ノンアルコールビールは運転OK?飲酒運転のリスクと注意点も解説
飲み会の後に車を運転する予定がある場合、不安に感じつつも「ノンアルコールビールを選べば大丈夫だろう」と考える人は多いです。実は、ノンアルコールだから必ずしも安心・安全であるとは限りません。
本記事では、ノンアルコール飲料の定義を踏まえ、ノンアルコールビールを飲んで運転しても大丈夫なのかを解説します。ノンアルコール飲料の注意点や、おすすめ商品も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
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ノンアルコール飲料の定義とは
酒税法では、「酒類(アルコール飲料)」を「アルコールを1度(1%)以上含有する飲料」と定義しています。
つまり、アルコール度数が1%未満の飲料は、酒類に分類されません。アルコール度数が0.00%でも0.99%でも、これらは「ノンアルコール飲料」と呼ばれます。
ノンアルコールビール自体は、1920年代にアメリカで開発されて以来、長らく存在していました。日本国内では、2007年(平成19年)4月に道路交通法が改正され、飲酒運転や酒気帯び運転への罰則が強化されたことをきっかけに、ノンアルコールビールが急速に普及しました。
「完全にアルコールを含まないビール」と思い、運転時に飲めると誤解する人もいますが、実際には1%未満のアルコールを含む製品も多く存在します。
開発当初のノンアルコールビールは、完全にアルコールを含まないものではなく、わずかにアルコールを含むものが一般的でした。アルコール度数が0.00%の製品が登場したのは、約100年に及ぶノンアルコールビールの歴史から見るとごく最近のことです。
酒類に分類されないため、20歳未満でも購入や飲用が違法にはなりませんが、アルコールが含まれる可能性がある以上、運転前に飲用する際には十分な注意が必要です。
清涼飲料水との違い
ジュースやお茶など、アルコール飲料や乳製品に分類されないものは「清涼飲料水」と呼ばれます。ノンアルコール飲料も、アルコール飲料や乳製品に分類されないため、清涼飲料水に含まれると考えられます。
しかし、ノンアルコールビールは炭酸を含むため、ラベルには「清涼飲料水」ではなく「炭酸飲料」と表記されることが一般的です。
また、ノンアルコールビールは基本的に20歳以上を対象に作られており、子どもが誤って飲まないように清涼飲料水とは区別され、酒類と同じ場所で販売されています。
ノンアルコールビールは運転しても大丈夫?
前述の通り、ノンアルコールビールのアルコール度数は0.00~0.99%です。特に「0.00%」と表示されている製品はアルコールを全く含まないため、いくら飲んでも問題ありません。
一方で、1%未満でもアルコールが含まれるノンアルコールビールを飲んだ場合、「酒気帯び状態」になる可能性があるため、運転は控えるべきです。
たとえば、アルコール度数0.99%のノンアルコールビールを大量に摂取すると、体内のアルコール濃度が酒気帯び運転の罰則対象の基準値に達するおそれがあります。
飲酒運転の基準と罰則
飲酒運転には、「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の2つがあり、これらは明確に区別されています。
酒気帯び運転は、血液中のアルコール濃度が0.3 mg/mL以上、または呼気中のアルコール濃度が0.15 mg/L以上の場合に適用されるもので、運転者に酔った自覚や症状がなくても処罰の対象となります。
一方、酒酔い運転は、アルコールの影響で正常な運転ができない状態を指します。顔が赤い、呂律が回らない、まっすぐ歩けないなど、見た目や行動から明らかに酩酊していると確認される場合に適用されます。
それぞれの場合の運転者に対する処罰内容は以下のとおりです。
違反種別 | アルコール基準値 | 違反点数 | 処分 | 罰則 |
---|---|---|---|---|
酒気帯び運転 |
0.15 mg/L以上0.25 mg/L未満 |
13点 |
90日の免許停止(※1) |
3年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
酒気帯び運転 |
0.25 mg/L以上 |
25点 |
免許取消し 欠格期間2年(※1, 2) |
3年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
酒酔い運転 |
数値基準なし |
35点 |
免許取消し 欠格期間3年(※1, 2) |
5年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
(※1)前歴およびその他の累積点数がない場合
(※2)「欠格期間」とは、運転免許の取消し処分を受けたものが再取得することができない期間のこと
また、運転者本人だけでなく、車両等の提供者や、酒類の提供者・車両の同乗者に対しても罰則が設けられています。
≪車両等の提供者≫
- 酒気帯び運転の場合:3年以下の懲役 または 50万円以下の罰金
- 酒酔い運転の場合:5年以下の懲役 または 100万円以下の罰金
≪酒類の提供者・車両の同乗者≫
- 酒気帯び運転の場合:2年以下の懲役 または 30万円以下の罰金
- 酒酔い運転の場合:3年以下の懲役 または 50万円以下の罰金
ノンアルコール飲料の注意点
ノンアルコール飲料は、飲酒が制限されるシーンや、アルコールを控えたい人にとってありがたい選択肢です。しかし、飲んだ後に運転を予定している場合には、注意すべき点があります。
アルコール度数を確認する
ノンアルコール飲料といっても、すべてが「アルコールゼロ」というわけではありません。多くの商品は0.00%ですが、一部には微量なアルコールが含まれているものもあります。
車の運転を予定している場合は、必ずアルコール度数が「0.00%」の商品を選びましょう。度数は必ず缶やボトルに記載されているため、自分で確認が可能です。
居酒屋などで表示の確認が難しい場合は、店員に直接確認するとよいでしょう。
また、ノンアルコール飲料は基本的に20歳以上を対象に製造されているため、会社の飲み会などでは、たとえ0.00%でも20歳未満の従業員に提供しないケースもあります。
中には「空酔い」を起こす人もいるため、無理に勧めないほうが無難です。
「空酔い」することもある
アルコールを含まないノンアルコール飲料でも、飲むと空酔い現象を起こす人がいます。空酔いとは、アルコールを摂取していないにもかかわらず、あたかも酔ったように感じる現象です。
たとえば、ノンアルコール飲料を本物のお酒だと信じ込んで飲んだり、飲み会で周囲が酔っている状況で飲んだりすると、つられて酔った気分になることがあります。
不思議なことに、気分だけでなく「顔が赤くなる」「体温が上がる」「ふらつく」といった症状が出る人もいるようです。
このように、体内にアルコールがなくても、錯覚や気分の高揚によって酔いを感じる空酔いは、運転に影響する危険性が高いため、ノンアルコール飲料を飲む際にも注意が必要です。
主な0.00%のノンアルコール飲料
ここからは、アルコール度数0.00%のノンアルコール飲料の中で、手軽に入手できる主な商品をご紹介します。味わいのポイントも記載していますので、お好みのノンアルコール飲料を見つける際の参考にしてください。
ノンアルコールビール
まずはビールテイストのノンアルコール飲料を紹介します。
アサヒ ドライゼロ
「さらにビールに近い味」をコンセプトに作られており、クセがなくさっぱりとした飲みやすさが特徴です。苦みや甘みはやや控えめで、ドライならではのシャープな喉ごしを楽しめます。
同社の「スーパードライ」シリーズにならっているため、普段スーパードライを飲んでいる人は、限りなく近い味わいを体験できます。食事と一緒に飲むのにおすすめです。
参考:https://www.asahibeer.co.jp/dryzero/
アサヒゼロ
ノンアルコールでありながらも、本格的な味わいが楽しめることで定評がある商品です。国産麦芽を使用しており、通常に比べて倍以上のうまみを残す、「ブリューゼロ製法」によって作られています。
麦のうまみに加えて、苦みや甘みもしっかり感じられる、飲み応えのあるビールです。ビールらしい濃厚さを堪能したい人におすすめです。
参考:https://www.asahibeer.co.jp/asahizero/
キリン グリーンズフリー
3種類のホップを使用し、香りにこだわったノンアルコールビールです。さわやかな香りが特徴の「ネルソンソーヴィンホップ」に、華やかな香りと上品な苦みを引き出すホップをブレンドしています。
甘味料を使用せず、控えめな甘さで、すっきりとした飲み口に仕上げています。独自の製法により、麦やホップの風味を際立たせ、雑味や渋みを抑えてビールらしさを感じられる商品です。
参考:https://www.kirin.co.jp/alcohol/nonalcohol/greensfree/
キリン 零ICHI(ゼロイチ)
キリン独自の製法で、麦のうまみを丁寧に引き出し、本物のビールのような深いコクとしっかりとした麦の風味が楽しめます。
爽やかな飲み口が特徴で、ビールの苦味が苦手な方にも飲みやすい仕上がりです。甘味料・着色料ゼロで、後味がさっぱりしており、自然なおいしさが味わえます。
参考:https://www.kirin.co.jp/alcohol/nonalcohol/zeroichi/
サントリー オールフリー
アルコールだけでなく、糖質・カロリー・プリン体すべてがゼロなので、健康を気にする方におすすめです。
原料には、本物のビールと同じ二条大麦麦芽の一番麦汁を使用しています。すっきりとした喉ごしとやさしい甘みが特徴で、ごくごく飲めるノンアルコールビールです。
参考:https://www.suntory.co.jp/beer/allfree/products/allfree/index.html
サッポロ プレミアムアルコールフリー
「コク、ウマ。」がコンセプトの、原料や品質にこだわったビールに近いノンアルコールビールです。同社の本物のビールと同じ仕込み製法を使うことで、サッポロビールならではのおいしさを追求しています。
雑味が少なくほんのりとした酸味とフルーティさがあり、すっきりとした味わいを求める方におすすめです。
参考:https://www.sapporobeer.jp/premiumalcoholfree/product/product.html
ノンアルコールワイン
続いてワインテイストのノンアルコール飲料を紹介します。
贅沢ワイン気分(キリン)
ノンアルコールのスパークリングワインで、ロゼと白の2種類があります。キリングループのメルシャン株式会社が開発した特殊なぶどう果汁を使用することで、フレッシュな果実の華やかな香りを楽しめます。
さらに、隠し味として果汁をブレンドすることで、本物のワインのような豊かな果実味と複雑さを実現しています。
参考:https://www.kirin.co.jp/alcohol/wine/zeitakuwinekibun/
ノンアルでワインの休日(サントリー)
赤と白の2種類がある、ノンアルコールスパークリングワインです。本物のワインからアルコールを分離することで、ワインそのものの味わいを実現している商品です。
ソムリエが監修し、甘すぎない味わいが食事ともよく合います。ノンアルコールワインは甘いのでは…と敬遠していた方にもおすすめです。
参考:https://www.suntory.co.jp/wine/original/kyuujitsu/
その他のノンアルコール飲料
最後に、チューハイや梅酒テイストのノンアルコール飲料を紹介します。
スタイルバランス(アサヒ)
ノンアルコールであり「機能性表示食品」というユニークな商品です。脂肪や糖の吸収を抑制する「食生活サポート」、質のよい睡眠を助ける「睡眠サポート」、肌の潤いを保つ「素肌サポート」の3種類があります。
ハイボールやレモンサワーなどのチューハイ系、カシスオレンジなどのカクテル系、シャルドネスパークリングなどのワイン系、と味のバリエーションが豊富なので、選ぶ楽しみも魅力のひとつです。
参考:https://www.asahibeer.co.jp/k_hyoji/stylebalance/
のんある気分(サントリー)
カロリーゼロ・糖類ゼロが嬉しいノンアルコールのチューハイです。カシスオレンジや梅酒サワーなど、味のラインアップが豊富です。
独自の「リアルテイスト製法」により、複雑な香味、深みなどを出せるようこだわっているため、ジュースではなく本物のチューハイのような風味を感じられます。
参考:https://www.suntory.co.jp/rtd/non-al/
酔わないウメッシュ(チョーヤ)
チョーヤの人気商品「ウメッシュ」のノンアルコール版です。紀州産「完熟南高梅」を100%使用し、濃厚な梅の香りを味わえます。
酸味料・香料・着色料不使用なので、添加物に抵抗がある方も飲みやすい商品です。オーガニックのブルー・アガベシロップによる、すっきりとしたやさしい甘みが特徴です。
参考:https://www.choya.co.jp/products/nonealcohol/yowanai_umesshu/
アルコールチェッカーを使うと安心
運転する予定がある場合には、アルコール度数が0.00%のノンアルコール飲料を飲むべきですが、中には度数を確認せずに飲んでしまったり、度数の低い酒類を飲んでしばらく経ってから運転したりすることもあるでしょう。
そのような場合は、「アルコールチェッカー」を使用して体内にアルコールが残っていないことを確認すると安心です。
アルコールチェッカーとは
アルコールチェッカーとは、飲料のアルコール度数をはかるものではなく、ヒトの体内にアルコールが残っているかどうかを確認する機器のことです。
対象者の呼気中のアルコール濃度を測定し、酒気帯びの有無を判定します。主に職場での安全管理のために使用されており、バスやトラック、タクシーなどの運転業務を行う事業者には、法律で使用が義務付けられています。
アルコールチェッカーは一般に市販されており、価格も手頃です。使用義務の対象でない企業でも、会社の備品として設置しておけば、従業員が随時チェックできます。飲酒の機会や車の運転頻度が高い場合には、有用なアイテムといえます。
アルコールチェッカーの使い方
手軽に購入できるハンディタイプのアルコールチェッカーには、大きく分けて「吹きかけ式」「ストロー式」「マウスピース式」の3種類があります。
これらの機器は、電源を入れてセンサー部分に息を吹きかけると、わずか数秒で呼気中のアルコール濃度を測定し、結果を表示します。
測定値が0を超えた場合は体内にアルコールが残存している状態と判断されるため、運転は絶対に避けるべきです。特に測定結果が0.15 mg/Lを超えた状態での運転は、道路交通法で定める酒気帯び運転として厳しい罰則の対象となります。
なお、アルコールチェッカーの正しい使い方やメンテナンス方法などについては、以下の記事で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
まとめ
ノンアルコール飲料とは、アルコール度数1%未満の飲み物を指し、必ずしもアルコールが完全に含まれていない商品ばかりではありません。
運転前にノンアルコールビールを飲む際には、アルコール度数が0.00%のものを選ぶことが重要です。
たとえアルコール度数が低くても、大量に摂取すれば酒気帯び運転の基準値に達する可能性があります。また、アルコールを含まない製品でも「空酔い」の可能性があるため、運転時は注意が必要です。
不安な場合は、アルコールチェッカーを使用して体内のアルコール残存を確認することをおすすめします。
飲酒運転は重大な違反であり、厳しい罰則の対象となるため、「大丈夫だろう」と安易に判断せず、安全を最優先に考えましょう。
自分の好みに合ったノンアルコール飲料を見つけ、おいしく安全に楽しんでください。
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