沖縄セルラー電話株式会社様は電気通信事業やKDDI系の携帯電話サービスの提供を行い、沖縄の通信インフラを支え続けています。
営業活動や基地局の設置など幅広い業務で車両を使用する中、アルコールチェック義務化をきっかけに安全に社用車を管理・運用するためのシステムがないか検討されていました。Bqeyを提案する過程で、アルコールチェックだけでなく、全社で車両が共有化できる「デジタルキー」にも関心を寄せていただき導入に至りました。
近年、社会から飲酒運転に厳しい目が向けられるようになっているものの、痛ましい事故は全国で後を絶たない。こうした状況を受けて、2022年4月に改正された道路交通法(道交法)では、白ナンバーの社用車を運転するドライバーにもアルコールチェックが義務化されることとなった。
自動車を5台以上(定員11人以上の自動車は1台以上)有する企業では、安全運転管理者(安全運転の確保に必要な業務を行う人)が運転前後で酒気帯びの有無を目視で確認し、アルコールチェックの記録を1年間保存しなければならなくなる。さらに行政から報告を求められた場合には、全社の記録を取りまとめて提出する義務も生じる。今回の改正に適した管理の構築が急務だ。
しかし、KDDIグループの沖縄セルラー電話(以下、沖縄セルラー)で社用車の契約、管理を担当する経営管理本部 総務部 総務グループ 担当課長の新垣泰氏は、今の体制のままでは難しい対応を迫られると課題を感じていたという。一体、その課題とは? そして、課題をどのように解消していったのか? 話を聞いた。
厳しい管理が求められる 白ナンバーのアルコールチェック
沖縄セルラーは、auブランドを中心にUQ mobile、povoなどの音声通信、データ通信サービスを沖縄エリアで展開する企業である。約300人の社員のために、営業職が使う普通車と、技術職が使う点検工事用の特殊車両を合わせて30台以上、社用車として保有する。
「社用車のリース契約を総務グループが行った後、管理は各部署の担当者に任せていました。しかも決まった台数が部署ごとに配分される縦割り管理だったので、総務グループとして全社的な利用状況を把握するのが難しいと感じていました」(新垣氏)
つまり、社用車がバラバラに管理された今の状態ではガバナンスに問題があり、アルコールチェック義務化に十分な対応ができない恐れがあったのだ。
社用車管理システム「Bqey(ビーキー)」でガバナンスのリスクを解消
携帯電話という生活に密着したインフラサービスを手掛けるKDDIグループの総務担当者にとって、コンプライアンス順守とガバナンス強化は最優先すべきミッションである。勤務時間中に社員が飲酒をして自動車事故を起こすようなことがあれば、管理責任を問われ、会社の信用やブランドは失墜しかねない。法改正への対応は企業生命にも関わる問題だ。
アルコールチェック義務化をきっかけに、新垣氏ら総務グループは「社用車の利用状況の可視化」を目指すべく、新しいITツール導入を検討しはじめた。2~3社が候補に挙がったところで、最終的に採用を決めたのが社用車管理システム「Bqey(ビーキー)」であった。Bqeyとは、長年、自動車の鍵を開発してきた実績を持つ東海理化電機製作所(以下、東海理化)が提供する、SaaSモデルの社用車管理システムである。
新垣氏はBqeyを選んだ理由として、他社製品にはない機能が充実していた点と、クラウドで情報を包括的に管理できる点を挙げる。
例えば、Bqeyは車両の空き状況の確認、予約、日常点検および運転日報の記録など、社用車の管理に必要な機能がそろっている。これらの機能は、専用アプリを入れたスマートフォンから全て操作が可能だ。また、専用デバイスを車内に設置しアプリと連動させることで、スマートフォンで車の施解錠が可能となり、物理的な鍵を紛失する恐れもない。
肝心のアルコールチェックは、ドライバーが専用のアルコール検知器を使うと、データがクラウドのシステムへ自動的に記録される仕組みとなっている。なりすまし防止のため顔写真撮影機能も搭載されており、そこで撮影した画像データもまた、クラウドに自動転送できる。
「従来のアルコールチェックでは、運転するたびに結果を紙に記入する必要がありました。
しかしBqeyのアルコールチェック機能なら、スマートフォンのアプリから外出先でも全ての作業ができるためペーパーレス化にもつながりました」(新垣氏)
「社用車8台が不要に」コストカットも実現
「以前は、ある部署では社用車が足りない一方、別の部署では余っているという矛盾が生じていました。でもBqeyを導入したおかげで鍵の受け渡しが不要になり、部署横断で共有できるようになったのです。おかげで『空いている社用車がない』『営業機会のロスだ』といった苦情が一気に解消しました。
しかも、車内に設置した専用デバイスから全車両の施解錠の記録データを得られるようになったため、稼働率の見える化に成功しました。結果、30台以上ある社用車のうち8台も削減できることが分かり、コストカットにもつながっています。リース契約の満了を迎える頃には、より多くの車両を削減できるのではないでしょうか」(新垣氏)
この成果について、総務グループリーダー 井川正也氏は「社用車管理のデジタル化はメリットしかない」と強調。社用車管理を契機としたDXへの前進に、強く手応えを実感している様子を見せた。
「社員の不安をどう解消するか」が成功のポイント
沖縄セルラーの事例は成功しかないように見えるが、導入までの道のりには苦労と工夫もあったようだ。最大のハードルは「社員に理解してもらうことだった」と、新垣氏は振り返る。
「最も多かったのは、社用車が足りないと感じていた層からの『ITツールを導入しただけで解決するのか』という声でした。しかし総務グループとしては、Bqeyを導入すれば問題を解決できるという確信があったので、特に社用車の利用が多い現場には別枠で丁寧な説明をすることを心掛けました」(新垣氏)
社員に提案する段階で、現場が「何を望んでいるのか」「何に困っているのか」など、担当者と直接会って一つ一つ意見を集めていった。また、東海理化からも全社向けにメーカー説明会を開いてもらうなどのサポートを受け、理解を深めることに努めた。
「入念なリサーチと、社員の声を反映していなかったら、もっと導入に時間がかかっていたかもしれません。東海理化さんの支援の下、現場の気持ちをくみ取ったシステムを提案できたおかげで社員の理解が進み、スムーズにツールを利用してもらうことができました」(井川氏)
実際、沖縄セルラーでは社員から「社用車の不足感が解消された」「キーレスなので便利になった」など喜びの声が聞こえている。一方、システム担当側からは「運用しやすい」という感想があった。
「システム構成はシンプルな作りになっているので、私たちの運用ルールにのっとった設定がしやすいと思いました」(新垣氏)
せっかくシステムを導入しても使いづらくては意味がない。プログラミング知識がなくても設定でき、柔軟な運用ができるシステムは、総務担当者にとって魅力だろう。トラブル時のサポートも充実していると、新垣氏は東海理化の支援体制も高く評価する。
「いつもサポート担当者が親身に相談に乗ってくれるので非常に助かっています。最初は操作に不慣れなため、専用デバイスに関するトラブルもあったのですが、迅速に対応してもらうことができました」(新垣氏)
SDGsにもつながる社用車管理のDX
システム導入後、沖縄セルラーが目指したい次なる目標とは何か。それは、どうすれば「アルコールチェック忘れ」を防止できるかなど、運用の仕組みをより工夫して改善に努めることだ。
「22年9月に導入してから半年たちますが、まだ使い方に慣れていない社員もいます。誰が、いつ、どこで報告できなかったか見える化しながら、抜け漏れのない対策を考えていきたいですね。社員が安全運転を今まで以上に意識してもらえるようになれば、最終的に会社のガバナンスを強化することにもつながります」(新垣氏)
「今後は同じビルに入居するグループ会社とも、Bqeyで連携できるようにしたいと思っています。ビル全体で車両をシェアすることによって、さらなる台数削減とコストカットだけでなく、環境問題への配慮をはじめSDGsの取り組みにも貢献していきたいからです」(井川氏)
社用車におけるアルコールチェック対応は、ただの法令順守ではない。沖縄セルラーの例からも分かる通り、社用車管理のデジタル化は、コストカット、社員の飲酒運転防止、SDGsへの貢献など多方面にメリットをもたらす。一歩、先んじて社用車管理DXに成功した沖縄セルラーをお手本に、ぜひBqey導入を検討してみてはどうだろうか。
社名 | 沖縄セルラー電話株式会社 |
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事業内容 | 電気通信事業 携帯電話サービスの提供 |
URL | https://okinawa-cellular.jp/ |
転載元:ITmedia ビジネスオンライン
ITmedia ビジネスオンライン 2023年3月29日掲載記事より転載
本記事はITmedia ビジネスオンラインより許諾を得て掲載しています
記事URL:https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2303/29/news002.html