社用車にGPSを設置するメリットと注意点｜おすすめのツールも紹介

GPSには、リアルタイムで位置情報を共有する機能があり、業務中の運転においても様々な活用ができます。

 

そもそも、GPSとは

GPSはアメリカで開発された技術で「Global Positioning System（全地球測位システム）」の略称です。人工衛星（GPS衛星）の電波をデバイスが受信し、正確な位置情報（緯度・経度・高度）をリアルタイムで把握できる仕組みとなっています。

 

当初は軍事目的で利用されていましたが、現在では、地図アプリやスマホゲーム、自動車のカーナビシステムなど、様々なソフトウェアや機器で活用されています。

 

社用車における活用方法

社用車にGPSを設置することで、従業員の現在地や走行ルート、運転時間といった様々な情報を入手できるようになります。リアルタイムに得られる情報によって、災害時など万が一の際にも迅速に安否確認することができ、BCP対策にもつながります。

 

また、運転の特徴や傾向を診断してくれる機能を使えば、事故防止といった観点にも役立てられます。

社用車にGPSを設置することで、大きく3つのメリットが得られます。

 

業務効率化

社用車の位置情報をリアルタイムに把握できるため、工事や渋滞が発生した場合でも、管理者はドライバーに迅速に指示を出すことができます。また、取得した運転データから最適な走行ルートや効率よく回れる訪問リストを導き出すことができます。これにより適切な配車ができ、業務時間内で効率のよい営業活動が期待できます。

 

また、GPSデバイスと連携したシステムの中には、自動で運転日報を生成してくれるものもあります。必要ではあるものの時間が取られてしまうノンコア業務（それ自体では利益を生み出さない業務）を効率化することで、本来の業務に注力できます。

 

交通事故防止

社用車を利用する際に特に注意すべきなのが交通事故です。急ブレーキや急発進・急加速が多い運転では、事故やトラブルを起こすリスクが高まります。

 

GPSを活用した運転診断では、ドライバーの運転のクセや特性を分析できるため、個々に合った、的確な安全運転指導を行うことができます。また、常に自分の運転が記録されていることから、ドライバー自身の安全運転への意識が高まるといった効果も考えられます。

 

コスト削減

先ほど述べた走行ルートの最適化により、燃費改善や燃料費の削減につながります。また、保有している車両の稼働状況を正確に把握できるため、稼働率の低い車両を手放して維持費を削減できる可能性もあります。

 

さらに、交通事故の発生件数が減少すれば、車両修繕費や自動車保険料の経費負担が抑えられます。

様々なメリットを得られる一方で、社用車にGPSを設置する際には、注意しなければならない点もあります。

 

抵抗を感じる従業員もいる

社用車を運転する従業員の中には、位置情報がリアルタイムで把握されたり、走行ルートが記録されたりすることに対して、自分の行動が会社に監視されていると感じて、抵抗感を覚える人もいるかもしれません。

 

また、運転方法の評価についても、ベテランドライバーは否定的に捉える可能性があります。管理者の立場だけでなく、従業員の意見にも耳を傾けることが重要です。

 

費用対効果の観点が必要

GPSの設置には、初期費用や運用コスト、保守費用が発生します。そのため、導入時には費用対効果を十分に検討しなければなりません。一般的に、高性能で機能が多いものほど費用が高くなる傾向がありますが、使用しない機能ばかりだとムダが増えてしまいます。GPSの設置目的と期待する効果を明らかにして、その上で実現できる機能が搭載されたツールを選定することをおすすめします。

従業員がGPSに対して不満・不安を抱えたり、モチベーションが下がったりしては逆効果です。十分な理解を得るためには、共有しておくべき情報がいくつかあります。

 

①導入目的を共有する

まず、GPSを導入する目的を明らかにします。目的がはっきりしないまま運用が開始されると、従業員に不安を与えてしまいます。

 

GPSは従業員の監視が目的ではなく、業務の効率化や事故防止などが目的であることを、しっかりと説明する必要があります。また、具体的にどのような情報をどのように活用するのか、従業員がイメージしやすいように詳しく説明しましょう。目的が明確になることで、GPS設置を受け入れやすくなるでしょう。

 

②従業員のメリットを説明する

企業（管理者）にとってのメリットだけでなく、従業員にとってのメリットを理解してもらうことも大切です。

 

GPSの設置により、「ムダな運転時間の削減」や「日報作成業務の負担軽減」など、従来の業務がどのように効率化されるのかを理解してもらう必要があります。多くのメリットがあることがわかれば、設置に対して前向きになれるはずです。さらに、ツールや商品の導入時には、従業員の意見も必ず取り入れることが大切です。

 

③プライバシーの配慮を約束する

従業員が安心して社用車を利用できるように、プライバシーに配慮することを約束しましょう。具体的には、「GPSの使用は業務時間内に限ること」や「取得したデータの利用は従業員のプライバシーを尊重して利用すること」を説明し、必要に応じてこれらを明文化することが重要です。

 

また、業務時間内でも行動の詳細を把握して指摘することが、必ずしも適切ではない場合もあるため、注意しましょう。GPSの電源を切るタイミングなど、使用に関するルールを設けることで、誤解やトラブルを防ぐことができるでしょう。

社用車にGPSを設置するためのツールには主に3つの種類があります。それぞれの特徴を理解し、自社に最適なツールを選びましょう。

 

ドライブレコーダー

GPS搭載のドライブレコーダーは、車両の位置情報を取得できるだけでなく、日付や時刻、走行ルート、撮影地点、走行速度など、様々な情報を記録することが可能です。

 

ドライブレコーダー本来の役割である、交通事故やトラブル発生時の証拠映像を録画することもできます。

さらに、安全運転支援機能が搭載されている機種では、車線をはみ出したり、前方車両に近づきすぎたりした場合にアラートで通知してくれるため、交通事故の未然防止も期待できます。

 

GPS追跡アプリ

GPS追跡アプリは、スマートフォンを活用して位置情報や走行記録などを残せるアプリです。ドライブレコーダーと比べて手軽に利用でき、設置がしやすい点がメリットです。

 

また、位置情報取得に加えて、運転業務前後のアルコールチェック業務を効率よく行える機能や、運転日報作成機能、ナビゲーション機能などが搭載されているアプリもあります。

 

車両管理システム

車両管理システムとは、社用車を効率的に管理し、安全運転の推進と業務負担の軽減を実現するツールです。車両の予約・管理、アルコールチェック、運転日報の作成・管理、車検や免許証の有効期限管理など、車両管理に必要な多様な機能を搭載しており、これらを一元管理することで、業務効率を大幅に向上させることが可能です。

 

また、車両管理システムの中には、GPS技術を活用したサービスもあり、ドライブレコーダーやスマートフォン、専用デバイスなど、多彩な選択肢が提供されている点が特徴です。

スマートフォンのGPSを使って、作業者の位置や作業状況、次の訪問先とその到着時間などを地図上に表示できます。独自技術により、新規開通した道路情報を迅速に地図データに反映することができ、正確な到着予想や効率的な配送計画に役立ちます。

参照元：https://fleet.navitime.co.jp/