【必見】社用車を経費処理する方法｜節税効果の高い入手方法やおすすめのタイミングも解説

企業経営において、社用車の運用は避けて通れない課題の一つです。しかし、社用車の購入や運用には多くの経費がかかります。そこで重要なのが、いかに効率よく経費処理を行うかという点です。

この記事では、社用車を経費処理する方法について詳しく解説します。節税効果の高い入手方法や、経費処理におすすめのタイミングもご紹介します。さらに、社用車管理に必要な業務内容や、その効率化についても触れていきます。社用車を持つことで得られるメリットから、具体的な経費処理の方法、さらには管理のポイントまで、幅広く網羅しています。社用車の運用をよりスムーズに、そして効率的に行うための参考にしてください。

社用車の運用は企業活動に不可欠ですが、その経費処理には多くのメリットが存在します。ここでは、社用車とは何かを明確にし、経費処理を行うことで得られる具体的なメリットについて詳しく説明します。

そもそも、社用車とは

社用車とは、会社の業務やそれに必要な移動のために使用される自動車です。これには営業車や商用車も含まれ、会社が所有する車だけでなく、リースやレンタカーも該当します。社用車は多目的に使われ、取引先訪問、荷物配送、役員送迎などに活用されます。所有・管理は通常、法人や個人事業主が行い、ダンプカーやバスなどは通常は含まれません。

まずは、「営業車」、「商用車」、「役員車」それぞれの特徴についてご紹介します。

営業車

営業車は外回り業務に特化した社用車です。一般的には取引先や顧客訪問に使われます。運送業では法的にも営業車とされますが、その他の業種では主に顧客対応などに活用される車を指します。

商用車

商用車はビジネス全般で使用される車です。タクシーやバスなどの旅客輸送車、トラックなどの貨物輸送車、ミキサー車やダンプカーなど工事用車両も含まれ、社用車も商用車の一部です。

役員車

役員車は会社の役員が使用する専用の社用車です。通常、社員用の車よりも高級なモデルが選ばれます。会社のイメージ向上や役員の効率的な移動を目的として使用され、専属運転手が付く場合もあります。

スポーツカーや高級車を役員車として利用する場合は、ビジネス用途であれば社用車として経費計上が可能です。ただし、ビジネスでの利用が確認できない場合、税務調査で問題とされる可能性があります。

事業用途であることを明確にするためには、公私の区別が重要です。例えば、経営者や役員が主に社用車を使用している証拠を残す、またはプライベート用の車を別に所有しているなどの対策が有効です。

過去にはスポーツカーの経費計上が裁判で争われた例もあります。その際には、運転記録からビジネス用途であることが確認できたこと、プライベート用には別に車を所有していたことから、損金計上が認められました。

最終的に、スポーツカーや高級車が社用車として認められるかどうかは、具体的な使用状況や事業内容によるため、注意が必要です。

 

社用車の選び方についてお悩みの方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。

参考記事：社用車や営業車におすすめの車種10選｜選ぶポイントや適切な管理方法も

社用車を経費処理することで得られるメリット

社用車を経費処理することで得られるメリットは以下の通りです。

社用車の購入や運用には多様な方法があり、その選択によって経費処理も異なります。ここでは、現金での購入、ローン、リースといった主要な購入方法ごとに、どのように経費処理を行うべきかを解説します。

現金購入の場合

現金で社用車を購入した場合、まず「車両運搬具」として固定資産に登録します。その後、法定耐用年数に応じて減価償却費を算出し、毎年経費として計上していきます。

減価償却の方法には定額法と定率法の2種類があり、それぞれの計算式や特徴については後ほど解説します。

ローンの場合

基本的には現金購入の場合と同様に「車両運搬具」として固定資産に登録し、減価償却して経費計上します。

ローンの場合は返済額の利息部分も「支払利息」として経費計上することが可能です。ただし、元本返済部分は経費の対象とならないため注意しましょう。

社用車を購入した際に経費処理できるのは、購入費用だけではありません。社用車の維持や運用にかかる費用も経費処理が可能な場合がありますので、以下にてご紹介します。

社用車の管理は企業運営において重要な側面を持ちます。特に、安全運転管理者の選任、社用車管理規程の制定、そして社用車管理の責任者の決定は必須のステップです。ここでは、これら3つの要点についてに詳しく解説します。

 

安全運転管理者の選任

安全運転管理者は、事業所で使用する車両の安全を確保し、交通事故を防ぐ役割を担います。道路交通法に従い、特定の条件を満たす事業所は、安全運転管理者および副安全運転管理者を選任し、公安委員会に届出を行う必要があります。

主な業務内容は以下の9点です。

安全運転管理者は、これらの業務を通じて安全運転の促進や事故の予防に取り組み、組織内の安全文化の向上を図る役割があります。

 

安全運転管理者の対象事業所や選任方法などについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

参考記事：【2023】5分でわかる安全運転管理者とは｜選任義務や業務内容を徹底解説

社用車管理規程の制定

社用車管理規程は、従業員が業務中に使用する車両に関して定めるルールです。安全確保と法令遵守を目指して、社用車の運用ルールを明確化したものでもあります。社用車管理規程を制定していれば、企業は万が一の事故発生時でも、管理責任を果たしていることを示せます。実際に事故が発生した場合、規程の存在は賠償額にも影響を与える可能性があります。もちろん、規程を制定するだけではなく、従業員の安全運転意識向上や細やかな点検・整備の徹底も重要です。

 

なお、社用車管理規程については以下の記事で詳しく解説しています。無料でダウンロードできるフォーマットもご紹介しているので、合わせてご覧ください。
参考記事：社用車管理規程のテンプレート｜規程の必要性や入れるべき内容も解説！

ここまで、社用車管理を行う上で予め実施しておかなければならないポイントについてご紹介してきました。では、具体的にどのようなことを行っていけば良いのでしょうか。

ここからは、ドライバーの管理、車両の管理、そして記録類の管理という３つの主要な業務内容について詳しく説明します。

①ドライバーの管理

一つ目はドライバーの管理です。車両を使用するドライバーに対しては、以下のような管理を行う必要があります。

②車両の管理

二つ目は車両の管理です。従業員が安全に車両を使用できるよう、車両本体の管理も適切に行う必要があります。具体的には、以下のような内容を行いましょう。

③記録類の管理

三つ目は記録類の管理です。社用車に関して管理すべき記録がいくつかあります。具体的には以下のような記録を管理するようにしましょう。

社用車管理に関わる業務内容について解説してきましたが、日々の仕事がある中でこれらの業務も行っていくのは、大きな負担になるかと思います。業務負担を軽減し、社用車管理を効率良く行うためには「車両管理システム」の導入が有効です。ここからは「車両管理システム」がどのようなものなのか、概要やメリットについて解説していきます。

車両管理システムとは、社用車やリース車などの車両を効率よく管理することができるシステムのことです。

 

具体的には、1台の車を複数人で使う場合の予約管理ができるシステム、運転日報や日常点検などの書類をデータで管理できるシステム、アルコールチェック義務化の対応をまるごと行うことができるシステム、走行距離を計測して最適なルートを教えてくれるシステムなどがあります。

 

車両管理システムは、2017年の中型トラックに対するタコグラフ搭載義務化をきっかけに需要が一気に高まり、2016年から2022年の間で、車両管理システムを導入した車両台数は約3.7倍になりました。

2022年に道路交通法が改正され、一定台数以上の白ナンバーの社用車や営業車を所有している企業に対しても、目視等によりアルコールチェックを実施することが義務化されました。さらに、2023年8月8日に警察庁が「アルコール検知器を用いたアルコールチェックを2023年12月1日から義務化する」と正式発表したこともあり、車両管理システムに注目が集まっています。

 

アルコールチェック義務化への対応を怠ると罰則もあるので、確実に対応する必要があります。アルコールチェック義務化については以下の記事で解説していますので、合わせてご覧ください。

参考記事：【完全版】アルコールチェック義務化とは｜運用方法まで徹底解説！ 

おすすめの機能４選

車両管理システムの機能は多岐に渡ります。ここからは、社用車管理で発生しがちな課題を解決するために活用できるおすすめの機能をご紹介します。

①日報類のデジタル化機能

社用車管理業務の中で工数がかかると言われているのが、日報類の管理です。運転日報や日常点検記録に加えて、アルコールチェック記録も保管しなくてはならなくなりました。これらの日報類をまとめてデータ提出・管理することができる機能を搭載したシステムもあります。

 

②車両稼働状況集計機能

紙で管理している場合に確認することが難しいのが、車両の稼働状況です。予約管理機能で予約状況を保存している場合や、デジタルキーでカギの操作ログが取れる場合、動態管理機能で移動の記録が残っている場合には、データを活用すると車両の稼働状況を把握することが可能です。

 

これらの情報をシステムからダウンロードして手作業で集計することもできますし、システムによっては自動で集計してグラフ化してくれるものもあります。

 

③車検や保険更新時期のアラート機能

社用車を所有している場合は、車検や保険の更新時期も管理しなくてはなりません。更新時期が近くなると管理者に通知が届く機能があると、更新漏れを防止することができます。車検や保険の時期は車両によって異なる場合が多いので、社用車を多数保有している場合には更新漏れのリスクを低減させることができる機能です。

 

④動態管理機能

動態管理とは、車などの移動するものの位置情報や状態をリアルタイムで記録・管理することです。具体的には、GPS機能のある端末を車に搭載し、位置情報などの走行データを取得します。

 

システムによっては、実際の走行ルートを記録した上で、より効率的に移動することができる最適ルートを提案する機能が備わっています。

 

その他にも、予約管理機能、デジタルキー機能、アルコールチェック機能、運転傾向分析機能などの機能があり、車両管理システムを導入すると業務効率化することができます。

今回は、社用車の経費処理について解説しました。購入方法や、新車か中古車かによっても処理方法は異なります。それぞれのメリットを正しく理解して、自社にとって最適な入手方法やタイミングを把握し、適切な経費処理にお役立てください。

また、社用車の管理も企業にとって大切な課題です。日々の交通安全を守るため、しっかりと行ってください。