安全運転意識を向上させる3つのポイント|企業の取り組み事例も紹介
社用車(営業車)を利用する企業にとって、交通事故は大きなリスクです。従業員が交通事故を起こしてしまうと、本人や周囲の人の安全を脅かすだけでなく、企業に大きな経済的負担や、社会的信用の損失をもたらします。
本記事では、安全運転のためのルールや心構え、従業員の安全運転意識を向上させるためのポイントなどを紹介します。
交通事故防止の要である
安全運転管理者を選任できていますか?
一定台数以上の社用車を使用する企業は、「安全運転管理者」の選任が義務付けられています。
安全運転管理者の選任、届出方法や業務内容、違反した場合の罰則についてわかりやすく解説した資料をご用意しました。
【資料でわかること】
- 道路交通法改正の概要
- 安全運転管理者とは
- 選任義務と罰則
- 9つの業務内容
押さえるべきポイントをわかりやすく解説していますので、ぜひ資料をご覧ください。
交通事故が企業に与えるダメージ
従業員が起こした交通事故の影響は、個人に留まらず、企業全体に波及します。交通事故は、企業に次の3つのダメージをもたらすリスクがあることを認識しておきましょう。
従業員へのダメージ
交通事故によって従業員が負傷した場合、企業は大切な人材を一時的に、最悪の場合は永久に失うリスクに直面します。
事故による負傷が深刻であれば、従業員は長期の休業を余儀なくされ、場合によっては復職が困難になることも考えられます。これは、従業員が飲酒運転などの重大な交通違反を犯し、法的な責任に問われた場合も同様です。
こうした事態は、従業員個人の人生に影響を及ぼすだけでなく、突然の人材ロスによる業務の停滞などのリスクを企業にもたらします。
経済的なダメージ
交通事故は、企業に直接経済的なダメージも与えます。まず、人身事故にせよ物損事故にせよ、事故によって第三者に損害を与えれば損害賠償金や慰謝料などを支払わなくてはなりません。また、車両の修繕費も大きな出費です。
加えて、事故後の処理や対応には多くの時間と労力がかかるため、人的なコストも軽視できません。弁護士に対応を依頼する場合は、その費用も必要です。さらに、事故によって従業員が休職・離職した場合、穴埋めの人材を雇用するためのコストや、業務停滞による逸失利益が生じるリスクもあります。
総じて、従業員が交通事故を起こすことで、企業は大きな経済的損失を被ることになります。
信頼性へのダメージ
交通事故は、企業の社会的信用やブランドイメージにもダメージを与えます。企業に対する信頼は、所属する従業員の行動に大きく左右されます。
もしも従業員が社用車で重大な交通事故を起こしたり、危険運転を行ったりしたことが世間に知れ渡れば、その企業は「従業員教育が不十分な企業」とみなされ、顧客や取引先からの信頼を失うおそれがあります。メディアやSNSによって情報がすぐに拡散される現在、このリスクは決して小さなものではありません。
企業のイメージは一度損なわれると回復が難しいため、安全運転意識の向上は企業の信頼を守るためにも重要です。
安全運転5則とは
交通事故対策の一環として警察庁が定めた、運転者が守るべき基本的なルールを「安全運転5則」といいます。これらはいずれも当たり前のルールですが、この当たり前が守られないために起きた交通事故は数多くあります。改めて以下のルールを認識し、守ることを心がけましょう。
安全速度を必ず守る
第1の原則は、安全速度を守ることです。安全速度とは、法定速度や制限速度の中でも、道路状況や天候、交通量に応じて安全に走行できる速度のことです。
例えば、悪路や視界が悪い状況では、事故を起こさないように制限速度よりもさらにスピードを落として走行するのが望ましいとされます。
安全速度はドライバー自身が状況に応じて判断する必要があるため、これを守るためには日頃から事故のリスクを意識して運転することが大切です。
カーブの手前でスピードを落とす
第2の原則は、カーブの手前で減速することです。自動車がカーブを曲がる際には、遠心力が働き、車体が外側に膨らみやすくなります。
特に見通しの悪い場所や急なカーブでは、車線をはみ出して対向車と衝突したり、車体の制御を失ったりするリスクが高くなりがちです。そのため、カーブに差し掛かる前にしっかりと減速し、慎重にハンドル操作を行うことが大切です。
交差点では必ず安全を確かめる
第3の原則は、交差点での安全確認を徹底することです。交差点に進入する際は、信号が青でも必ず左右を確認し、対向車や歩行者、自転車などの動きをしっかりと見極めなければなりません。
右左折の際には、歩行者や自転車が突然飛び出してくる可能性もあるため、さらに慎重に確認しましょう。行き交いの激しい交差点では、常に複数方向からの交通があるので、信号だけに頼らず、自分の目で安全を確かめることが事故防止につながります。
一時停止で横断歩行者の安全を守る
第4の原則は、歩行者優先の意識を強く持ち、横断歩道や歩行者がいる場所では一時停止をしっかり行うことです。
一時停止の標識がある場所はもちろん、標識がない場合でも横断歩行者を見かけたら減速し、その人がしっかり通り過ぎてから走行するように心がけましょう。特に、信号機のない横断歩道では、ドライバーの慎重な判断が必要となります。
飲酒運転は絶対にしない
第5の原則は、酒酔い・酒気帯びの状態では絶対に運転しないことです。アルコールを摂取すると、判断力や反応速度が著しく低下するため、飲酒後の運転は事故を引き起こすリスクが非常に高くなります。
飲酒運転に対する罰則も厳しく、運転者本人だけでなく、車両提供者や同乗者にも責任が問われることがある点にも注意が必要です。特に、運行管理者や安全運転管理者が設置されている企業は、運転前後のアルコールチェック実施が義務付けられています。「飲んだら乗らない」を徹底し、いかなる場合でも飲酒運転を行ってはいけません。
なお、飲酒運転の基準や、発覚した場合に科される罰則などについては、以下の記事で詳しく解説しています。
参考記事:飲酒運転の基準と罰則|お酒の分解時間や違反を防ぐポイントも解説
飲酒運転による死亡事故率は、飲酒していない場合と比べて約6.1倍にもなるというデータがあります。企業は、従業員に対して飲酒運転のリスクをしっかりと認識させなければなりません。
一部の企業にはアルコールチェックが義務付けられている
業務において、頻繁に車の運転を行う企業や事業所には、運転前後のアルコールチェックが義務付けられています。
アルコールチェック義務の対象企業や、怠った場合の罰則について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
参考記事:【最新】アルコールチェック義務化とは?実施方法や罰則などを解説
「安全運転5則」参照元:昭和56年 警察白書 (npa.go.jp)
安全運転のための心構え
先ほど紹介した安全運転5則は、具体的な運転行動における最低限のルールに過ぎません。交通事故を防ぐためには、以下のような心構えを常にしておくことも重要です。
- 運転に集中する
- 運転技術を過信しない
- 平常心を保つ
- 体調を整える
安全運転意識を向上させる3つのポイント
安全運転5則や安全運転の心構えを徹底するためには、企業内での安全運転意識を向上させなければなりません。ここでは、安全運転意識向上に役立つ3つのポイントを紹介します。
①運転傾向を把握する
運転の安全性を効果的に向上させるためには、ドライバーが自分の運転傾向を把握することが大切です。
例えば、「平坦な道でスピードを出しすぎる」「一時停止が不十分である」といった具体的なクセを認識することで、該当する場面で注意をしやすくなります。定期的に自身の運転の振り返りを行い、紙に書き出してみるとよいでしょう。
自己判断が難しい場合は、指導員などに運転を観察してもらったり、運転適性診断を受けたりすることも有効です。
最近では、ドライバーの運転行動をドライブレコーダーや専用デバイスが記録し、運転傾向を分析・評価するシステムも登場しています。実際の運転に基づいた客観的なデータが得られるため、ドライバーも受け入れやすいでしょう。
以下の記事では、運転傾向分析ができるおすすめシステムを紹介しています。ぜひ参考にしてください。
参考記事:【2024】動態管理システム比較7選|メリットや選び方も解説
②運転に集中できる環境をつくる
運転に集中するためには、内面的な努力に頼るだけではなく、集中しやすい環境をつくることも大切です。「運転中はスマートフォンを手の届かない場所に置く」、「ドライブモードに設定する」など、ながら運転を防ぐための環境をつくりましょう。
また、意外と怠りがちですが、疲労や眠気を感じたら早めに休憩をとることも重要です。企業側にも「労働管理やアルコールチェックを徹底する」、「乗務中の業務連絡は最低限にする」など、ドライバーが常に万全の状態で運転に臨めるようサポートすることが求められます。
運転日報を活用し、ドライバーが長時間運転しすぎていないか、適切な休憩がとれているかを確認しましょう。もしも問題がある場合は、業務環境を改善するための対策が必要です。
運転日報の作成方法やテンプレートは以下の記事で紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
参考記事:運転日報とは?記載すべき項目や書き方、保存期間もわかりやすく解説
③日常的に安全運転教育を行う
安全運転に対する意識は、重大な交通事故のニュースを見聞きしたり、講習会に参加した直後は高まるものの、時間が経つと薄れてしまうこともあるでしょう。
常に高い安全運転意識を維持するためには、日常的に安全運転教育を実施することが不可欠です。教育は一度きりで終わるのではなく、定期的に見直し、継続的に行うことで効果を上げることができます。
例えば、毎月テーマを決めて従業員同士でディスカッションを行ったり、実際に運転中に発生したヒヤリハットを共有したりすることで、職場全体で安全運転意識を保つことができます。
また、講義だけでなく、運転シミュレーターを活用して危険なシーンを再現することも、実際の運転に役立つスキルの習得に有効です。
安全運転教育は、ドライバーだけでなく、企業や組織全体で取り組むことが重要です。管理者や責任者が安全運転の模範を示すことによって、組織全体に安全意識を浸透させましょう。
安全運転教育については以下の記事でも詳しく紹介していますので、合わせてご覧ください。
企業の取り組み事例
実際に安全運転・交通事故防止に取り組む企業の事例を4つ紹介します。ぜひ参考にしてください。
- 運転適性診断の実施
- 安全運転講習会の開催
- 安全運転支援機能付きドライブレコーダーの導入
- 車両管理システムの導入
企業の安全運転の取り組み事例については、以下の記事でも詳しく紹介しています。合わせてご覧ください。
安全運転支援ツールの選び方
安全運転を促進するために、ドライブレコーダーや車両管理システムの導入は非常に有効です。ここからは、ドライブレコーダーと車両管理システムの特長を踏まえ、それぞれがどのような企業に適しているかを解説します。
ドライブレコーダーの特長
安全運転支援機能付きのドライブレコーダーは、コストを抑えつつ安全運転を徹底したい企業におすすめです。
ドライブレコーダーは基本的に機器本体の費用と設置費用を支払うだけで済みます。それでいて、安全運転支援機能付きのドライブレコーダーは、危険運転を検知するとアラートを鳴らしてくれるなど、交通事故を防ぐために大きく効果を発揮します。
安全運転支援機能のメリットや、おすすめのドライブレコーダーについては以下の記事で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
参考記事:「安全運転支援機能」搭載のドライブレコーダー比較3選
車両管理システムの特長
車両管理システムは、ドライブレコーダー以外のデバイスやスマホアプリなどに対応したものもあるため、すでにドライブレコーダーを導入していて、さらに安全運転を強化したい企業におすすめです。
また、安全運転支援に加え、アルコールチェックの効率化、運行ルートの最適化、日報作成、車両の位置情報管理など、多岐にわたる機能を備えているため、包括的な車両管理を目指す企業におすすめです。
車両管理システムのメリットや詳しい機能、おすすめのシステムなどについては、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
まとめ
交通事故は人的、経済的、信頼性の面で企業に大きなダメージを与えるリスクがあります。安全運転を徹底するためには、「安全運転5則」を遵守し、適切な心構えを持つことが不可欠です。
従業員の安全運転意識を向上させるためには、「運転傾向の把握」「運転に集中できる環境づくり」「チームでの取り組み」が有効です。
具体的な対策としては、運転適性診断の実施や安全運転講習会の開催、安全運転支援機能付きドライブレコーダーや車両管理システムの導入などが効果的です。
社内に安全運転文化を醸成し、交通事故防止を徹底しましょう。
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