自家用車は業務使用できる?規程作成のポイントや注意点も解説!
感染症対策をきっかけに、自家用車(マイカー)での通勤や業務利用を認める企業が増えています。その一方で、事故やトラブルへの対策に不安を感じている企業も少なくないのではないでしょうか。
この記事でわかること
- マイカーを業務で使用する際の注意点
- 車両管理規程を作成する際のポイント
- マイカーに対するアルコールチェックの対応方法
正しい運用を行うことで、交通事故やトラブルを防ぎ、自家用車を安全に活用しましょう。
私用車でもアルコールチェックは必要?!
義務化対応、チェックリストで簡単に確認!
実は、私用車であっても業務で使う場合は、アルコールチェックが義務化されています。
うっかり対応漏れがあると、法令違反になる可能性も。
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【チェックリストの一例】
- アルコールチェックはいつ行う?
- 検知器はどんな性能が必要?
- 他の事業所で運転する社員はどう管理する?
- 管理者が不在・遠隔の場合の確認は?
アルコールチェック義務化を正しく理解し、安心・安全な運用を。
ぜひ、自社の状況と照らし合わせてチェックしてみてください!
自家用車とは?
「自家用車」という言葉は身近なものですが、その指し示す範囲は状況によって少し異なります。法律上の広い意味合いと、私たちが普段使う一般的なイメージ、そして社用車との違いについて、以下で解説します。
法律上の「自家用自動車」は全ての「白ナンバー車」
「自家用車」について明確に定義した法律はないようですが、「自家用車自動車」については、道路運送法においては「事業用自動車ではないすべての自動車」定義されています。
- 業務用自動車(緑ナンバー):「有償」で荷物や人を目的地に運ぶトラック・バス・タクシーなどの事業用自動車
- 自家用自動車(白ナンバー):「無償」で自社の荷物や人を運ぶ、事業用自動車以外の車両
この法律上の分類に従うと、個人が所有するマイカーだけでなく、企業が業務に使う「社用車(営業車など)」も、白ナンバーであれば法律上は「自家用自動車」に含まれます。
一般的なイメージは「マイカー」
法律上の広い定義とは異なり、私たちが日常会話で「自家用車」と言うとき、それは多くの場合「個人が所有し、通勤や買い物、レジャーといった私的な目的で使う車」、つまり「マイカー」を指しています。
この「法律上の定義」と「一般的なイメージ」のズレが、「会社の車も自家用車なの?」といった疑問が生じる理由だと考えられます。
自家用車(マイカー)と社用車の主な違い
では、一般的な認識における「自家用車(マイカー)」と、法律上は自家用車に含まれることもある「社用車」とでは、具体的に何が違うのでしょうか。主な違いは以下の通りです。
比較項目 | 自家用車(マイカー) | 社用車 |
---|---|---|
所有者 |
個人 |
法人(会社) |
使用する人 | 所有者本人とその家族など |
会社の従業員 |
主な使用目的 |
通勤、買い物、レジャーなど私的な利用 |
営業、荷物の運搬など会社の業務 |
費用負担 |
車両購入費、税金、保険料、維持費など全て個人が負担 |
会社が経費として負担 |
マイカーを業務使用するメリットと注意点
昨今では新型コロナウイルス感染拡大の影響でリモートワークを推奨する企業が増え、自宅から客先へ直行できるようにとマイカーの業務使用を許可する企業が増えています。
社用車のために出社をする必要がなく、通勤時間の削減や保有台数の削減に繋がるなど、企業にとっても従業員にとっても多くのメリットがある一方で、注意すべき点もあります。
企業のメリットと注意点
メリット
- 社用車の購入費用や保険料・駐車場代が削減できる
- 公共交通機関での通勤時の感染リスクを大きく減らすことができる
注意点
- 車両工事ができないため、動態管理がしづらい
- プライベートと業務利用の線引きが難しくトラブル対応が複雑になる
マイカー利用の最大のメリットは、自動車購入にかかる費用や保険料の削減など車両コストを大きく経費削減できる面です。
ただし、通勤中や業務中に私用車で事故が発生した場合はもちろん企業も責任が問われることになります。導入する際はしっかりと規程を設け、トラブル時でも適切に対応できるように運用する必要があります。
社員のメリットと注意点
メリット
- 荷物が多くても楽に移動できる
- 社用車を利用するために出勤する必要がない
- 公共交通機関で出勤するよりも移動時間が削減でき業務効率が上がる
注意点
- ガソリン代などの経費申請作業が増える
- 天候によっては道路の込み具合が左右されやすい
- 駐車場やメンテナス費用などの負担が増える
規程作成における8つのポイント
従業員のマイカーを業務に使用することを認める場合は、会社と従業員双方を守るために、明確なルールを定めた「車両管理規程」の整備が不可欠です。規程がなかったり、内容が曖昧だったりすると、万が一事故が発生した際に、会社は「使用者責任(民法715条)」を問われ、多額の損害賠償責任を負うリスクがあります。
ここでは、実効性のあるか規程を作成するための重要な8つのポイントを解説します。
①使用の許可基準と使用範囲を明確にする
まず、誰がどのような条件で、どこまでマイカーを使用できるのか、という大前提を定義します。
許可基準の具体化
- 客観的な基準:自宅から会社までの距離(例:〇km以上)、最寄り公共交通機関までの距離など
- 運転者に関する基準:運転経験(例:免許取得後〇年以上)、過去の事故・違反歴
- 車両に関する基準:対人・対物無制限の任意保険加入(必須)、定期的な点検整備の実施、過度な改造がされていないこと
使用範囲の限定
- 通勤利用:自宅と会社の往復のみに限定するのか
- 業務利用: 営業や出張など、会社の業務での使用を許可するのか
※許可しない場合は、規程に「業務使用の禁止」を明記することが重要 - 同乗者の規定:業務利用時の同乗者を従業員に限定するなど、同乗者に関するルールも定めておくと安心
②費用負担の範囲と精算方法を定める
費用に関する取り決めは、従業員とのトラブルを避けるために最も重要な項目の一つです。
ガソリン代・交通費
- 実費精算、または「1kmあたり〇円」といった距離に応じた精算が一般的
- 通勤手当と業務利用時の交通費の切り分けの明確化
駐車場代
- 会社指定の駐車場を用意するのか、従業員が用意するのか
※従業員が用意した駐車場を会社が負担する場合、上限金額を設定する - 業務で訪問先のコインパーキング等を利用した場合の精算ルール
車両維持に関する手当
業務利用は車両の消耗を早めるため、オイル交換代やタイヤ代などの維持費を考慮した「車両手当」を支給することが望ましいです。支給の有無、金額、条件を明記します。
③任意保険の加入を義務付け、条件を明記する
自賠責保険だけでは、事故の賠償金を到底カバーできません。会社の最大のリスクヘッジとして、任意保険の加入を許可の絶対条件とします。
- 加入の義務化: 必ず任意保険に加入していることを利用の条件とする
- 補償内容の指定: 「対人・対物賠償 無制限」を必須条件とすることを推奨
- 保険区分の確認:「日常・レジャー」「通勤・通学」「業務使用」の区分のうち、使用実態(例:月15日以上業務で利用)に合った区分に変更する必要があるかを確認
※保険料が上がる場合は、その差額の負担者を会社・従業員のどちらにするか事前に協議し、定めておく
④安全運転の義務と遵守事項を課す
従業員の安全意識を高め、事故を未然に防ぐための具体的なルールを記載します。
- 道路交通法の遵守を大前提とする
- 運転中のスマートフォン・携帯電話の操作および通話の禁止
- 「ながら運転」や漫然運転の禁止と、休憩に関する指導
- 定期的な安全運転講習の実施や情報提供
死亡事故の原因で上位となっている「漫然運転」については、以下の記事も参考にしてください。
⑤事故発生時の対応フローを定める
事故の当事者はパニックに陥りがちです。落ち着いて行動できるよう、報告・連絡・相談のフローを時系列で分かりやすく規定します。
- 負傷者の救護と危険防止措置
- 警察への通報(110番)と指示を仰ぐ
- 相手方の情報確認
- 会社への報告(直属の上司、管理部門など報告ルートを明記)
- 保険会社への連絡
緊急連絡先や報告すべき内容(日時、場所、状況など)をフォーマット化しておくと、よりスムーズです。
⑥会社への提出書類を義務付ける
許可条件を満たしているかの確認や、万が一の際に備えるため、以下の書類のコピー提出を義務付けます。
- 運転免許証
- 車検証
- 自賠責保険証明書
- 任意保険証券
これらの書類には有効期限があるため、「年に一度」など定期的に提出させ、管理することが重要です。
⑦許可の有効期間と取り消し条件を設ける
会社や従業員の状況や環境は変化する可能性があるため、許可の有効期間と、問題があった際に許可を取り消せる条件を明記します。
有効期限
許可の有効期限を「1年間」などと定め、更新制とする運用がおすすめです。
取り消し条件
- 免許停止・取り消し処分を受けた場合
- 任意保険を解約した場合
- 重大な交通違反や交通事故を起こした場合
- 会社の規程に違反した場合
⑧会社の免責範囲を明確にする
会社の責任範囲を明記し、無用なトラブルを防ぎます。
- 従業員が無断で私的利用していた際の事故
- 飲酒運転、無免許運転など、従業員の重大な法令違反に起因する事故
- スピード違反などの交通違反による反則金・罰金は、運転者本人の責任であること
大切なのは、作成した規程を全従業員に周知徹底し、形骸化させないことです。定期的に規程の内容を見直し、実態に合わせて更新していくことも忘れないようにしましょう。
車両管理規程の無料テンプレートは以下の記事から入手できますので、ご活用ください。
マイカーの業務使用にはアルコールチェックが必要
飲酒運転防止対策を強化するため、2022年4月に改正道路交通法が施行され、一定台数以上の白ナンバー自動車を使用する事業所におけるアルコールチェックが義務化されました。
この義務化の対象は、運送業などで使われる緑ナンバーの「事業用自動車」に限りません。企業の営業活動などで使われる白ナンバーの自動車、すなわち「業務使用する自家用自動車」も含まれます。
5台以上使用している場合は安全運転管理者の選任義務がある
アルコールチェックの実施義務は、「安全運転管理者」を選任している事業所が対象となります。安全運転管理者の選任義務は、以下のいずれかの条件に該当する事業所ごとに発生します。
- 乗車定員が11人以上の自家用自動車を1台以上使用している
- 5台以上の自家用自動車を使用している
(原動機付自転車を除く自動二輪は1台につき自動車0.5台として計算)
なお、自動車を20台以上使用している事業所では、安全運転管理者に加えて「副安全運転管理者」の選任も必要です。安全運転管理者や副安全運転管理者については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
参考記事:5分でわかる「安全運転管理者」とは?選任義務の条件や資格、罰則も解説
参考記事:副安全運転管理者は必要?安全運転管理者との違いや業務内容も解説
安全運転管理者は運転者に対してアルコールチェックを実施する義務がある
安全運転管理者の重要な業務の一つとして、運転者に対するアルコールチェックの実施が法律で定められています。このため、一定台数以上の社用車を使用し安全運転管理者を選任している事業者は、従業員が業務で自動車を運転する場合、アルコールチェックを行う必要があります。
- 対象者: 業務で自動車を運転する全ての従業員(マイカーを業務で運転する場合も含む)
- タイミング: 運転前と運転後の計2回
- 確認方法:運転者の顔色、呼気の臭い、応答の声の調子などを目視等で確認した上で、アルコール検知器を用いて酒気帯びの有無を確認する(※2023年12月1日より義務化)
- 記録と保存: チェック結果を記録簿に記録し、その記録を1年間保存しなければなりません
直行直帰などで対面での確認が難しい場合でも、運転者に携帯型のアルコール検知器を携行させ、電話やビデオ通話などで結果を報告させるなど、確実に実施できる運用体制を構築する必要があります。
アルコールチェックの実施方法や記録項目などについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
マイカーを営業車として100%代替は可能?
月に数回など突発的に使用する程度なら良いかもしれませんが、常態的に使用するならトラブル回避のために営業車を支給することをオススメします。
とはいえ、たとえば営業担当20人に一人1台を支給するとなると、車種や条件(中古か新車かなど)によりますが1000万円以上の経費が必要となります。
経費削減のためには1台あたりの回転率を上げて効率的に使用することが重要です。
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