェックを実施します。

 

アルコールチェックの対象者については、以下の記事で解説しています。合わせてご覧ください。

参考記事: アルコールチェック義務化の対象者は?実施企業の条件や運用方法も解説

 

運転前後の2回実施する

アルコールチェックを実施するタイミングは、運転前・運転後の計2回です。

 

なお、必ずしも運転の直前・直後である必要はなく、運転を含む業務の開始前や終了後、出勤時や退勤時でも問題ありません。

 

安全運転管理者が対面で実施する

アルコールチェックは原則として安全運転管理者が対面で行わなくてはなりません。

アルコールチェッカーを用いて確認した場合であっても、原則として目視での確認を省略することはできません。

 

安全運転管理者が対応できない場合

アルコールチェックは原則として安全運転管理者が実施します。しかし、安全運転管理者の不在時や確認が困難な場合においては、「副安全運転管理者」やあらかじめ指定した「安全運転管理者の業務を補助する人」が代わりに実施しても問題ありません。

 

ただし、アルコールチェック時に酒気帯びが確認された場合等には、必ず安全運転管理者に速やかに報告し、必要な対応等について指示を受けるか、安全運転管理者自らが運転者に対して運行中止の指示等を行う必要があります。

 

また、代理でアルコールチェックを実施した場合であっても、その責任は安全運転管理者が負うことになります。

(参照:兵庫県警察公式サイト 「安全運転管理者の業務 アルコール検知義務化 Q&A」

 

直行直帰など対面で実施できない場合

アルコールチェックは原則対面で実施することとされていますが、実際は直行直帰や出張等で対面での実施が難しい状況もあるかと思います。そのような場合は、「対面に準ずる適宜の方法」で実施すればよいとされています。

 

警察庁は対面に準ずる適宜の方法として、以下を具体例として挙げています。

運転者に携帯型アルコール検知器を携行させるなどした上で、
  1.  カメラ、モニター等によって、安全運転管理者が運転者の顔色、応答の声の調子等とともに、アルコール検知器による測定結果を確認する方法
  2.  携帯電話、業務無線その他の運転者と直接対話できる方法によって、安全運転管理者が運転者の応答の声の調子等を確認するとともに、アルコール検知器による測定結果を報告させる方法

(引用:警察庁 アルコール検知器を用いた酒気帯び確認等に係るQ&A

なお、直行直帰時のアルコールチェックの実施方法については、以下の記事で詳しく解説しています。直行直帰であってもアルコールチェックは必ず行わなくてはならないので、合わせてご確認ください。

参考記事:直行直帰のアルコールチェックはどうする?実施方法や効率化の方法も解説

また、現状の運用と照らし合わせて法令遵守できているか確認することのできる『弁護士監修|法令遵守チェックリスト(アルコールチェック義務化編)』をご用意しました。ぜひご活用ください。

アルコールチェックを怠った場合の罰則

アルコールチェックを怠った場合は、安全運転管理者の義務違反となりますが、今のところ特に罰則は設けられていません。

しかし、アルコールチェックを怠った結果、飲酒運転をしてしまった場合には、以下のような厳しい罰則が科されます。そのため、アルコールチェックは厳格に行わなくてはなりません。

飲酒運転には「酒酔い運転」と「酒気帯び運転」の二種類があり、どちらに該当するかによって罰則の内容が異なります。それぞれの違いを確認した上で、罰則の内容を詳しく見ていきましょう。

酒酔い運転と酒気帯び運転の違いとは

飲酒運転には「酒酔い運転」と「酒気帯び運転」の二種類があります。どちらに該当するかで罰則の内容がことなるので、まずはそれぞれの違いをお伝えします。

 

「酒酔い運転」とは、名前のとおりお酒を飲んで酔っぱらっている状態で運転することを意味しています。警察による飲酒運転チェックは基本的にアルコールチェッカーを用いて行われますが、酒酔い運転の場合は、呼気中のアルコール濃度に関係なく運転者の状態で判断されます。つまり、アルコールチェッカーの測定値に関わらず、「まっすぐ歩くことができない」「受け答えがまともにできない」など、酔っていると判断される状態の場合は「酒酔い運転」として罰則を受ける可能性があります。

 

一方で「酒気帯び運転」とは、アルコールチェッカーを用いて呼気中のアルコール濃度を測定した際に、ドライバーの体内にどの程度のアルコールが残っているかで判断されます。つまり、アルコールチェッカーで一定以上の測定値が出た時点で、「酒気帯び運転」と判断されるのです。

具体的な罰則内容

「酒酔い運転」や「酒気帯び運転」が発覚した場合には、以下の罰則が科されます。

運転者

  • 酒酔い運転の場合:5年以下の懲役 または 100万円以下の罰金
  • 酒気帯び運転の場合:3年以下の懲役 または 50万円以下の罰金

業務中に運転していて事故が起きた場合には、運転者だけでなく、車両提供者である企業に対しても同等の罰則が科されます。

車両提供者

  • 酒酔い運転の場合:5年以下の懲役 または 100万円以下の罰金
  • 酒気帯び運転の場合:3年以下の懲役 または 50万円以下の罰金

また、罰則の対象になるのは運転者本人だけでなく、酒類を提供した人や一緒に車に乗っていた人も、罰則の対象になります。具体的には、以下のような罰則が科されます。

酒類の提供者・車両の同乗者

  • 酒酔い運転の場合:3年以下の懲役 または 50万円以下の罰金
  • 酒気帯び運転の場合:2年以下の懲役 または 30万円以下の罰金

このように飲酒運転には非常に厳しい罰則が設けられています。また、運転者本人だけでなく企業や同乗者にも責任がおよびます。また、罰金や車の修繕費用などの金銭的な損害だけでなく、企業としての社会的信頼を失うことにも繋がりかねないため、アルコールチェックを厳格に行い、飲酒運転を防止しなくてはなりません。

 

なお、アルコールチェックを実施する安全運転管理者に関する罰則も設けられています。安全運転管理者の罰則について知りたい方は、以下のコラムを参考にしてください。
参考記事:安全運転管理者の罰則と法令遵守のポイント|業務内容とリスクを徹底解説

アルコールチェックにおける課題3選

すでにアルコールチェックを実施されている方も多いかと思いますが、アルコールチェックの運用がうまくいっていないケースも見受けられます。アルコールチェックはドライバーに対応してもらう業務も多く、管理も煩雑になりがちなので、様々な課題を抱えている企業も多いです。ここでは、アルコールチェックで抱えがちな課題を3つご紹介します。

 

記録簿の未記入・未提出が多い

アルコールチェック義務化にも含まれている「記録簿の管理」に課題を抱えているケースが非常に多いです。具体的には、提出された記録簿に未記入箇所があったり、そもそも提出をわすれられてしまったりなどのケースが挙げられます。

 

アルコールチェックは運転前後の計2回実施しなくてはならないため、運転前にドライバーに渡した用紙を運転後に全て記入済みの状態で提出してもらわなくてはなりません。しかし、記録簿の記入はドライバーにとって手間のかかる業務であるとともに、メイン業務ではないため、人によってはあまり丁寧に記入してもらえないこともあるようです。

 

記録簿のチェックと保管が大変

ドライバーから提出された記録簿は、管理者が内容のチェックを行い、適切に保管しなくてはなりません。先程もお伝えしたとおり、記録簿には1年間の保管義務が設けられています。

 

ドライバーが丁寧に記入してくれている場合や、社用車台数や利用頻度が少ない場合には、記録簿のチェックはあまり大変でないかもしれません。しかし、例えば1日で10人のドライバーが社用車を使い、紙で記録を管理している場合だと、1ヶ月(稼働日は20日間)で約200枚の記録簿となりますので、チェックにはそれなりの時間がかかります。また、200枚の紙を12か月分保管するとなると、2,400枚にもなりますので、期限管理を行いながら適切に保管するのも大変です。

 

測定数値の不正やなりすましのリスクがある

アルコールチェックは原則安全運転管理者の立ち合いが必要となりますが、直行直帰の場合や早朝・深夜の場合などでビデオ通話などで対応することもあるかと思います。また、記録簿をドライバー本人が自分で記入する場合には、実際の測定数値を偽って記録する可能性もゼロではありません。また、前日に飲酒していた場合などに代理で他の人に測定させ、その結果を報告するなりすましも発生する可能性があります。

 

アルコールチェックは厳格に行わなくてはなりませんが、その重要性がドライバーに理解してもらえていないケースも多く、不正やなりすましが起きているという企業もあるようです。

 

これらの課題を解決した企業様の事例を『アルコールチェック義務化の対応成功事例6選』にまとめましたので、ぜひご参考ください。

課題を解決するための「車両管理システム」

先程アルコールチェック実施の8つのステップをご紹介しましたが、上記のステップだと手間がかかると感じた方も多いと思います。また、記録簿の未記入・未提出が多かったり、チェックと保管業務に工数がかかって大変、不正やなりすましが起きているといった課題もよく耳にします。

 

これらのアルコールチェックに関する課題を解決する方法方法として、「車両管理システム」を活用してみてもよいかもしれません。 ここからは、車両管理システムについて紹介します。

 

なお、車両管理とは具体的にどのようなことをしなくてはいけないのか知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

参考記事:5分でわかる「車両管理」とは?3つの業務や始め方を徹底解説!

そもそも、車両管理システムとは

車両管理システムとは、社用車やリース車などの車両を効率よく管理することができるシステムのことです。

 

具体的には、アルコールチェック義務化の対応をまるごと行うことができるシステム、1台の車を複数人で使う場合の予約管理ができるシステム、運転日報や日常点検などの書類をデータで管理できるシステム、走行距離を計測して最適なルートを教えてくれるシステムなどがあります。

 

2017年の中型トラックに対するタコグラフ搭載義務化をきっかけに車両管理システムの需要が一気に高まり、2016年から2022年の間で、車両管理システムを導入した車両台数は約3.7倍になりました。

なお、車両管理システムについては以下の記事で詳しく解説しています。合わせてご参照ください。

参考記事:【2024】車両管理システムおすすめ12選|目的別の比較表も掲載

車両管理システムを導入するメリット

車両管理システムを導入する大きなメリットは、管理工数の削減アルコールチェックの厳格化です。

 

安全運転管理者の業務はアルコールチェックだけでなく、運行計画の策定や日報類の管理など多岐に渡ります。車両台数が多い場合や管理者の人数が少ない場合などは特に多くの時間が必要になります。車両管理システムを用いると、アルコールチェックの記録をデータ化してチェックの手間を省くことができます。また、アルコールチェック記録だけでなく、その他の運転日報や日常点検の記録も合わせてペーパーレス化できるようなシステムもあります。これらの情報を一元管理することで抜け漏れを防止したりすることもできます。

 

また、アルコールチェッカーとシステムを連携させて、アルコールチェックの計測数値を自動で記録に反映させたり、チェック時にカメラが起動してなりすましを防止したりする機能を搭載したシステムもあります。車両管理システムを導入することで、コンプライアンスの観点でも重要なアルコールチェックの厳格化を実現することができます。


社用車の管理方法を見直して業務効率化を叶えた企業様の事例を『成功事例から学ぶ最新社用車管理』でご紹介しています。ぜひ自社の運用と見比べて、より効率的な社用車管理の運用方法を検討してみましょう。

システムを用いたアルコールチェックの運用例

車両管理システムを用いてアルコールチェックを実施する場合の流れを、弊社の提供する車両管理システム「Bqey(ビーキー)」を具体例として用いて説明します。

1.安全運転管理者の立ち合いのもと、運転前のアルコールチェックを行います。一部の情報は自動入力されるので、必要な情報だけアプリに入力します。

2.運転後も同様にアルコールチェックを行い、そのままアプリから提出します。

 

3.提出された記録はすぐにシステムに反映され、安全運転管理者はPCからリアルタイムで記録を確認することができます。データは自動で3年間システムに保存されます。

未提出や未記入があった場合には、ドライバーに自動で通知が届くので、管理者のチェックの手間を大幅に省きます。概算にはなりますが、社用車を5~6台と仮定した場合は、アルコールチェック記録のとりまとめにかかる時間が30分から5分程度に、改修した書類の確認・保管にかかる時間が20分から5分程度に削減が見込まれます。

このように、車両管理システムを活用するとアルコールチェックに関して、安全運転管理者・ドライバーの双方にとっての業務負担を軽減することができます。

 

また、アルコールチェックだけでなく、システム上で車両の予約管理をしたり、運転日報や日常点検等の書類をデータで一元管理したりすることができるなど、車両管理システムには様々な機能があります。

 

様々な機能があるからこそ価格も様々で、機能が充実していればしているほど費用が高くなってしまいます。まずは自社の抱えている課題を見える化し、課題を解決することができる機能を絞り込み、適切なシステムを選ぶことで、車両管理システムはより大きなメリットをもたらします。

 

まずは各社が提供する車両管理システムについて幅広く情報収集することをお勧めします。その上で、費用対効果が得られるかをしっかりと吟味し、車両管理システムを選択するようにしましょう。

 

自社に合った選定方法を知りたい方は、『車両管理システムの選び方』をダウンロードしてみてください。自社の抱える課題を整理するためのチェックシートも掲載しているのでぜひ活用してください。

まとめ

今回は、社用車のアルコールチェック義務化について解説しました。

2022年4月の道路交通法改正により、すでに義務化されていた緑ナンバーに加え、白ナンバーの社用車に対しても運転前後のアルコールチェックが義務付けられました。

 

アルコールチェックの実施は安全運転管理者の業務のひとつとして位置づけられており、安全運転管理者の選任義務の対象となる企業や事業所は、アルコールチェッカーを用いたアルコールチェックを実施しなければなりません。

 

しかし、アルコールチェックの運用においては、記録簿の内容や提出漏れのチェック、なりすまし防止などの課題を抱えている企業も少なくありません。

 

「車両管理システム」には、アルコールチェックの徹底・効率化に役立つ機能が搭載されているため、こうしたツールを活用するのもおすすめです。自社に合った運用方法を見つけ、飲酒運転の根絶を目指しましょう。

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