日常点検の重要性と見るべき15項目|便利なチェックシートも掲載
車の所有者やドライバーは、自動車を適正な状態に保つためにも「日常点検」をしっかり行わなければなりません。
しかしながら、
- 定期点検や車検とは何が違うのかわからない
- 具体的に何をすれば良いのかわからない
という方は意外と多いものです。
そこで本記事では、日常点検の「重要性」や「チェックすべき15項目」などについて解説します。点検作業に便利なチェックシートも掲載していますので、ぜひ活用してください。
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日常点検とは
日常点検とは
日常点検とは、車の所有者やドライバーが日常的に行う点検作業です。運転席に座ったりエンジンルームを確認したりしながら、車の状態をチェックします。私用のマイカーや白ナンバーの車を業務で使用する自家用自動車のユーザーは、走行距離や運行状況を考慮して、適切なタイミングで点検を行うことが大切です。
一方、トラックやバス、タクシーなどの事業用自動車のユーザーは、多くの人や物を運搬するため公共性が高いことから、毎日の運行の前に点検を行う必要があります。
どちらのユーザーであったとしても、点検の際に何らかの異常が見つかった場合にはすぐに修理を依頼することで、未然に事故を防ぐことができます。
法定点検や車検との違い
法定点検とは、法律によって定められた1年または2年ごとの検査のことで、定期点検とも呼ばれます。専門的な知識が必要となるため、一般的にはディーラーや修理業者に依頼されることがほとんどです。また、タイミングとしては車検と一緒に行われることが多いです。
法定点検の実施は義務ですが、現状では罰則は特に設けられていません。しかし、車両の安全を確保するためにも定期的な点検を受けることが推奨されます。
一方、車検は、国が定めた基準に合格しているかを確認する検査です。公道を走行するためには、定期的に車検を受ける必要があります。通常は、2年に1度の頻度で行われます。車検を受けないまま有効期間を過ぎると、公道を走行することは違反となり、罰則が科せられます。
なお、社用車の車検については以下の記事で解説しています。合わせてご参照ください。
参考記事:【2023年最新版!】社用車の車検は何年おき?社用車の車検の頻度や車検にかかる費用を解説!
日常点検の重要性
「車がまだ新しいから」「問題なく運転できるから」といって日常点検を怠るのは危険です。
例えば以前であれば、バッテリーは寿命が近づくとエンジンの始動が悪くなる傾向がありましたが、最新のバッテリーは性能が向上しているため、寿命が近づいても気づきにくいです。その結果、突然エンジンがかからなくなるという事態も増えています。
また、タイヤのパンクにも注意が必要です。日常点検や適切な空気圧調整を怠ると、タイヤがバーストする恐れがあります。道路上の異物によるパンクもあり得るため、タイヤの状態を確認し、予備タイヤの交換方法や修理キットの使用法を知っておくと安心です。
タイヤの劣化や異常を見逃さず、適切なメンテナンスを心がけることは、事故を避けるためにも重要になります。これらはすべて、日常点検を行うことで予防可能なトラブルですので、車を所有する人やドライバーにとって日常点検は極めて重要だと言えるでしょう。
日常点検は義務なのか
車の日常点検は、道路運送車両法第47条の『使用者の点検及び整備の義務』において義務付けられています。これは、プライベートの車であっても、業務で使用する車であっても該当します。
点検の頻度や周期は決められていませんが、故障や事故を未然に防ぐためにも、車両の利用頻度に合わせて出来る限り頻繁に実施することをおすすめします。
先程お伝えした法定点検と同様に、日常点検を行わない場合も特に罰則はありませんが、故障や不備がある箇所によっては罰則が課せられることもあります。例えば、制動装置等の整備不良の場合は交通違反の点数が2点、尾灯等の不点灯の場合は1点が科されます。
参照:警視庁「交通違反の点数一覧表」
日常点検で見るべき3つのポイント
日常点検を行う場合、具体的にどこをどのように点検したら良いかわからない方は意外と多いものです。ここでは、日常点検で見るべき3つのポイントをご紹介します。
①エンジンルームを確認
エンジンルームは車の中にあり、エンジンを格納する機関室を指します。ボンネットの下に位置し、エンジンを中心にさまざまな部品が配置されています。エンジンルームには、エンジンの順調な機能を保つために必要な各部品が集約されています。具体的なチェック項目は、以下のとおりです。
チェックポイント | チェック内容 |
---|---|
ウインド・ウォッシャー液の量 |
・凍結を防ぐために十分な量が必要なので、不足している場合は専用液を補充する |
ブレーキ液の量 |
・ブレーキ・リザーバ・タンク内の量がMAXとMINの間の規定範囲にあるかどうか |
バッテリー液の量 |
・バッテリー液の量がUPPERとLOWERの間の規定範囲にあるかどうか |
冷却水の量 |
・ラジエータ・リザーバ・タンク内の量がFULLとLOWの間の規定範囲にあるかどうか |
エンジンオイルの量 |
下記手順に沿ってエンジンオイルの量を確認する ①エンジンを止め、平らな状態でオイル・レベル・ゲージを抜き取る ②オイル・レベル・ゲージに付いているオイルを拭き取る ③オイル・レベル・ゲージをいっぱいに差し込む ④オイル・レベル・ゲージを引き抜いてHとLの間の規定範囲にあるかどうか確認する ⑤オイル・レベル・ゲージを元の位置に戻す |
②車のまわりを確認
日常点検は、車の内部だけでなく、外部からのチェックも重要です。具体的には、以下の項目を点検します。
チェックポイント | チェック内容 |
---|---|
タイヤの空気圧 |
・空気圧が不足していないか (運転席のドアの内側やセンターピラーに貼り付けられているラベルに記載された、適正な空気圧を確認) |
タイヤの亀裂・破損・摩耗 |
・タイヤ全周に亀裂や損傷はないか ・石、釘、異物が刺さっていたり、嚙み込んでいたりしないか |
タイヤの溝の深さ |
・溝の深さは十分か ・スリップサイン(タイヤの溝の深さが1.6 mm以下になること)がないか ・部分的に溝が減っていないか |
ランプ類の点灯・点滅、レンズの汚れ、損傷 |
・エンジンスイッチを入れて、「ヘッドランプ」「テールランプ」「ライセンスランプ」「ブレーキランプ」「クリアランスランプ」「バックアップランプ」の点灯具合をチェックする ・ウインカランプの点灯具合と点滅速度に異常がないか ・フォグランプ付きの車はフォグランプの点灯に異常がないか ・レンズなどに汚れや破損がないか |
③運転席で確認
運転席でのチェック項目は以下のとおりです。運転前のわずかな時間でも実施できるので、日常的に行うことをおすすめします。
チェックポイント | チェック内容 |
---|---|
ブレーキ・ペダルの踏みしろ |
・ブレーキやペダルを踏み込んだときに、踏み残りしろ(床板とのすき間)や踏みごたえがあるか |
パーキング・ブレーキ・レバー |
・パーキング・ブレーキ・レバーをいっぱいに引いたときに、引きしろが多すぎないか、あるいは少なすぎないか ・パーキング・ブレーキがペダルの場合は、ペダルの踏みしろをチェックする |
ウインド・ウォッシャー液 |
・ウインド・ウォッシャー液の高さや噴射の向きが適当であるか、悲惨しすぎていないか ・フロントガラスの汚れを落とせているか |
ワイパの拭き取り |
・作動させたときに低速・高速が不良ではないか ・ウォッシャー液をきれいに拭き取れているか |
エンジンのかかり具合や異音 |
・エンジンが速やかにかかり、スムーズに回転するか ・エンジン始動時やアイドリング状態で異音がしないか |
エンジンの低速・加速の状態 |
・エンジンが温まった状態でアイドリング時の回転がスムーズに続くか ・アクセル・ペダルを徐々に踏み込んだときに引っかかりがないか ・エンストやノッキングを起こさずスムーズに回転するか |
日常点検を怠るとどうなるか
先にもご紹介したとおり、ドライバーの責任として車の日常点検は道路運送車両法によって義務付けられています。日常点検を怠ることに罰則はありません。しかし、日常点検を怠った結果、車両に不備が見受けられた場合は、罰則があります。
また、日常点検を怠ると以下のようなトラブルに繋がることがあるため、定期的に日常点検を行うことが大切です。
車両トラブルに繋がる
日常の些細な見落としや点検の怠りが、大事故に繋がる可能性があるため、細心の注意が必要です。車両トラブルとしては以下のようなケースが見受けられます。
- タイヤの異常摩耗:タイヤの異常摩耗によって水の溜まった道路で運転操作不能になり、タイヤが縁石に乗り上げて車が横転する
- ウインドウウォッシャー液の不足:冬季にフロントガラスが凍結していたのでウインド・ウォッシャー液を利用して溶かそうとしたが、液量が不足していたため、前方視界が得られず前方車両に追突する
しかし、これらのトラブルも、日常点検を通じて確認できる項目に関連しているため、日常点検を怠らなければ事故を避けることができます。
整備不良による罰則に該当する
日常点検を行っていなくても罰則はありませんが、整備不良の車を運転するのは違反行為です。警察に見つかった場合は点数を科され、反則金を支払うことになります。
例えば、制動装置が不良の場合、2点が科され、9,000円の罰金が課せられます。ブレーキランプやテールランプなど尾灯等の不備は、1点が科され、反則金は7,000円です。マフラー(消音器)やヘッドライトの無灯火も違反です。マフラー不備は2点、ヘッドライトの無灯火は1点で、それぞれ6,000円の反則金を支払うことになります。ドライバーは警察の指摘で初めて整備不良に気づくケースが多いので注意が必要です。
適切な頻度とタイミング
車の日常点検には特定の周期が定められていませんが、トラブルを未然に防ぐためには、適切な頻度とタイミングで実施することが求められます。日常点検の頻度については具体的な指標がないため、こちらでは、どのくらいの頻度やタイミングで日常点検を行ったら良いかを解説します。
頻度
毎日車を利用する人にとっては、日常的な点検が最適です。不備にすぐに気づくことができ、整備不良のまま運転を続けるリスクを減らすことができます。
業務で使用する社用車の場合は、従業員が車を利用する際に毎回実施することが望ましいです。任意での実施とすると、なかなか実施されない可能性があり、前回の実施日を把握することも難しいので、乗車の度に実施するというルールを設けるとよいでしょう。
プライベートの車については、もう少し間隔をあけて実施するケースが多いようです。年間走行距離が1万km程度の自家用車の場合は、最低でも1ヵ月に1回の点検が推奨されています。年間走行距離が1万kmを超える場合は、距離に応じてより頻繁に点検するのが望ましいです。
タイミング
運転前に日常点検を行っていたことで異常を発見でき、事故を未然に防げることもあるため、乗車前に日常点検を行うことを習慣づけておくと良いでしょう。特に、長距離の運転を予定している場合は、車に負担をかけるため、事前に状態を確認しておくと、旅先や土地勘のない場所でトラブルに巻き込まれるのを防げます。そのほか、大雨、雪、黄砂など天気や気候に大きな変化があった後も、日常点検が特に重要となります。
日常点検の管理方法
日常点検はチェック項目が多いため、紙やデータでチェック項目を管理していると、点検漏れを防げて安心です。こちらでは、紙とデータで管理する場合のポイントについて解説します。
紙で管理する場合
日常点検の管理表は、インターネットに掲載されていたり無料でダウンロードできたりします。紙で管理を行う場合は、以下のようなチェックシートを参考にしてください。
データで管理する場合
企業などで日常点検を毎日行う際は、車両の数や従業員の人数で紙の管理が難しくなってしまうこともあるでしょう。そのような場合は、携帯端末と連携した車両管理システムを導入すると、ペーパーレスで日常点検の管理ができ、チェックの手間も省けるので便利です。
なお、車両管理システムについては以下のコラムで詳しく紹介しています。車両管理システムの機能は多岐に渡りますが、このコラムでは各社の車両管理システムの特徴を整理した上でご紹介しているので、ニーズに合ったシステムを見つけるお手伝いができるかと思います。ぜひご覧ください。
参考記事:【2023】車両管理システム比較14選|選び方や機能を徹底解説
まとめ
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