飲酒後の車の運転は何時間後から?アルコールが抜けるまでの時間は?
飲酒運転は、業務で車を運転する企業にとって絶対に従業員にさせてはいけない行為の1つです。
そこで、本記事では車を運転する予定がある場合、何時間前を目安に飲酒を控えるべきか、飲酒後は何時間くらいでアルコールが分解されるのかを解説します。飲酒運転に科される罰則も詳しく紹介します。
5分でわかる
「アルコールチェック義務化」完全ガイド
2023年12月1日から検知器を用いたアルコールチェックが義務化されました。「アルコールチェック義務化」について総復習したい方のために、わかりやすく解説した資料を用意しました。
今はまだ義務化の対象ではないという方も、自社での飲酒運転防止の仕組み作りのためにお役立ていただけます。
【資料で分かること】
- 義務化の経緯やスケジュール
- 義務化の対象となる企業
- 対応を怠った場合の罰則
- 会社として対応すべき事項
アルコールチェック義務化について正しく理解するために、ぜひ資料をダウンロードしてみてください。
飲酒運転とは?
飲酒運転の種類
社用車などの車を運用する業務で最もやってはいけない行為として「飲酒運転」が挙げられます。お酒を飲んでから車を運転する行為が飲酒運転だと捉えている方が多いですが、実際には運転者の状態によって「酒酔い運転」と「酒気帯び運転」の2種類に分けられています。
「酒酔い運転」は名前の通り、お酒を飲んで酔っぱらっている状態で運転することを意味しています。お酒を飲んだ運転者が次のような状態の場合、酒酔い運転と判断されます。
- まっすぐ歩くことができない
- 受け答えがまともにできない
- 検査によって視覚や聴覚が正常に機能していない
警察による飲酒運転のチェックは、基本的にアルコールチェッカーを用いて行われます。しかし、酒酔い運転の場合は、呼気中のアルコール濃度に関係なく運転者の状態で判断されます。お酒に弱く少量で上記のような状態になってしまう体質の方の場合、アルコールチェッカーの計測値は問題ない数値だったとしても、酒酔い運転として罰則を受ける可能性があります。
一方で「酒気帯び運転」は、アルコールチェッカーを用いて呼気中のアルコール濃度を測定した際に、運転者の体内にどの程度アルコールが残っているかで判断されます。たとえお酒に強い体質で「自分は酔っていない」「お酒に強いから問題ない」「お酒を飲んだのはかなり前だから関係ない」と主張したとしても、アルコールチェッカーで一定以上の数値が出た時点で酒気帯び運転となります。
飲酒後の運転はなぜ危険?
飲酒後の運転が危険な理由は、運転手が正常な判断や車の操作ができなくなるからです。アルコールには麻痺(まひ)作用があり、脳の働きも麻痺するため、安全運転に必要な情報処理能力、注意力、判断力などが低下してしまいます。また、気分が開放的になり、テンションが上がった状態になります。普段は物静かな人も、お酒が入った途端に性格が変わるというのはよくある話です。
飲酒後の状態については、血液中に残っているアルコールの濃度によって、次のように分類することができます。
- 爽快期(血中濃度0.02~0.04%ほど):気分がよくなり陽気になる
- ほろ酔い期(血中濃度0.05~0.10%):饒舌になり若干理性が失われる
- 酩酊初期(血中濃度0.11~0.15%):理性が失われ声が大きくなる
- 酩酊期(血中濃度0.16~0.30%):歩行や会話がまともにできない
- 泥酔期(血中濃度0.31~0.40%):立っていることができない
- 昏睡期(血中濃度0.41~0.50%):意識がなく呼吸がゆっくり深くなり場合によって死亡する
人によってアルコールを分解できる速度は異なりますが、どれだけお酒が強い人であっても自分の許容量以上のアルコールを摂取すると酔ってしまいます。先程もお伝えしたとおり、人は酔うことで脳の一部が麻痺してしまい、正常な判断が困難になります。
具体的には、アルコールを摂取することで、理性をつかさどる大脳皮質やそれをコントロールする大脳下部の網様体が麻痺します。判断力が低下するのに加えて、視力、知覚、運動能力も抑制されます。注意力も散漫になり、普段であれば気が付くことも見落としやすくなります。車間距離を測り間違えてしまい、ブレーキが遅れて事故を起こすなどがその一例です。
飲酒運転の恐ろしいところは、本人が自覚できない点です。お酒に強い体質の人ほど「自分は酔っていない」と主張し、アルコールに影響されないと思い込みがちです。しかし、実際には自覚できていないだけで少なからず体に影響を与えています。自分は酔っていないと思い込んでいる人が車を運転し、スピードを出しすぎたり判断を誤り衝突事故を起こすこともあるため、飲酒運転は危険なのです。
飲酒後、何時間経ったら運転してもOK?
アルコールの分解の仕組み
お酒に含まれるアルコールは、胃で20%、小腸で80%吸収されます。吸収されたアルコールは血液に乗って肝臓へと集められ、以下の仕組みで分解・排出が行われます。
- アルコールがADH(アルコール脱水素酵素)の作用でアセトアルデヒドに分解される
- アセトアルデヒドがALDH(アセトアルデヒド脱水素酵素)の作用で酢酸に分解される
- 酢酸が全身に送られて筋肉や脂肪組織で二酸化炭素と水に分解される
- 呼気や尿から体外に排出される
ただし、アルコールの分解・排出は一度のサイクルで完了することはありません。分解されなかったアルコールやアセトアルデヒドは、体内を巡って再度肝臓に戻り分解が行われます。
お酒を飲んだ翌日に体調が悪化するのは、分解・排出されず体内に残ってしまったアセトアルデヒドが原因です。お酒を飲みすぎると肝臓でアセトアルデヒドをすべて分解することができず、多くが血中に残ってしまいます。その結果、吐き気や頭痛といった、いわゆる「二日酔い」の状態を引き起こします。
アルコールの分解にかかる時間の計算方法
アルコールを分解するのにかかる時間には、個人差があります。よく耳にする「お酒に強い」「お酒に弱い」というのは、アルコールを分解する能力の違いを意味しています。アルコールの分解にかかる時間は人によって異なるため一概に言うことはできませんが、1時間で分解することができるアルコールの量は、目安としては次の計算式を用いて把握することができます。
「体重(kg)×0.1=1時間でアルコールが分解される量(g)」
1時間で分解できるアルコール量が分かれば、飲酒後に何時間経てば車を運転しても問題がないのかという目安を把握することができます。計算方法としては以下の通りです。
「摂取アルコール量÷分解可能なアルコール量=アルコールが抜ける時間」
たとえば、体重60kg前後の成人の場合、1時間でアルコールが分解される量はおよそ5~6gとなります。350mlの缶ビールに含まれているアルコール量は14g程度なので、約2~3時間でアルコールが抜けることになります。
ただし、これらの数値は個人の体重や摂取したアルコール量、アルコールを代謝する能力によって差が生じるため、あくまで目安でしかありません。
お酒を飲んだ後に車を運転する予定がある場合は、計算で求めた時間を必ず空けるようにするのはもちろん、少しでも酔いの感覚が残っていたら、完全になくなるまで待った方がよいでしょう。
また、睡眠時はアルコールの分解が遅くなるため、アルコールが抜ける時間にもズレが生じます。
「一眠りすれば酔いはさめる」という考えは間違いです。運転する当日に飲酒していなかったとしても、体内にアルコールが残っていればアルコールチェックで検出されてしまいます。翌日に車を運転する必要があるのであれば、深酒や飲みすぎは控えましょう。
お酒の種類別!アルコール含有量
1時間でどれくらいのアルコールが抜けるのかが分かれば、何時間後に車を運転してよいかがわかります。しかし、同じ100mlでも、ワインとビールでは含まれているアルコールの量が異なるので注意が必要です。以下では、酒類別にアルコールの含有量をご紹介します。
酒類別のアルコール含有量一覧
種類 | 量(ml) | アルコール含有量(g) | |
---|---|---|---|
ビール | ビール(コップ一杯) | 180 | 7 |
缶ビール(レギュラー缶) | 350 | 14 | |
缶ビール(ロング缶) | 500 | 20 | |
大瓶ビール(瓶1本) | 633 | 25 | |
日本酒 | 日本酒(1合) | 180 | 22 |
焼酎 | 焼酎(1合) | 180 | 36 |
チューハイ(レギュラー缶) | 350 | 20 | |
チューハイ(ロング缶) | 500 | 28 | |
ワイン | ワイン(グラス一杯) | 120 | 12 |
ワイン(ハーフボトル) | 375 | 36 | |
ワイン(フルボトル) | 750 | 72 | |
ウイスキー | ウイスキー(シングル水割り) | 30 | 10 |
ウイスキー(ボトル1本) | 720 | 230 |
運転する予定がある場合にどの程度なら飲んでも問題ないのかを把握する際には、上記を目安にするといいでしょう。ただし、先程もお伝えした通り、これらの計算はあくまで目安であり、体重や摂取したアルコール量、アルコールを代謝する能力によって個人差があるので注意してください。
アルコールの分解を早める方法はある?
飲酒中・飲酒後にやるべきこと3選!
①水分を多めに摂取する
飲酒後に水を飲んでもアルコールの分解を早めるわけではありません。しかし、アルコールの排出を早めたり、アルコールが原因による脱水症状を防ぐ効果が期待できます。また、飲酒時にも水分を多めに摂取することで、アルコールの量を抑えることができます。
お酒を飲みすぎるとトイレが近くなると感じたことはないでしょうか。アルコールには利尿作用があるため、水分を摂取しているつもりでも、それ以上の水分が排出されてしまうのです。脱水症状が進むと、体調を崩す原因となってしまいます。そこで、飲酒時に多めの水分を取ることで、脱水症状を防ぐ効果が期待できます。
また、二日酔いになるのはお酒の飲みすぎが原因です。とくに、アルコール度数の高いお酒を飲みすぎると、アルコールを分解するまでに時間がかかってしまいます。そこで、お酒と一緒に水を飲めば、それだけ早く満腹感が得られますので、トータルの飲酒量を減らすことができるかもれません。
お酒を飲む際には、意識的に水をたくさん飲むようにすることがおすすめです。
②安静にする
アルコールは肝臓で分解されるのを待つしか方法はありません。二日酔いはアセトアルデヒドの影響で、風邪に似た症状を引き起こします。風邪をひいたら安静にしているのと同じように、アルコールが分解されるのを待つのが確実な方法です。市販薬を飲んで頭痛を抑えつつ、水を多めに飲みながら安静にしていましょう。
ただし、前述したとおり睡眠中は肝臓の機能も鈍くなり、アルコールの分解が遅くなる点に注意が必要です。
③汗をかくことはアルコールの分解を早める?
「汗をかけばアルコールは早く抜ける」という説を耳にしたことはありませんか?これを信じて、飲酒後にサウナを利用したり、ジムでトレーニングをしているという人もいるようです。
しかし、実は汗をかいてもアルコールの分解を早めることはできません。それどころか、ただでさえアルコールの利尿作用で水分が不足している体からさらに水分を抜くことになるため、脱水症状を引き起こす恐れがあります。
脱水症状は二日酔いを悪化させるだけでなく、体調面でも悪影響を及ぼします。最悪の場合、死に至る恐れもあり大変危険です。飲酒後はサウナやトレーニングなどは控え、水分を多めに摂って安静にしていましょう。
飲酒運転の罰則
酒酔い運転の罰則
運転者が明らかに飲酒しており、歩行や受け答えが困難な酩酊状態にあると判断された場合、アルコール濃度に関係なく「酒酔い運転」と判断されます。
呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15mg以上含まれていることが基準で認定される「酒気帯び運転」とは異なり、たとえ呼気中のアルコール濃度が0.15mg未満であったとしても、会話などが正常に行えない場合には酒酔い運転と判断されることがあります。
酒酔い運転は酒気帯び運転よりも罰則が重く、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金、違反点数35点、免許取消し及び欠格期間2年の処分が科されます。
酒気帯び運転の罰則
呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15mg以上含まれていると「酒気帯び運転」の罰則が科されます。呼気中に含まれているアルコール濃度が0.25mg以上になるとさらに罰則は重くなります。
酒気帯び運転の検査は、アルコールチェッカーを用いて行われます。呼気中のアルコール濃度が0.15mg以上・0.25mg未満の場合、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金、違反点数13点、90日間の免許停止処分が科されます。
呼気中のアルコール濃度が0.25mg以上の場合、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金、違反点数25点、免許取消し及び欠格期間2年の処分が科されます。
アルコールチェッカーで呼気中にアルコールが検出されたとしても、0.15mg以下であれば罰則対象とはなりません。しかし、酒気を帯びた状態で運転していることになるため、注意を受ける可能性が高いです。
洋酒入りのパンやチョコなどを食べた場合も酒気帯び運転になる恐れがあります。車を運転する前に飲食をする場合は、原材料にお酒が使われていないかをチェックするようにしましょう。
同乗者や車両提供者に対する罰則
飲酒運転が発覚した場合は、運転者だけが罰せられるわけではありません。明らかに飲酒していることを知りながら同じ車に同乗している者や、車両を提供した者も責任を問われます。
運転者が酔っていることを知りながら車両を提供した場合、運転者と同じ罰則を受けることになります。車両提供者の罰則については、企業が従業員に社用車を提供している場合も該当しますので、アルコールチェックを徹底し、飲酒運転を防止することが企業には義務付けられています。
また、飲酒運転をする車に同乗した場合、同乗者は以下の罰則が科されます。
- 運転者が酒気帯び運転だった場合:2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
- 運転者が酒酔い運転だった場合:3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
飲酒運転は運転者だけでなく、他の人にまで影響を与えてしまいます。安全のためにも、運転者にはお酒を提供しない、酔っている人には車を貸さない、お酒を飲んでいたら運転させないようにしましょう。
※参考:同乗者も逮捕された事故のニュース
まとめ
飲酒運転は、運転者や同乗者の命を危険に晒すだけでなく、歩行者などの関係ない人まで巻き込んでしまう可能性が高い恐ろしい行為です。車を運転する必要があるのであれば、どの程度の時間でアルコールが抜けるかをしっかり見極める必要があります。また、車を運転する従業員を管理する立場である企業の管理部門は、従業員のアルコールチェックの徹底を行わなくてはなりません。
2022年4月から道路交通法が改正され、白ナンバーの車両にも運転前後のアルコールチェックの実施と記録の1年間保管が義務付けられました。また、2023年12月からはアルコールチェッカーを用いたアルコールチェックの実施も義務化の内容に追加されました。
しかし、アルコールチェックの運用体制を整え、アルコールチェックの測定記録内容に不備がないかをチェックし、1年間保管するという業務には、莫大な手間と時間がかかってしまいます。そこで、アルコールチェック記録をクラウド上で一元管理できる「Bqey」の導入をおすすめします。
「Bqey」では、アルコールチェック項目を含めた運転記録を運転者がスマホアプリから簡単に入力できるので、提出漏れを防ぎます。2022年4月からの改正道路交通法のチェック項目にも対応しており、データはクラウド上で3年間保管可能です。
専用のアルコールチェッカーを使うと、アルコールチェックの結果が自動でアプリに反映されるので手入力の手間を省き、データ改ざん等の不正を防ぐこともできます。
また、飲酒運転防止を徹底するため、アルコールチェックの測定結果が基準値を超えた場合、車を解錠できなくなる(乗れなくなる)機能も搭載しています。ご興味をもっていただけましたら、ぜひお気軽に下記より資料をご請求ください。
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