社用車の保険には何がある?法人向け自動車保険の特徴と種類を徹底解説
車両を取り扱う会社にとって、自動車による事故は切っても切り離せません。そこで必要となるのが、法人向けの自動車保険です。当記事では、法人向け自動車保険にはどのような種類・特徴があるのか、自動車保険に入るために必要な準備などを解説します。
社用車の自動車保険。なぜ入る?メリットを解説
法人向け自動車保険に入る最大のメリットは、自動車を使った業務で従業員が事故を起こした際に補償してもらえる点です。
加入が強制されている自賠責保険でも補償はされます。しかし、自賠責保険では死亡させた場合3,000万円、怪我では120万円が限度額となっています。
また、自賠責保険は他人を死傷させた場合にのみ補償されます。自分が死傷したり、車両の破損に対して自賠責保険は適応されません。
過去には人身事故や物損事故の判決で、数億円の賠償額を請求された判例がいくつもあります。これだけ高額な賠償金を支払うのは従業員だけでは不可能です。
法人向けの自動車保険に加入することで、自賠責保険では不足している部分をカバーすることが可能です。被害者のためになるのはもちろん、従業員が自動車を使った業務を安心して行うためにも、法人向けの自動車保険の加入は必要不可欠といえます。
他にも、法人向けの自動車保険に加入することで以下のようなメリットがあります。
- 個人向け自動車保険では契約できない車種も入れる
- 社用車が10台以上の契約は割引率が大きい
- 法人向けの自動車保険だけの特約がある
- 会社の必要経費となるため節税対策になる
- 条件次第で個人向け自動車保険の等級を引き継げる
法人向けの自動車保険には、個人向けの自動車保険にはない特約やサービスを受けられます。中でも法人向けの特約では、基本的な対人補償や対物補償では補償されない次のようなケースでも補償してもらえます。
また、法人向けの自動車保険は法人名義で契約するため、会社の経費として計上すると節税対策にもなります。
個人事業主から法人化するという条件付きではありますが、個人向けの自動車保険から法人向けの自動車保険に変更する際、条件を満たすことで等級を引き継げます。
法人向けの自動車保険に加入することで、これらのメリットが得られます。
法人向け自動車保険の特徴と種類
法人向けと個人向けで違う、自動車保険
個人向け自動車保険と法人向け自動車保険の補償内容は基本的に同じです。しかし、法人向け自動車保険には、個人向け自動車保険にはない3つの特徴があります。
法人向け自動車保険の特徴
- 個人向け自動車保険より高い
- 特約やサービスが充実している
- 加入できる種類の幅が広い
法人向け自動車保険は、個人向け自動車保険よりも割高になりがちです。しかし、法人向け自動車保険に加入することで、個人向け自動車保険にはない特約やサービスを受けることができます。
法人向け自動車保険の種類
自動車保険には「フリート契約」「ノンフリート契約」「ミニフリート契約」の3種類があります。どの契約に該当するかによって保険料が決定する仕組みとなっているため、自動車保険に加入を考えているのであれば違いを把握しておくといいでしょう。以下ではフリート契約、ノンフリート契約、ミニフリート契約を詳しく解説します。
フリート契約
運送会社やタクシー会社のように、車両を10台以上所持・使用している場合に選択可能な契約です。フリート契約をすると、後述するノンフリート契約よりも保険料が安くなります。契約車両を新たに追加しても、他の車輌と割引率が同じになる点もメリットといえるでしょう。
しかし、契約している車両1台が事故を起こして高額な賠償金が発生した場合、翌年の保険料が大幅に跳ね上がるというデメリットがあります。フリート契約を選ぶのであれば、事故には十分に注意しましょう。
個人で車両を10台以上所持していることはほぼないため、フリート契約は法人向けの契約といえます。
ノンフリート契約
個人・法人に関わらず、所有する車両が9台以下の場合に選択することになります。個人が所持する車は多くても3台ほどが一般的なため、個人で自動車保険に入る場合は基本的にノンフリート契約になります。法人の場合も、所持している車両が9台以下であればノンフリート契約しか選べません。
ノンフリート契約では、保険料の割引率は自動車1台毎に適用されます。フリート契約とは違い、契約している複数の車両のうち1台が事故を起こしても、他の車両の保険料に影響を与えません。
ただし、自動車を1台毎に契約することになるため手間がかかります。加えて、各種特約やサービスを利用してもフリート契約より保険料が割高になる点がデメリットです。
ミニフリート契約
一部の保険会社では、所持している車両が2~9台でノンフリート契約で契約している場合に「ミニフリート契約」を選ぶことが可能です。基本的に法人向けの契約になりますが、保険会社によっては個人でも契約できます。
ミニフリート契約は、1枚の保険証券で複数の車をまとめて契約し、割引率を適用できます。保険会社によって異なりますが、ミニフリート契約の一般的な割引率は次の通りになります。
- 所持している車両が2台:割引率3%
- 所持している車両が3~5台:割引率4%
- 所持している車両が6~9台:割引率6%
ミニフリート契約をすることで、車両ごとの保険証券を1枚にまとめられるため、管理の手間を軽減できます。加えて台数に応じて保険料の割引が適用されるので、保険料を安く抑えることが可能です。ただし、保険料の請求が複数台分まとめてくる点はデメリットといえます。
種類別:法人向け自動車保険で保障できること
【自家用車】ヒトに対する保障
自動車保険や特約に加入することで、自家用車で通行人や従業員を怪我させた際に以下のような補償を受けられます。
対人賠償保険
自家用車を運転していて通行人や従業員を死傷させた際に、自賠責保険の支払限度額を超えた損害を補償します。
人身傷害保険
自家用車を運転している運転手や同乗者が死傷した際に保険金が受け取れます。
対歩行者等傷害特約
自家用車で歩行・自転車で通行している通行人を死亡、もしくは怪我で入院させた場合に、対人賠償保険で補償されない損害額が補償されます。
【自家用車】モノに対する保障
自家用車を運転中に、車両や建造物を破損した際は以下のような補償を受けられます。
対物賠償保険
事故で他人の自動車や建物などに損害を与えた際に、損害額が補償されます。
車両保険
契約している車両が事故などによって損害を受けた際に、修理費などが補償されます。
【社用車】ヒトに対する保障
法人向けの自動車保険で加入できる特約では、従業員や通行人を死傷させた際に以下のような補償が受けられます。
対人賠償使用人災害特約
対人賠償では補償されない業務中の同僚災害も補償されます。
【社用車】モノに対する保障
法人向けの自動車保険で加入できる特約では、相手方の車両や建造物、運搬中の荷物を破損させた際に以下のような補償が受けられます。
事業用積載動産特約
自動車に積載されている業務で使われる商品や備品等が破損した際に補償されます。
対物賠償非所有管理財物特約
他人から借りて管理している建物などの財物を破損してしまった場合に補償されます。
業務外で事故が発生した場合、会社は責任を負うのか?
従業員が業務中に社用車で事故を起こした場合は、民法で定められている「使用者責任」により会社が責任を負う必要があります。一方、業務外で従業員が事故を起こした場合、会社は責任を負う必要はないように思えます。しかし、こちらのケースでも会社は責任を負わなければいけません。
自動車損害賠償保障法3条では、交通事故が起きた際に次の条件に当てはまる人を「運行供用者」と呼びます。
- 自動車の運転手
- 運転手や自動車を管理する立場にある
- 自動車が利用されることで利益を得る
つまり、従業員が勤務外に社用車で事故を起こした際、従業員や自動車を管理する立場にある会社も責任を負う場合もあります。これを「運行供用者責任」といいます。
たとえ社用車を従業員が無断で使用して事故を起こしたとしても、管理不行届として会社側が責任を負うケースも多いため注意が必要です。
※社用車の事故に関する詳細は、下記の記事でも詳しく解説しておりますので、参考にご覧ください。
法人向け自動車保険は何を選べばよい?
自社の業務内容に合わせた補償を選ぶ
法人向けの自動車保険には「対人賠償保険」「対物賠償保険」「人身傷害補償保険」「自損事故保険」といった基本的な内容に加えて、法人向けならではの特約が用意されています。
保険会社によって法人向けの特約は様々あります。例えば、対人賠償保険では賠償されない従業員への補償がされる「対人賠償使用人災害特約」や、業務で使用する什器等が破損した際に補償される「事業用積載動産特約」などから選ぶことができます。
自社の業務内容に合わせて、必要と判断した特約を選ぶといいでしょう。
無理なく払える保険料で選ぶ
法人向けの自動車保険で用意されている特約は、どれも魅力的な内容ばかりです。起きるかもしれない事故を想定すると、全ての特約が必要になるのではないかと心配になるかもしれません。
しかし、特約をつけすぎると、それだけ保険料も高額になってしまいます。法人向けの特約は、事故が起きた後の補償がされるのは便利です。しかし、、事故が起きなければ保険料が無駄になってしまう恐れもあります。
法人向け自動車保険を選ぶ際は、会社の経営に負担をかけないように、無理なく払える保険料で選ぶといいでしょう。
車両を扱う企業として心がけること
車両を扱う企業として、事故の被害者はもちろん、従業員のためにも安心して働ける現場づくりが欠かせません。そのためにも、法人向けの自動車保険への加入は必須といえます。
しかし、もっとも重要なのは自動車保険を使う状況を引き起こさないことです。そのためにも、以下のような対策を徹底する必要があります。
- 安全運転管理者を選任する
- 運転者台帳・車両管理台帳を作成・運用する
- 車両点検や整備を徹底する
- 安全運転のマニュアルを作成する
- 運転手のアルコールチェックを徹底する
- 事故が起きた際の対応マニュアルを作成する
- 社用車の私的利用を禁止する
自動車保険に加入するのはもちろん、事故を起こさないためのマニュアルの作成やシステム作りが必要不可欠です。
まとめ
今回、社用車を取り扱う上で必須となる法人向けの自動車保険について解説しました。法人向けの自動車保険には、業務で取り扱う自動車の台数によって「フリート契約」「ノンフリート契約」の2種類があります。
車両を10台以上扱うのであれば、フリート契約にすることで保険料を安く抑えられます。しかし、契約している車両が事故を起こし、高額の賠償が発生すると翌年にかかる保険料が跳ね上がってしまいます。コストを抑えるためにも事故には十分に注意しましょう。
車両事故が起きた際、従業員を守るために法人向けの自動車保険に加入することは必須です。しかし、それ以前に事故を起こさないように、普段から車両の点検を徹底したり、運転手のアルコールチェックをするなどの対策をする必要があります。
これらのルールを徹底し、従業員が安心して働ける現場づくりを心がけましょう。
Bqeyについて
「Bqey(ビーキー)」は、車両の予約、日常点検、運転日報、物理鍵を一元管理できます。今まで紙に記入していた日報や、アルコールチェックも合わせてクラウドで管理することでDX化を実現します。最先端技術のデジタルキーで、物理鍵の受け渡しが不要になり、車両の予約から施錠・解錠までお手持ちのスマートフォンで完結します。初期費用不要、工事不要の手軽さで、車両メーカー問わず、リース車両にも簡単に導入できます。また、「Bqey」とアルコール検知器を連携して、アルコール検査の結果が問題ない場合に限り、車のドアの解錠やエンジン始動が可能になるなど、飲酒運転撲滅に向けた機能を鋭意開発中でございます。まずは、お気軽にお問い合わせ下さい。
資料請求はこちらから!