【必見!】過労運転による事故の責任は会社側にもある!?過労運転の定義と罰則、対策について徹底解説します!
過労運転とは?
過労運転とはどんな運転のこと?
昨今、社用車を運転する人の「過労運転」が問題となっています。
トラックやバスなどを長時間にわたって運転した結果、重大な事故を引き起こすというケースが後を絶ちません。では、なぜ従業員は事故を起こすまで無理をしてしまうのでしょうか?
その理由の一つとしては、管理する側と従業員共に、どれくらい運転すると過労になるのかを正確に把握できていないことが挙げられます。過労運転を防ぐために、まず過労について知ることが必要があります。
「過労」は過重労働の略称です。言葉の通り働きすぎてしまうことを意味しています。
何時間以上働けば過労にあたるのか、という明確な定義はありませんが、厚生労働省の資料によると、次の条件に当てはまる人は過労の恐れがあるとされています。
「時間外労働時間・休日労働時間の合計が、月100時間超または2~6 ヶ月平均で月80時間を超える」
上記の条件を満たしている場合、心身に多大な負荷がかかっていると言えます。そして、次のような症状を引き起こすリスクが高まります。
- 睡眠不足による居眠り
- 脳梗塞
- くも膜下出血
- 心筋梗塞
- 虚血性心疾患
- うつ病
過労が原因でこれらの症状や病気を引き起こし、死亡してしまうケースも少なくありません。
そのことから「月100時間超または2~6 ヶ月平均で月80時間超」は、過労死の目安(過労死ライン)とされています。
続いて「過労運転」についてお話しします。過労運転について、「道路交通法第66条(過労運転等の禁止)」に以下のように記載されています。
道路交通法第66条(過労運転等の禁止)
何人も、前条第一項に規定する場合のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。
引用:道路交通法
つまり過労運転とは、「過労、病気、薬などが原因で正常な判断や操作ができないにも関わらず、車を運転すること」を言います。これらの状態を無視して車を運転した場合、法律違反となり罰則が科せられます。
しかし、どの程度から過労運転にあたるのかといった具体的な基準は明記されておらず、体調管理は運転者本人に委ねられているのが現状です。
過労運転の主な原因
「道路交通法第66条(過労運転等の禁止)」にもあるとおり、過労運転の原因には以下のものが挙げられます。
- 過労
- 病気
- 薬物
道路交通法では「何時間働いたら過労」「この病気で運転したら違法」「運転中にこの薬物を飲むのは禁止」といった明確な基準は明記されていませんが、厚生労働省の過労の基準が一つの目安となる可能性があります。また、明確な基準がないからこそ、過労に伴う病気や、その治療のために薬を服用しているだけでも、場合によっては過労運転とみなされる恐れがあります。
例えば身近な例を挙げると「風邪をひいてしまい、治療のために風邪薬を服用しながら社用車を運転している」といった場合も、過労運転に該当する恐れがあります。
市販されている総合風邪薬には「抗ヒスタミン剤」が配合されています。抗ヒスタミン剤は、鼻水や鼻詰まりなどを抑える作用と同時に、眠気を引き起こす副作用もあります。風邪薬のパッケージにも「服用後に車両の運転はしないでください」といった注意文が記載されていますが、これを無視して車を運転した場合、過労運転になる可能性があります。
居眠り運転は過労運転の一種?
過労の症状の1つに居眠りがあります。職場での人間関係や過労などのストレスが原因で自律神経が乱れると、夜は眠れないのに日中は強い眠気に襲われる等の症状を引き起こします。これが居眠り運転をしてしまう要因の1つです。
居眠り運転をした場合、過労運転とは別の道路交通法第70条「安全運転の義務」違反に問われることになります。
道路交通法第70条(安全運転の義務)
車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。
引用:道路交通法
居眠り運転は、上記に違反していると判断され、罰則が科されます。ただし、過労、病気、薬などが原因で居眠りを引き起こしたと判断された場合「安全運転の義務」違反ではなく「過労運転等の禁止」違反とみなされる可能性があります。その場合、より重い罰則を受けることとなります。
過労運転の罰則については、次の章で説明します。
業務上の過労運転で事故が起きた場合、会社側に責任はある?
過労運転の罰則
道路交通法第66条「過労運転等の禁止」に違反すると、次のような罰則が科されます。
- 違反点数:25点
- 罰則:3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
- 行政処分:免許取り消し
一方、道路交通法第70条「安全運転の義務」違反に問われた場合の罰則は以下の通りです。
- 違反点数:2点
- 罰則金
・大型車 12,000円
・普通車 9,000円
・二輪車 7,000円
・小型特殊車 6,000円
・原付 6,000円
- 罰則:3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金
過労運転の罰則は、安全運転義務違反の罰則と比べてかなり重い罰則です。
たとえば、「安全運転の義務」違反による居眠り運転であれば、上記の違反点数や罰則金を支払うことで罰則を免れることができます。しかし、過労運転と判断された場合、違反点数は25点となり免許取り消しの行政処分が科せられます。
過労運転の責任の所在は?
業務上の理由で運転する社用車における過労運転の責任は、運転者本人だけにあるわけではありません。業務を指示していた上司や経営者などに対しても、運転管理責任を問われることになります。
道路交通法第75条第1項「違反行為の下命・ 容認の禁止」 では、以下のように定められています。
道路交通法第75条第1項(違反行為の下命・ 容認の禁止)
自動車の使用者は、その者の業務に関し、自動車の運転者に対し、次のいずれかの行為をすることを命じ、又は容認してはならない。
- 無免許運転
- 最高速度違反
- 酒酔い・酒気帯び運転
- 麻薬等運転、過労運転
- 無資格運転
- 積載制限違反
- 放置駐車違反
引用:道路交通法
また、従業員が過労運転をしていたと判断された場合、運転管理者には以下のような罰則が科せられます。
- 罰則:3年以下の懲役または50万円以下の罰金
運転管理者が従業員に過労運転を強制した場合、上記の罰則に加えて運転していた社用車の営業停止といった厳しい処分を科される可能性があります。
社用車の交通事故が起きた場合の対応についてさらに詳しく知りたい方は、以下のコラムもぜひ参考にしてください。
社用車で事故が発生したら会社の責任になる?社用車での事故防止策3選!【2022最新版】
長時間の運転は過労運転とみなされる?
従業員に長時間の運転をさせた場合、過労運転とみなされる恐れがあります。
一つ前の章でご説明した道路交通法第75条第1項「違反行為の下命・ 容認の禁止」でも、運転管理者が従業員に過労運転を命じることは禁止されています。
また、厚生労働省が定める「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」でも、次のように改善すべきとしています。
- 拘束時間は、一箇月について二百九十三時間を超えないものとすること。ただし、労使協定があるときは、一年のうち六箇月までは、一年間についての拘束時間が三千五百十六時間を超えない範囲内において、三百二十時間まで延長することができる。
- 一日についての拘束時間は、十三時間を超えないものとし、当該拘束時間を延長する場合であっても、最大拘束時間は、十六時間とすること。この場合において、一日についての拘束時間が十五時間を超える回数は、一週間について二回以内とすること。
- 勤務終了後、継続八時間以上の休息期間を与えること。
- 運転時間は、二日(始業時刻から起算して四十八時間をいう。次条において同じ。)を平均し一日当たり九時間、二週間を平均し一週間当たり四十四時間を超えないものとすること。
- 運転時間は、二日(始業時刻から起算して四十八時間をいう。次条において同じ。)を平均し一日当たり九時間、二週間を平均し一週間当たり四十四時間を超えないものとすること。
引用:厚生労働省|自動車運転者の労働時間等の改善のための基準
「道路交通法第75条第1項」と「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」から、経営者や運転管理者は、従業員が過労になることを知りながら長時間の運転をさせることは法律違反とみなされます。
過労運転が引き起こした事故事例
事例1
広島県東広島市の「八本松トンネル」で、渋滞で停車している車列にトラックが突っ込み2人が死亡しました。この多重事故では、トラック運転手の男性に懲役4年の実刑判決が言い渡されています。
事故が起きた際、被告は慢性的な睡眠不足の状態でした。また、事故を起こす前から過酷な勤務を強いられていたとして、運送会社の運行管理者が起訴されています。
事例2
関東運輸局が監査を実施した輸送会社で、労働時間等改善基準告示違反が認められました。これにより、事業停止7日間と車両停止107日が命じられています。
改善基準告示では、過労運転の防止のために、従業員の拘束時間は原則1日13時間、1ヶ月293時間、連続運転4時間以内、休息時間8時間としています。しかし、輸送会社はすべての基準を守っていなかった上に、健康診断の不実施や社会保険も未加入でした。
事例3
運転手に過労運転を命じたとして、輸送会社の社長と運転手を書類送検しました。同様の業者を取締り、兵庫、大阪、長崎で10社20人を摘発しています。運転手の拘束時間は原則として月293時間までと厚生労働省が定めていますが、実際には運転手を463時間拘束していました。これについて運送会社社長は「会社の利益を優先した」と、容疑を認めていました。
過労運転を防止するためにできること
運転者(従業員)ができること
過労状態は集中力や判断力の低下を招いてしまいます。その結果、重大な事故を引き起こす恐れがあります。そこで、社用車を運転する従業員の方は、常に体調管理を徹底することが求められます。
過労運転を防ぐために、以下のことを心がけましょう。
- 毎日7~8時間睡眠を取る
- 休憩時間はしっかりと体を休める
- 病気などで体調が悪い時は運転しない
- ストレスを発散する趣味などを見つける
- お酒の飲み過ぎは控える
- 眠気を引き起こす薬を飲んだら運転しない
規則正しい生活を送るとともに、自分の体調に少しでも違和感を感じている場合は無理をせず運転を控えるようにすることが大切です。
会社側ができること
過労運転は、車を運転していた従業員だけでなく、従業員に運転を命じた経営者や運転管理者も責任を問われることになります。過労運転を防ぐために、会社側も事前に対策を行うようにしましょう。
- 従業員に長時間労働などを強制しない
- 従業員の労働時間等を把握し、長時間労働の抑制に務める
- 運転前に従業員の体調チェックを行う
- 過労運転に関する安全教育を実施する
- 従業員が体調不良等を申告できるような職場環境づくりを行う
過労運転は大きな事故を引き起こしかねない非常に危険な行為です。従業員の命を守るということだけでなく、安全運転の確保という社会的な義務を果たすことで、会社の信頼性を維持する必要があります。
まとめ
社用車を使っている企業においては、従業員の過労運転に注意する必要があります。従業員自身でしっかりと体調管理するのが基本ですが、経営者や管理者側も、従業員が過労気味でないか常に気を配らなくてはなりません。
特に不眠気味の人は、夜寝るために飲酒する傾向にあります。お酒を飲みすぎて体調を崩したり、アルコールが体に残っていて飲酒運転になる可能性もゼロではありません。
そのような事態を避けるためにも、従業員に対するアルコールチェックを確実に実施する必要があります。
また、社用車を使用する度に、運転日報の作成や日常点検などの業務が発生します。これらの業務は実は従業員にとって負担になっている場合も多いため、従業員の業務量を減らすという観点でも、車両管理システムの導入を検討してみることをおすすめします。
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また、車内にQEY boxを設置するだけでスマホが鍵となり、車の鍵の施解錠を行うことができるので、鍵の受け渡しにかかる手間を省いて、効率良く社用車を使うことができます。
アルコールチェックの記録や日常点検、運転日報などもアプリから提出することができるので、社用車の利用手続きに関する業務時間を削減することができます。
鍵の受け渡し業務が不要になり、ペーパーレス化で書類の確認作業が減るという点では、管理者側の業務負担も大幅に減らすことができます。
サービスの導入事例については、下記ページから資料を請求いただけますので、ぜひご覧ください。
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